東北大学病院

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診療受付:8:30-11:00 再診受付機 8:00-11:00

休診日:土・日・祝・年末年始12/29-1/3

診療時間:平日 8:30-17:15

お問い合わせ:022-717-7000 [ 時間外・休診日 022-717-7024 ]

歯科顎口腔外科

対象疾患と診療内容

当科において治療を行っている疾患は、抜歯から口腔癌まで口腔領域におけるすべての疾患について扱っております。特に大学病院の特性から県内の関連病院や開業医より紹介される口腔外科患疾患に関する患者さんがほとんどです。当科で行っている代表的な診療内容について簡単にご説明いたします。

口唇裂口蓋裂治療

当科では、出生後まもない患者さんには、ご両親に哺乳指導と今後の注意事項、手術予定の説明を行います。
口唇の形成手術は生後3〜6か月時に体重6kgを目安に行います。口蓋の形成手術は生後1歳半〜2歳頃にかけて体重10kgを目安に行います。なお口蓋形成の手術前に中耳炎のスクリーニングを行い、必要に応じて形成手術時に耳鼻科医による処置(鼓膜切開、チューブ留置等)も同時に行います。
手術前あるいは手術後にも定期的に口腔の管理をいたしますので1か月〜3か月毎に受診していただきます。1歳時より言語聴覚士による言語指導、2歳時より小児歯科による管理、4歳時より歯科矯正管理を行います。
顎裂のある患者さんには、永久前歯萌出後に顎裂部への骨移植術を行い、歯科矯正治療を行うことにより良好な咬み合わせを形成いたします。骨移植部には自分の歯を並べますが、並べる歯が欠損している場合にはインプラント治療等を行います。
上下顎の位置関係に不調和があれば必要に応じて上顎骨あるいは下顎骨の骨切り術を行います。

例)左側口唇口蓋裂にて顎裂骨移植部に犬歯を萌出誘導し排列した患者さん

①8歳2ヶ月骨移植前

②11歳5ヶ月上下顎矯正治療開始

③15歳6ヶ月矯正治療終了時

顎変形症

上顎骨または下顎骨のどちらか、あるいはその両方で骨格的な位置や形態の異常が大きく、顔貌や咬みあわせに問題が生じる状態の総称を顎変形症と呼びます。顎変形症は通常の矯正治療だけでは十分な治療結果や治療後の安定性が得られない場合が多く、顎骨を外科的に手術で移動させる外科的矯正治療が行われます。外科的矯正治療は全身麻酔下での手術が必要になりますが矯正治療は保険が適用されます。手術は下顎単独の場合と上下顎の両方の場合があります。

(当科での顎変形症治療の特色と工夫)

手術前に3Dソフトによるシミュレーションを行います(図1, 図2)。コンピューターシュミレーションにより術後顔貌を考慮した三次元的分析や予測が可能です。また、このシュミレーションを参考に3Dプリンターにより手術中に顎の位置を決めるために使用するスプリントを作製しています。スプリントは手術前CTのDAICOMデータおよび上下顎歯列模型の3Dデータを用いCAD/CAMで作製するため精度が高く、再現性も優れています(図3)。その結果、理想的な位置に顎の移動ができるため機能的また審美的な改善度が高く、良好な治療成果が得られています。

図1:手術前の3Dソフトによるシュミレーション(正面)

図2:手術前の3Dソフトによるシュミレーション(側面)

図3:上顎骨の位置付けのためのCAD/CAMスプリントの製作過程

口腔がん治療

舌がん、歯肉がんや口底がんなどの口腔がんの早期症例では外科的切除を中心に行い、口腔機能を損なうことなく良好な結果を得ております。また、進行がんに対しては耳鼻咽喉・頭頸部外科、腫瘍内科、放射線治療科および形成外科と連携して、患者様やご家族様の意向やQOLを尊重し、外科的切除や再建手術、放射線治療、化学療法を行なっています。
さらに関連病院や歯科医院と緊密な連携をとり、口腔がんの早期発見および早期治療を目指しています。

(当科の口腔がん治療の特色)

1)舌がんの早期症例

舌がんの早期症例の切除(欠損)部にポリグリコール酸の吸収性縫合補強材を用いています(図1)。この補強材は縫合が不要ですが固定には医療用の糊が必要です。当科ではその固定用の医療用の糊を患者様自身の血液で作成した自己血フィブリン糊を使用しています。舌がんの早期症例では疼痛や出血が少ない生体安全性に優れた治療を提供しています。

2)進行がんの下顎骨再建

進行がんにおいて下顎骨切除後の顎骨再建では、審美性および機能性の保持と回復を目的として、個々に応じた最適化医療の提供を目指して治療を行っています。具体的には、
⑴画像検査結果より、デジタルテクノロジーを用いたシミュレーションを行う(図2)。
⑵その結果を基に医療用3次元モデルを作成する(図3)。
⑶実際の手術で応用する(図4)。

