東北大学病院

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矯正歯科

病棟 東病棟10F
外来 外来診療棟C 3F
外来受付 Tel : 022-717-8376
独自webサイト 東北大学病院 矯正歯科
対象疾患
歯ならびや咬み合わせの異常(一般の不正咬合)/顎のかたちの異常による歯ならびや咬み合わせの異常(顎変形症)/歯列不正を伴う口唇裂・口蓋裂などの先天異常/国の定める先天疾患

矯正歯科のご案内

対象疾患

良い歯並び・咬み合わせ(正常咬合)の条件

 

 

 良い歯並び・咬み合わせの条件を以下に示します。
①上あごと下あごの歯が滑らかな弧を描くように並んでいる。
②上の歯が下の歯の2-3mm程度外側に位置している。
③上の歯が下の歯を2-3mm程度上下的に被っている。
④上下の歯が正しい接触関係を保っている。
⑤上と下の歯の真ん中の左右的ずれがない。
 これらの正常咬合の条件から著しく逸脱した状態を不正咬合(悪い歯並び・咬み合わせ)と呼びます。

悪い歯並び・咬み合わせ(不正咬合)の種類

 不正咬合にはさまざまな種類がありますが、主なものとしてはそう生、空隙歯列、上顎前突、下顎前突、開咬、正中のずれ(交叉咬合、非対称)があります。

(1)そう生(そうせい)(乱杭歯、凸凹の歯並び)
 歯のサイズに対して歯の配列スペースが不足しているために、歯が重なり合うように並んだ状態をいいます。そう生は日本人において発現頻度が最も高い不正咬合であります。平成23年歯科疾患実態調査によると、12~20歳でのそう生の頻度は44.2%でした。

(2)空隙歯列(くうげきしれつ)
 前述したそう生とは逆に、歯の並ぶスペースに対し歯のサイズが小さいため、歯と歯 の間に隙間がある状態をいいます。乳歯列期や混合歯列期(乳歯から永久歯に生え変わる時期)であれば、隙間があることは問題とはなりませんが、中学生以降で隙間がある場合は、不正咬合と診断されます。空隙歯列の原因としては、歯の先天欠如、歯のサイズが小さいこと、舌突出癖(舌を前に出す癖)および重度の歯周病などがあります。

(3)上顎前突(じょうがくぜんとつ)(出っ歯)
 上の歯が下の歯に対して著しく前方に位置(突出)している状態をいいます。上顎前突は、歯の位置に起因するものと上あごや下あごのサイズに起因するものに分けられます。例えば、上の前歯が突出している患者さんや下の前歯が後方に位置している患者さん、あるいは上あごのサイズが大きく前方に位置する患者さんや下あごのサイズが小さく後方位を示す患者さんでは、咬み合わせは上顎前突となります。
 上顎前突の原因には、母指吸引癖(指しゃぶり)、口唇癖(唇を上と下の歯の間にはさむ癖)、習慣性口呼吸およびあごの関節の病気などがあります。

(4)下顎前突(かがくぜんとつ)(受け口)
 下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態をいいます。下顎前突は、上顎前突と同様、歯の位置に起因するものとあご骨のサイズに起因するものに分けられます。

(5)開咬(かいこう)
 奥歯で咬んだ状態にもかかわらず、上と下の歯の間に上下的に隙間がある状態をいいます。食物を咬むための筋肉が弱く、上下的に長い顔立ちの子どもに多くみられます。開咬の原因として多いのは、母指吸引癖、舌突出癖(嚥下時や発音時に舌を前に出す癖)、食物を咬むための筋肉の活動性の低下です。

(6)交叉咬合(こうさこうごう)(正中のずれ)
 下あごの左右的非対称の子どもでは、上下の歯の正中(真ん中、右の写真の矢印)のずれや顔の非対称がみられます。生まれつきあご骨の非対称の子どももいますが、生後の成長過程で、下あごの左右での成長量の差が大きいと正中のずれを生じます。

(7)歯の萌出(生え方)の異常
 乳歯から永久歯への交換は6歳から12歳の長期にわたって行われます。もし、永久歯の生える方向が異常な場合、 隣の歯の根っこの吸収を引き起こしたり、生える時期を過ぎても歯があご骨内に埋まった状態(埋伏)となることがあります。

