東北大学病院

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総合外科 上部消化管・血管グループ

病棟 西病棟 7F
外来 外来診療棟C 1F
外来受付 Tel : 022-717-7742
独自webサイト 東北大学病院 総合外科
対象疾患
食道癌食道良性疾患消化管疾患腹部大動脈瘤閉塞性動脈硬化症深部静脈血栓症

総合外科 上部消化管・血管グループのご案内

対象疾患と診療内容

私たちは食道・胃疾患に対する上部消化管外科と腹部・末梢血管疾患に対する血管外科を専門領域として診療を行なっております。各領域において先進的医療を低侵襲で行い、豊富な経験から各分野で日本をリードする実績を誇っております。
食道分野では1995年に本邦初の胸腔鏡下食道癌手術を導入した歴史を持ち、これまでに800例を超える実績で日本における食道癌の診療をリードしてきました。また化学放射線療法後の遺残・再発に対しても胸腔鏡下手術で対応している全国的にも数少ない施設です。他にも光線力学療法(PDT)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、ロボット手術(da Vinci)などより侵襲の低い治療を行っています。更に癌以外の食道疾患にも対応しており、アカラシアに対しては経口内視鏡的筋層切開術(POEM)も行っています。
胃外科分野では腹腔鏡手術を積極的に導入し、胃癌においては一部の進行がんを除いて鏡視下手術を標準的に行なっております。また胃癌の根治性を損なわずに術後の機能障害を低減する機能温存手術を積極的に導入しており、胃上部の早期胃癌に対しては胃を温存する噴門側胃切除を実施し、同手術においては全国でも有数の治療実績を誇ります。また一方で再発の可能性が高い進行がんの患者さまに対しては、手術の前に化学療法を行ってから手術を実施するなど、癌の進行度に応じて適切な治療を実践しております。
血管外科分野の診療対象疾患は腹部大動脈瘤、末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)、静脈血栓塞栓症など胸部以外の血管、脈管疾患です。腹部大動脈瘤に対してはステントグラフト治療を積極的に行っており、また通常では治療困難な患者さまを積極的に受け入れています。末梢動脈疾患に対しては病態の正しい評価から始まり保存的治療から血管内治療、バイパス、またはこれらを組み合わせたハイブリッド治療など、患者さまのニーズによって幅広い治療選択肢を有しています。豊富な症例数をもとにより安全、低侵襲で効果的な治療を目指し日々取り組んでいます。

食道癌

食道癌に対して、胸腔鏡手術、放射線化学療法、内視鏡的治療を組み合わせて治療にあたっています。胸腔鏡下食道切除術は、従来の開胸手術に比べ、痛みと呼吸機能への影響が少ない低侵襲な手術で、術後の回復が早い一方、根治性は従来の手術と変わりがありません。1994年に食道癌に対する胸腔鏡下食道切除術をわが国で初めて行い、この領域をリードしてきました。2015年までに600例を超える胸腔鏡下食道切除術の手術実績があります。2013年からはロボット補助下食道切除術の臨床試験も開始しています。ロボット手術は、より繊細な操作が可能になることから、合併症の軽減と早期回復が期待されています。
また、近年の化学放射線療法の成果を取り入れ、手術を希望されない患者さんには、根治的化学放射線療法も行っています。実際、ステージIの患者さんでは、多くの方が食道温存可能となっています。一方、化学放射線療法が効かなかった患者さんに対するサルベージ手術も積極的に行っており、成績向上を図っています。食道表在癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術ESDや食道癌局所遺残例に対する光線力学療法PDTも多く行っており、食道癌全体の成績向上と患者さんのQOL維持というバランスをとった総合的な治療を行っています。


食道良性疾患

食道アカラシア、食道胃逆流症、食道裂孔ヘルニアなどの機能性疾患に対する手術を行っています。食道アカラシアに対する腹腔鏡手術(Heller-Dor手術)は、これまでに数多く施行し、良好な成績をおさめてきましたが、2015年から経口内視鏡的筋層切開術(Per-Oral Endoscopic Myotomy: POEM)を東北地方で初めて開始しました。この治療は体に傷のつかない低侵襲手術であるとともに治療効果も大きく、非常に満足度の高いものになっています。また、食道憩室、食道良性腫瘍に対する手術や、特発性食道破裂などの緊急手術に対しても積極的に胸腔鏡手術を行い、患者さんの負担軽減を図っています。


消化管疾患

一般病院では治療困難な、重篤な合併症や併存疾患のあるリスクの高い患者さんの胃癌、大腸癌などに対する手術も行っています。腹腔鏡手術を基本に、全身管理を行い、安全性を保ちながら治療を行っています。