図1:左舌がんの切除部にポリグリコール酸の吸収性縫合補強材(ネオベール®)を自己血フィブリン糊で貼付

図2

図3

図4

 

インプラント治療

従来よりう蝕や歯周病などにより歯を失った患者さんや口腔腫瘍切除後の骨欠損部を持つ患者さんなどに対しては、冠橋義歯(ブリッジ)や義歯などにより咬合の回復を行ってきました。しかし、近年人工歯根(チタン)を顎骨に埋入して咬合の回復を行うインプラント治療が取り入られるようになってきています。しかしながら、すべての患者さんに可能というわけではなく、喫煙者や糖尿病などの易感染疾患を有する患者さんには適応されない場合もあります。また人工歯根を顎骨に埋入する必要があるため、残存骨の骨量が不足している場合は適応できません。この問題を解決するため、骨量不足に対しては患者さん自身の顎骨や腸骨などから骨を採取し移植を行い、骨造成を行ってからインプラント治療を行うこともあります。現在、当科では補綴科、保存科、口腔診断科とインプラントチームを作りインプラント診療に携わっています。

例)左下顎腫瘍切除後に骨移植を行いインプラントした患者さん

①左下顎腫瘍(矢印)

②腫瘍切除後X線

③腫瘍切除部へ骨移植

④骨移植後1年X線

⑤インプラントによる咬合回復

顎関節・口腔顔面痛外来

顎関節疾患および歯・舌・口腔粘膜・顎骨・顔面に痛みを生じる様々な疾患の診断と治療を行なっています。

(当科での顎関節疾患治療の特色)
顎関節疾患に対する外科的治療で超音波器具や顎関節鏡を用いることで、出血や組織損傷が少ない低侵襲治療で安全かつ確実に行うことで良好な治療成績をあげています。

1)顎関節疾患

当科で取り扱う顎関節疾患には、①顎関節症 ②顎がよく外れる、口を閉じることができないといった顎関節脱臼 ③口腔顎顔面外傷や頭部の手術に後遺する顎運動障害、特に口を開けることができない顎関節強直症 ④顎関節腫瘍があります。

顎関節疾患の鑑別は必ずしも容易ではなく、本外来では専門医が丁寧な診察の上、必要なCTやMRIなどの画像診断を行い顎関節疾患を診断します。

顎関節疾患には保存的治療と外科的治療がありますが、顎関節症はほとんどが保存的治療で症状が緩和されます。一方で、顎関節脱臼や顎関節強直症(図1)では外科的治療が中心になりますが、当科では手術侵襲を少なくするため超音波切削器具などを用いて血管の損傷を回避したり周囲組織のダメージを減らすことで良好な治療成果をあげています。さらに顎関節腫瘍に対する顎関節鏡手術は皮膚の切開痕も目立つことなく、術後の顔面神経麻痺を回避することができる安全な手術です(図2)。

図1:右顎関節強直症症例の3D-CT写真

 

 

図2(a):滑膜性軟骨腫の腫瘍を確認(顎関節鏡画像)

図2(b):滑膜性軟骨腫を顎関節鏡視下で摘出

(顎関節鏡画像)

2)口腔顔面痛

口腔顔面痛学は、口腔や顔面に痛みを生じる疾患の診断と治療を行う歯科の新しい分野です。口腔顔面痛外来で扱う病気の種類としては、筋筋膜性疼痛、発作性神経痛(三叉神経痛と舌咽神経痛)、持続性神経因性疼痛(医療行為や外傷で神経が損傷されて生じる病的な痛み)、原因不明な歯痛や顔面痛(非定型顔面痛)、帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛、舌痛症、口腔内灼熱症候群などの疼痛疾患に加えて、口腔乾燥症、味覚異常、顎や舌の不随運動および慢性疼痛などの口腔心身症などがあります。

口腔顔面痛は、痛みを感じる場所と痛みの原因がある場所が一致しないことが多く、痛みが慢性化していることが少なくありません。私達は構造化された医療面接と詳細な診察の上、必要な臨床検査やMRIやCTなどの画像診断を行い、痛みの原因疾患を診断します。その結果、血管性頭痛など医科領域の疾患が原因で歯や顎関節に痛みを生じていた場合、その疾患の専門医師に治療を依頼し、連携して治療を行います。一方、痛みの原因が口腔顔面領域にある場合、痛みの原因に則した治療(薬物治療や理学療法、心理医学療法)を行っております。特に薬物療法には、患者さんの体質を考慮したテーラーメイド医療として漢方薬を積極的に取り入れています。