不正咬合が健康に及ぼす影響

 不正咬合は、ただ単に歯並びや口元の見かけの問題だけでなく、様々な生理的、機能的問題を引き起こすことが知られています。例えば、そう生によって生じる問題としては、歯みがきによる口腔清掃が困難となり、むし歯や歯周病になりやすいこと、ある特定の歯だけが強く接触することによって歯を支えている歯周組織が損傷を受けることがあげられます。最近の研究では、むし歯や歯周病は、ただ単に歯や口の健康に悪い影響を及ぼすだけでなく、さまざまな全身疾患との関連性が明らかにされています。むし歯や歯周病の原因菌や細菌が産生する炎症関連物質が血管に入り、脳梗塞、アルツハイマー、誤嚥性肺炎、心臓病、早産・未熟児の発症リスクが高くなることや糖尿病の悪化をきたすことが報告されています。また、上顎前突や開咬では口唇の閉鎖、まえ歯での食べ物の咬み切り、発音機能に悪い影響を及ぼします。

診療内容

不正咬合の診断

 前述したさまざまな不正咬合は、歯の位置に起因するもの(歯性不正咬合)とあご骨の位置やサイズに起因するもの (骨格性不正咬合)に分類することができます。我々の診療科に来院する患者さんでは、約半数が後者の骨格性の不正咬合に分類されます。もし、患者さんの不正咬合の要因が歯の位置だけであれば、歯を正しい位置に配列する治療 を行います。しかし、骨格性の不正咬合と診断された場合には、歯の配列だけでなく、あご骨の成長のコントロールあるいは外科的矯正治療を行う可能性が高くなります。
 骨格性不正咬合に関連するあご骨は、思春期性成長の時期(女子で10歳から15歳、男子で12歳から17歳)に大きく成長するため、この時期に不正咬合がさらに悪化することがあります。したがって、適切な矯正歯科治療を行うためには、患者さんの不正咬合の要因が歯性であるのか、それとも骨格性であるのかを診断する必要があります。そのため、矯正歯科の診断では、歯の位置の診断のために歯列の模型、あご骨のサイズや位置の診断のために頭のエックス線写真、口の中の写真、顔の写真などを用います。

歯列の模型と頭のエックス線写真の撮影・分析

矯正歯科治療の方法(4つの治療対象)

 矯正歯科治療の方法には、その治療対象によって、(1)歯の配列、(2)あご骨の成長のコントロール、(3)歯の配列とあご骨手術を併用する外科的矯正治療および(4)口の周りの筋肉を鍛える治療に分けられます。

(1)歯を正常な位置に配列する治療(舌側弧線装置、マルチブラケット装置)
 矯正歯科治療では、歯に弱い持続的な力を加えると歯を囲む骨の一方で骨が吸収し、他方で骨が形成されるという性質を利用して、悪い位置にある歯をゆっくりと正常な位置に移動させます。
 歯の配列に用いる装置は20種類くらいありますが、代表的な装置は、舌側弧線装置とマルチブラケット装置です。前者は主に歯の生え変わりの時期に、後者は主に12歳以降に永久歯が生えそろってから用います。
 マルチブラケット装置に用いるブラケット(ボタン)は、従来は金属製だけでしたが、最近では大人で矯正治療を希望する患者さんの要望に合うように、審美的に目立たないセラッミック(陶材)製あるいはプラスチック製のボタンさらには歯の裏側にボタンと針金を付ける方法(舌側ブラケット矯正)も開発されております。この装置では、歯にボタン(ブラケット)を接着剤で直接とりつけ、ボタンの溝に針金を装着し、針金によって生じる弱い力を利用して歯の移動を行います。針金の調整は1か月間隔で行う必要があり、2年から3年位の治療期間がかかります。

子どもの時期に数本の永久歯の配列に用いられる舌側弧線装置(左)と部分的ブラケット装置(右)

すべての永久歯の配列に用いられるマルチブラケット装置(左、金属製).ブラケットの拡大写真.ブラケットの横に走 る溝に針金が入る(右)

セラミック製のマルチブラケット装置(左) .歯の裏側につけるマルチブラケット装置(右)


(2)あご骨の形や位置を変える治療
 成長期の子どもにおいて上あごや下あごの大きさや位置に問題がある場合には、口の外に見える装置を用いてあごの成長をコントロールし、骨の形や位置を変えるような治療を行います。なお、この治療での装置の使用は夜間に限定されます。使用期間は1年から2年です。

 

下あごの大きい子どもに用いるチンキャップ (左) .上あごの大きい子どもに用いるヘッドギア(中央) .上あごの小さい子どもに用いる上顎前方牽引装置(右)

