病棟 | 東病棟 8F・13F | 外来 | 外来診療棟B 2F |
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外来受付 | Tel : 022-717-7740 | 独自webサイト | 東北大学病院 総合外科 |
対象疾患 | 大腸悪性疾患/潰瘍性大腸炎・クローン病/病的肥満症に対する減量手術・糖尿病に対する代謝改善手術 |
対象疾患と診療内容
直腸癌では肛門付近の早期直腸癌に対して、永久的な人工肛門(ストーマ)を回避して肛門機能を温存する括約筋間直腸切除術(Intersphincteric resection: ISR)を導入しています。また、進行直腸癌に対し、術前化学放射線療法後に手術を行うことで、根治性の向上を目指しています。さらに、遠隔転移例、局所再発例には手術療法・放射線療法・化学療法を組み合わせることで治療成績の向上に努めています。2018年に保険診療として認められた直腸癌に対するロボット支援手術は2016年より臨床試験として導入しております。2023年からは結腸癌に対してもロボット支援手術を導入しております。
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患に力を入れているのも当科の特徴です。潰瘍性大腸炎では大腸を全摘し、自然排便が可能な回腸肛門吻合術を標準術式として行っています。クローン病は複数回の手術を要することが多い疾患ですが、再狭窄しづらい新しい腸管吻合法を考案し再手術を予防するとともに、比較的軽度の狭窄の場合は腸管を切除せずに狭窄を解除する術式(狭窄形成術)を行うなど、可能な限り腸管を温存する方針としております。クローン病の複雑性痔瘻に対しては2022年から保険適応となった幹細胞治療(ダルバドストロセル)を導入しております。
クローン病や慢性特発性偽性腸閉塞症(CIPO)などの疾患で生じる腸管不全(短腸症候群)の管理にも力を入れており、多職種(各診療科・管理栄養士・薬剤師・検査技師・WOC看護師など)と連携しながら、適切な栄養管理・カテーテル管理・ストーマ管理をおこなうことで、長期的に安全でQOLの高い生活の維持を目指しています。2021年に短腸症候群に対して保険適応となったGLP2アナログ製剤(テデュグルチド)による治療も、臨床治験として2015年より導入しています。
上記等の疾患で人工肛門(ストーマ)の造設を要する場合には、術前マーキングを施行した上でより管理のしやすいストーマを形成するように心がけており、術前・術後は当院WOCセンターと強固に連携を取りながら共同で管理を行い、患者さんのQOL向上につながるように努力しております。
大腸悪性疾患
私たちは、大腸癌に対し、安全で合併症の少ない手術を心がけ日々診療しております。特に力を入れている領域は以下の通りです。
①ロボット支援手術・腹腔鏡下手術
大腸癌の初発腫瘍に対しては、積極的にロボット支援手術・腹腔鏡手術を行っており、現在では全大腸癌手術の80%を占めるまでとなっています。我々の成績では進行癌であっても開腹と同様に長期予後は非常に優れております。術後の入院日数も平均9日となっており早期の退院、社会生活への復帰が可能です。
②直腸癌の機能温存手術
大腸癌の中でも特に治療が難しい直腸癌の治療に力を入れております。腫瘍下縁が腹膜反転部より肛門側にある進行直腸癌に対しては、術前放射線化学療法を併用、根治性を保ちながら機能温存(性機能、排尿機能、排便機能)に配慮した手術を行っております。また、可能な限り肛門を温存するべく、肛門管内の腫瘍でも深達度がMP以浅でdistal marginが確保できれば積極的に括約筋間直腸切除術(ISR)により肛門機能を温存しております。
③進行・再発腫瘍に対する拡大手術
進行・再発腫瘍に対しても、骨盤内蔵全摘術など泌尿器科等と連携しながら積極的に拡大手術を行っています。直腸癌局所再発でも遺残のない治癒切除ができれば長期生存も期待できます(3年生存率: 52%)。また、腫瘍内科との合同カンファレンスを定期的に開催し、進行・再発症例に対し、最新のエビデンスに基づいて治療方針を決定しています。
④その他の大腸疾患
大腸癌以外にも、家族性大腸腺腫症、GIST、神経内分泌腫瘍(カルチノイド)、悪性黒色腫、肛門Paget病など下部消化管に発生する稀腫瘍も積極的に診療しております。
潰瘍性大腸炎・クローン病
当科では以前より潰瘍性大腸炎やクローン病をはじめとする炎症性腸疾患に対する手術治療を行ってきており、両疾患ともそれぞれ500例を超える治療経験があります。炎症性腸疾患は若年で発症し手術を要する症例も多いため、長期的に生活の質(QOL)が保たれることを目指した手術・術後管理を行っております。
潰瘍性大腸炎の手術は大腸全摘が基本術式で、患者さんの状態に応じて自然肛門の温存または非温存を決定しています。肛門機能の温存が可能な場合は、分割手術での大腸全摘・回腸肛門(管)吻合術を標準術式として行っており、待機的手術が可能な症例においては腹腔鏡を使用した2期分割の手術、重症等で全身状態が不良な症例においては安全性を優先し3期分割での手術を行っております。クローン病では腸管機能の温存・将来の短腸症候群をいかに防ぐかを重視し、適切な腸管の切除範囲の決定などにより、QOLの向上を目指した手術を実施しております。再狭窄/再手術の予防を意図した新しい腸管吻合法(佐々木-渡辺吻合:東北大式吻合)の開発導入や、短い狭窄に対しては腸管を切除せずに内腔を拡張する狭窄形成術の併用などの工夫を行っています。クローン病の初回手術例に対しては原則腹腔鏡補助下での手術を行っております。クローン病の肛門病変の外科治療も積極的に行っており、2022年から保険適応となった複雑性痔瘻に対する幹細胞治療(ダルバドストロセル注入療法)も開始しております。
おわりに
いずれのグループも、腹腔鏡手術を中心とし、患者様の立場にたって低侵襲で確実な治療を心がけております。初診から手術までの期間は1ヶ月前後となり、十分な術前精査を行いながらも、長期間お待たせすることなく診療することが出来ております。なお、緊急症例は随時対応いたしますので、外来宛にお電話いただければ幸いです。
総合外科 独自webサイト
年間症例数
2021年 | 2022年 | 2023年 | ||
---|---|---|---|---|
総手術数 |
263例 |
294例 |
299例 |
|
大腸癌などの悪性腫瘍 | 結腸 |
54例(40例) |
61例(50例) |
71例 (53例:うちロボット手術10例) |
直腸 |
65例 (58例:うちロボット手術23例) |
78例 (69例:うちロボット手術34例) |
67例 (61例:うちロボット手術53例) |
|
炎症性腸疾患 | 潰瘍性大腸炎 |
28例(12例) |
21例(19例) |
31例 (16例:うちロボット手術併用4例) |
クローン病 |
35例(6例) |
41例(14例) |
45例 (16例:うちロボット手術1例) |
|
家族性大腸腺腫症 |
0例(0例) |
4例(4例) | 4例(1例) |
(括弧内は腹腔鏡手術件数)
新患、新入院患者数(2023年度)
肝胆膵・移植、下部消化管、上部消化管・血管、乳腺・内分泌グループ合算数
新患数 | 1,144人 |
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新入院患者数 | 2,695人 |
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