腹部大動脈瘤

腹部でもっとも大きな動脈である腹部大動脈が拡大する病気です。動脈瘤が大きくなると破裂する危険がでてきますのでそれ以前に治療することが大切です。現在は2つの治療法があります。一つは開腹で人工血管に取り替える手術、もう一つはステントグラフトと呼ばれる人工血管をカテーテルで足の付け根から挿入する治療です。それぞれの治療には良い面と悪い面がありますので、どの段階でどの治療法を選ぶかは患者さんに説明し相談しながら決めていっています。腹部大動脈瘤は症状がなく、また検診の制度もありませんので多くの方はかかりつけの先生に診察やエコーで見つけてもらい、当科に紹介されているのが実情です。
なお胸部の大動脈瘤は当院では心臓血管外科が診療担当科となっています。


閉塞性動脈硬化症

動脈硬化によって血管が狭くなるため、足に血液が流れにくくなる病気です。初期には足の冷たい感じから歩いた時のふくらはぎの痛みなどの症状が現れます。進行すると足の趾(ゆび)先やかかと、場合によっては膝から下が壊死に陥ります。この病気は症状によって治療法を選択することが好ましく、軽症の方には内服などの内科的治療、運動療法などのリハビリ治療を含め多くの選択肢を用意しています。希望によってはカテーテル治療や手術を行います。足が壊死した患者さんは急いで治療をしないと足を失ってしまいますので積極的にカテーテルや手術による治療を行っています。


深部静脈血栓症

深部静脈血栓症はエコノミークラス症候群とも呼ばれ、足から腹部にかけての静脈に血栓ができる病気です。他の病気に合併したり、手術を受けるときに発症することが多いですが、原因がわからずに血栓ができる方もいます。足にできた血栓が肺に飛んでしまうと呼吸が苦しくなったり、命に関わることもあります。早期発見、早期治療が大切で当科では循環器内科と連携して深部静脈血栓症の予防や治療に携わっています。

特色

移植・再建・内視鏡外科は、先進的な診断・治療技術を積極的に取り入れ、臨床の場で実践することを目指しています。当科の研究および診療は、移植班、食道班、血管班の3つの班単位で行っています。いずれも高度な専門性を持っており、その技術を駆使しながら、一般外科として幅広い領域で質の高い治療が可能となっています。

移植・肝臓班

腎臓移植を1964年から行っており、これまでに生体腎移植60例、死体腎移植を40例に施行しています。腎臓移植が確立された現在では肝臓移植、膵臓移植を主に行っており、脳死・生体肝移植、脳死膵移植、脳死・生体腎移植を施行しております。1991年7月に東日本初の第1例目の生体肝移植を施行して以来、2016年11月までに173例の生体部分肝移植・脳死肝移植を現在まで行っております。1997年からは成人の症例も手がけるようになり、最近では小児例よりも成人例のほうが多くなっております。
生体肝移植は、健康な親族の臓器提供者(ドナー)より肝臓の一部を提供していただき、患者さん(レシピエント)に移植します。当科では、消化器内科医やコーディネーターと連携し、レシピエント検査及びドナー検査を進め、移植の適応について判断しています。一方、脳死肝移植は、脳死と診断されたドナーより肝臓の提供を受けます。脳死移植を受けるためには、日本臓器移植ネットワークに肝臓移植の登録をしなければなりません。当科では、消化器内科医やコーディネーターと連携し、移植の適応の判断や登録の手続きを行っております。脳死移植はその待機期間が問題となっておりますが、2010年7月の改正臓器移植法案施行後は症例数が増加しており、脳死肝移植認定施設である当院では、夜間休日を問わず、緊急での移植が可能な体制を整えております。  当院は脳死膵移植施設でもあり、糖尿病性腎不全の方には膵・腎同時移植も行っております。これまでに膵移植を9例、膵ラ島移植を5例(自家移植含む)施行しています。  肝細胞癌、胆道癌、膵癌、転移性肝腫瘍等の悪性腫瘍、症状を伴う肝血管腫等の良性腫瘍に対して肝胆膵手術および化学療法、血管内治療等による集学的治療を行っています。また、近年低侵襲治療である腹腔鏡手術を導入し、既に50例を超える腹腔鏡下肝切除を施行し、年々増加傾向となっております。現在、部分切除、区域切除、左葉切除までを適応としております。その他にも適応基準があるため、外来の精査にて可能かどうか決定します。また、移植手術で培った血行再建技術を生かし、血管合併切除再建を伴う進行癌手術も積極的に施行しております。さらに肝硬変、原発性門脈圧亢進症等により、門脈圧亢進から食道・胃静脈瘤、脾機能亢進(白血球減少、血小板減少)を来たし、内科的治療が困難になった症例に対し、外科的治療を行っております。