良性腫瘍

腫瘍とは生体を構成している細胞の一部が全身的な統制を受けずに自律的に増殖し、原因となる刺激物が除去された後も過度の成長を続けるものと定義され、悪性と良性に分類されます。良性腫瘍の臨床的特長として①膨張性の発育②発育速度が緩慢③転移、再発の少ないこと④宿主の全身への影響がほとんどないこと⑤細胞異型の程度が軽いこと⑥核分裂像の少ないことなどが挙げられます。

1)軟組織に発生する良性腫瘍

上皮性腫瘍:乳頭腫、多形性腺腫などの唾液腺腫瘍である。
非上皮性腫瘍:血管腫やリンパ管腫、線維腫、脂肪腫、平滑筋腫や神経原性腫瘍など。

2)顎骨に発生する良性腫瘍

歯原性腫瘍:エナメル上皮腫、歯牙腫、歯原性石灰化上皮腫、粘液腫など。
非歯原性腫瘍:骨腫、軟骨腫、セメント質形成性線維腫など。

臨床所見としては通常自覚症状に乏しいことが多く、歯科で口腔内を診査した際に指摘されたり、歯科治療のために撮影したレントゲンで発見されたりすることも多いようです。治療としては病巣の完全な切除または摘出が行われます。腫瘍の発育が進んでいて術後に顔貌の変形や咀嚼・言語機能などに大きく影響を与える場合には審美的、機能的障害に対する治療が必要になることもあります。

外傷

口腔顎顔面外傷は顔面の軟組織すなわち皮膚や粘膜の損傷、上顎骨や下顎骨などの骨折および歯の脱臼、破折などがあります。

(当科の外傷治療の特色)
顎骨骨折、特に下顎骨の関節突起(顎の関節)部に対して内視鏡を用いた低侵襲手術を行なっています。

1) 軟組織の損傷

機械的損傷:切創、裂傷、挫滅傷などの外力が一過性に作用して生じる外傷と慢性的な外力によって生じる褥瘡性潰瘍があります。
温熱的損傷:火傷および凍傷。
放射線損傷:悪性腫瘍に対する放射線治療後にみられる。

2) 顎骨骨折

顎骨骨折に対する治療には,保存的治療と外科的治療の2つの方法があります。保存的治療はゴムやワイヤーなどで顎を数週間固定して治療します。手術を行わなくてよいといった利点がありますが,治療期間が長くなることと開口障害が生じること,さらに骨折した顎骨が変形治癒を起こすといった欠点があります。これに対して外科的治療では治療期間は短期間になりますが、下顎骨の関節突起(顎の関節部分:耳の手前部)の骨折では一般的な外科的治療では皮膚を切開するため顔面神経麻痺や皮膚の瘢痕(傷)が術後合併症として問題になることがあります。そのため,われわれは治療期間を短縮させることと顔面神経麻痺と皮膚の瘢痕を回避することを目的に、下顎骨の関節突起骨折に対しては内視鏡を使用した低侵襲な治療(チタン製プレートでの固定)を標準的に行っています(図1ー4)。この内視鏡支援下での骨折手術では皮膚切開は行わず、口腔内からのアプローチとしているため外から見ただけでは傷は目立ちません。

図1:左関節突起骨折の3D-CT写真

図2:内視鏡画像(骨折部の確認)

図3:内視鏡画像(プレート固定時)

図4:内視鏡画像(プレート固定後)

3)歯の外傷

歯の打撲:外傷性歯根膜炎や歯髄壊死など。治療は歯の暫間固定、歯髄処置などを行います。
歯の脱臼:外力によって歯が歯槽窩から逸脱した状態。治療は完全脱臼で保存状態がよければ再植術、不完全脱臼では整復・固定処置を行います。
歯の破折:保存が可能な場合は歯冠修復や歯根端切除を行います。保存が不可能な場合は抜歯します。

抜歯

1)合併症を有する抜歯

 高齢化社会に伴い心疾患(心筋梗塞・狭心症、高血圧症)、脳疾患(脳梗塞)、糖尿病など多くの合併症を有する患者さんが多くなり、術前に内科主治医などと連絡をとり抜歯を行っています。

2)智歯抜歯

 いわゆる「親知らず」の抜歯です。顎骨の大きさに比較して歯が並びきれなくなってしまい、斜めに萌出したり、水平に埋伏することで清掃性が劣るために炎症を引き起こしたり、あるいは前方への力となって前歯部の叢生(乱杭歯)を引き起こす要因となるため抜歯を行います。

3)移植

 歯を抜歯した後、冠橋義歯(ブリッジ)や義歯とせず、必要でない自分の歯(智歯など)を抜歯したところに移植し、その歯を利用して修復を行います。

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