(3)あご骨手術を併用した矯正歯科治療(外科的矯正治療)
 あごの骨の変形の程度が大きく、矯正歯科治療単独では歯および歯周組織への負担が大きくなり、良い咬み合わせを獲得できないと診断した場合には、矯正歯科治療とあご切り手術を併用する治療が行われます。この方法では、あごの骨の変形による顔の形を大きく改善することができ、また歯に負担をかけることなく良い咬合を獲得できるという利点があります。治療は普通の矯正治療と同じく2年位を要しますが、途中2週間位の入院が必要になります。
 なお、当科は、障害者自立支援並びに顎口腔機能診断料算定の国の定める指定医療機関です。顎の外科手術を要する顎変形症および口唇口蓋裂などの先天異常疾患に起因した咬み合わせの異常に対する矯正歯科治療には保険が適用されるため、料金的にも普通の矯正治療と同じ位の費用で治療を行うことができます。

(4)口の周りの筋の機能訓練
 不正咬合の原因と考えられる口唇の筋、咀嚼筋、舌筋などの異常な活動を解消するために、それらの筋の機能の訓練を行います。

矯正歯科治療の時期

(1)子どもの治療
 あご骨の位置やサイズに問題のある子どもでは、将来的に永久歯を抜歯しての治療とならないように永久歯の配列できるスペースの確保、あご骨の位置やサイズの異常に対する成長のコントロール、および舌や口唇の機能異常などの機能的な問題を最優先で改善します。そのための治療期間は1年から2年であり、その後は歯の萌出や顎骨の成長の観察を定期的に行います。最終的には永久歯の萌出が完了する12歳、あるいはあご骨の成長がほぼ終了する15歳以降に必要があれば、マルチブラケット装置を用いた最終的な矯正歯科治療を行います。

(2)大人の治療
 子どもの治療と異なり、大人ではあご骨の成長をコントロールすることはできませんが、それ以外の歯の配列あるいは外科的矯正治療による治療を行います。う蝕と歯周病の治療が終了していれば、何歳になっても矯正治療は可能です。また、良い補綴装置(ブリッジ、インプラント、義歯)を入れるための前処置、あるいは重度の歯周病によって生じた不正咬合の矯正歯科治療(限局矯正)にも積極的に取り組んでおります。

歯の移動後の治療(歯の後戻りの防止と保定)

 矯正歯科治療終了直後は、新しい位置に移動させた歯が元の位置に戻る傾向があり、このことを後戻りといいます。歯の後戻りを防ぐために、歯の移動後は保定という治療を行います。保定に用いる装置は保定装置と呼ばれ、患者さん自身で取り外しができるタイプと歯の裏側に細い針金を接着するタイプがあります。保定には2年から5年かかります。ただし、来院の頻度は数か月に1度となります。

患者さん自身で取り外しができる保定装置(左).歯の裏側に接着する保定装置(右)

診療費について

自費による矯正歯科治療(一般の不正咬合)

 一般的な矯正歯科治療は自費になります。歯列不正の状態や治療方法によって治療費は変わりますが、マルチブラケット装置という矯正歯科治療で一般的な方法を用いて治療を行った場合は、総額でおおむね70万円から100万円くらいになります。詳しくはご来院のうえご相談ください。

健康保険による矯正歯科治療(顎変形症・口唇裂・口蓋裂などの先天異常を伴う不正咬合)

 あごを手術しなければ上下の正常な咬み合わせができない患者さんで、「顎変形症」と診断された方は健康保険を用いた矯正歯科治療を受けることができます。矯正歯科治療だけではなく手術や入院についても保険が適用されます。矯正歯科治療にかかる総額は30万円から40万円くらいになります。
歯列不正を伴う口唇裂・口蓋裂などの先天異常にも健康保険が適用できますので、詳しくはご相談ください。

診療の特色

矯正歯科では、前から見えない矯正歯科治療など専門的かつ高度な診療を行っております。

前から見えない矯正歯科治療

 普通は歯の表につける矯正装置を歯の裏につけますので、装置をつけていることがわかりません。この治療法は、すべての方に適用できるわけではありませんので、ご希望の方はご相談ください。

歯科矯正用アンカースクリュー(インプラント)を用いた矯正歯科治療

 図のような小さなインプラントを用いた矯正歯科治療もご相談に応じて行っております。

顎口腔機能検査

 顎関節の動きも含めた下顎の3次元運動の測定や筋電図、咬合力などの機能検査を行って矯正歯科治療を進めてまいります。図は、LEDの動きを2台のCCDカメラが光学的に非接触で検出、優れた運動追従性で正確な3次元6自由度の顎運動データを記録できる装置です。下顎の運動軌跡とともに速度変位データも記録され、さまざまな画面表示でより詳細な解析が可能になります。

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