食道班

食道疾患の診断と治療を中心に診療を行っています。1994年に食道癌に対する胸腔鏡下食道切除術をわが国で最初に行い、2015年までに600例を超える手術実績があります。胸腔鏡下食道切除術では、従来の開胸手術に比べ、手術の傷が小さいため、痛みが少なく、手術後の肺機能の低下も少ないという利点があります。手術成績も開胸手術と変わりがありません。当科では2001年以降、食道癌に対する標準手術として行っています。
手術を希望しない患者さんには化学放射線療法(放射線と抗癌剤による治療)を行っています。化学放射線療法の成績向上は目ざましく、近年では手術に匹敵する治療効果をあげています。化学放射線療法は、食道を切除してしまう手術に比べて、食道が残ることが大きな利点です。化学放射線療法で治らなかった場合には、サルベージ手術を行います。照射後のサルベージ手術は、通常手術よりもリスクが高くなりますが、これも胸腔鏡手術を基本とし、負担の少ない手術を心掛けています。
食道表在癌に対しては、内視鏡的粘膜下層剥離術ESDを行っています。化学放射線療法後の遺残例も表在癌であればサルベージESDを積極的に行っており、良好な成績をおさめています。また、様々な治療の後に、局所遺残となった病変には光線力学療法PDTを取り入れています。いずれも食道切除を回避して、QOLを落とさない食道温存治療となります。
食道アカラシアは、噴門部(食道と胃のつなぎめ)の通過障害をきたす機能性疾患ですが、現在は経口内視鏡的筋層切開術POEMを標準治療としています。食道良性腫瘍や食道胃逆流症などの食道良性疾患や、胃癌・大腸癌にも胸腔鏡・腹腔鏡による低侵襲手術を行っています。

血管班

当科では腹部や末梢血管疾患の総合的な診療を行っています。
最も多く行っている手術は腹部大動脈瘤に対する手術で、年間100例以上を行っています。腹部大動脈瘤は高齢者に多く見られ、通常では症状もないことから手術を受けることに迷うことが多いと思います。ただ、直径5cmを超えると破裂する危険がでてくるため、心配のない穏やかな生活を送るために手術を勧めています。現在では手術や麻酔の発達により80歳を過ぎた方でも手術を受けた後に元気に生活されています。腹部大動脈瘤の手術には従来の開腹手術(みぞおちからヘソ下までの大きな切開が必要)とステントグラフト(両側の足の付け根の数cmの切開でできる治療)とがあります。それぞれ手術の長所、短所がありますので、患者さんに合った治療を選択しています。当科では毎年、ステントグラフトと開腹手術のどちらも数多く行っています。
閉塞性動脈硬化症に対しては内科的治療から外科的治療まで総合的な治療を行っています。生活指導や内服で改善することもあり治療には手術以外にも多くの方法があります。当科では閉塞性動脈硬化症に対して内服治療やリハビリ治療から血管内(カテーテル)治療、手術まで幅広く手掛けており、患者さんは多くの選択肢から治療を選ぶことができます。また、カテーテル治療と手術の治療を同時に行うハイブリッド手術と呼ばれる手術も数多く行っています。この方法は小さい切開で高い効果のある治療で、今後ますます発達していくと考えられています。
その他、下肢静脈瘤、深部静脈血栓症、リンパ浮腫、内臓動脈瘤など腹部・末梢血管疾患に対して幅広く診療を行っています。また、腹部大動脈破裂、急性動脈閉塞などの急患疾患にも数多く対応しています。

年間症例数

移植/肝胆道系疾患に対する手術

(2015年)

肝移植 4例
腎移植 1例
膵移植 1例
膵島移植 0例
肝胆道癌手術 44例
腹腔鏡下肝切除 14例

食道癌/食道疾患に対する手術

食道癌根治手術 69例
胸腔鏡下食道切除術 60例
放射線化学療法後の再発・遺残食道癌に対するサルベージ手術 7例
食道アカラシア(POEM) 10例

血管の手術

腹部大動脈瘤(人工血管置換術) 45例
腹部大動脈瘤(ステントグラフト) 62例
閉塞性動脈硬化症に対する手術(バイパス) 19例
閉塞性動脈硬化症に対する手術(ハイブリッド) 9例
閉塞性動脈硬化症に対する手術(血管内治療) 60例
下肢静脈瘤 3例
その他(内シャント、急性動脈閉塞、腹部血管再建など) 77例

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