東北大学病院

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診療受付:8:30-11:00 再診受付機 8:00-11:00

休診日:土・日・祝・年末年始12/29-1/3

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心臓血管外科

対象疾患と診療内容

当科では、大動脈瘤に代表される大動脈疾患、弁膜疾患、虚血性心疾患、先天性心疾患などを対象としており、更には重症心不全患者に対する補助人工心臓装着、心臓移植と高度先進医療に向けて質の高い医療を提供できるよう日々努力を続けています。

先天性心疾患

生まれつきの心臓奇形に対して外科的診療を行っています。
様々な心奇形があり、症状や遠隔期予後を鑑みながら各々の病態に適した時期に手術を行っています。また、こどもの頃に手術を受けていても大人になってから再手術が必要になることや、大人になってから心臓や大血管の奇形が発見される場合があり、当院での弁膜症や大血管、重症心不全の治療の経験を生かしながら手術を行っています。

虚血性心疾患

心臓自身を養う動脈のことを冠動脈(かんどうみゃく)と言います。心臓の筋肉(心筋)に必要な酸素はすべて冠動脈を介して供給されています。この冠動脈に狭窄、あるいは閉塞が起こることで心筋が酸素不足になると、狭心症や心筋梗塞になります。これらの病気に対する治療としては、薬物療法、冠動脈カテーテル治療、冠動脈バイパス術があります。薬物療法、カテーテル治療で効果がないとき、あるいはカテーテル治療が困難な場合、冠動脈バイパス術が検討されます。冠動脈バイパス術は、狭窄や閉塞した冠動脈の代わりに血液が流れるための道を作成します。胸部、下肢(太もも)、腹部、上肢(前腕)などから採取した自分の血管を使用します。古くは心臓を停止してバイパスを作成していましたが、近年は心臓が拍動した状態で行うバイパス術も可能になっています。当科では患者さんの状態に応じて、手術方法を決定しています。

大動脈疾患

 大動脈とは心臓から拍出された血液が通る太い血管です。横隔膜よりも頭側に位置する大動脈を胸部大動脈、尾側に位置するのを腹部大動脈といいます。当科の対象となる大動脈疾患は胸部大動脈または胸部から腹部に及ぶ広範囲な大動脈に治療対象の病変がある場合です。大動脈の主な病気としては大動脈瘤と大動脈解離があります。大動脈瘤の破裂や急性大動脈解離に対しては緊急手術(人工血管置換術)を第一選択としています。大動脈瘤や大動脈解離の慢性期には瘤径の拡大が問題となります。降圧剤などによる拡大の抑制は可能ですが根治手術は外科的治療しかありません。通常は種々の検査を行った後、耐術できるか評価をして、できるようであれば人工血管置換術が選択されます。一方近年低侵襲手術として大動脈ステント治療が施行されています。カテーテル操作により、ステントグラフトというバネ状の金属が付いた人工血管を大動脈瘤の前後を含めた大動脈内に展開するという治療です。大動脈ステント治療は開胸を要さないため、高齢者や重度の合併症があり通常の開胸術が困難と思われる場合に選択されます。

弁膜症

 心臓の中には4か所に弁があり、一定方向に血液が流れるように機能しています。この弁の構造に変化が生じて、狭窄(狭くなる)や逆流が生じることを弁膜症といいます。進行した弁膜症では内科的に心不全をコントロールすることが難しく、外科治療が必要となります。最近では可能な限り自己弁を温存する弁形成術を施行する傾向が強くなっています。しかし、弁形成術が不可能な場合もあり、人工弁を用いた外科治療が必要となります。人工弁には機械弁、生体弁がありそれぞれに長所と短所があります。機械弁の最大の長所は耐久性に優れている点です。しかし、一生涯にわたる、抗凝固療法(ワーファリンの内服)を必要とします。定期的に血液検査を行い、ワーファリン量の調節が必要であることに加え、その効果を減弱させる納豆の摂取を控えてもらう必要があります。生体弁では心房細動や血栓症などを合併する場合を除き、術後3~6ヶ月以降はワーファリン内服による抗凝固療法を必要としないのが最大の長所です。しかし、耐久性の点で問題を残しており、10~15年で劣化を生じ、再弁置換が必要となる場合もあります。どのような手術方法を選択するかは、心臓カテーテル検査や心エコー検査等により弁の状態、心機能、また、年齢や全身状態を加味して決定しております。さらに近年では、大動脈弁狭窄症に対してカテーテルを用いた手術(TAVI)を行うことができるようになり、従来手術が困難であった高齢者にも適応が広がっております。

重症心不全・心臓移植

 心臓は血液を全身に送り出すポンプの働きをしています。この心臓のポンプ機能が低下すると、全身に充分な血液を送ることができなくなり、息切れ、疲れやすいなどの症状がでます。また血液の渋滞(うっ血)も生じ肺うっ血による呼吸困難や全身のむくみが生じます。この心臓のポンプの働きが低下した結果として起きる身体の状態を心不全と云います。この心不全が重症になると、薬物療法だけでは改善せず、全身の臓器不全(多臓器不全)が進行してしまいます。これまで紹介した冠動脈バイパス術や弁膜症手術の適応もない場合、救命のための治療は心臓移植しかなくなります。心臓移植は、様々な検査で心臓以外の臓器に問題がないことなど、適応条件があれば選択することができる治療法です。しかし現在臓器提供者数に比べ心臓移植待機患者数が圧倒的に多く、心臓移植待機期間は4~5年になっています。この間の橋渡し治療として、補助人工心臓治療があります。補助人工心臓には体外式と植込み型の2種類があります。植込み型を使用すると、退院して職場復帰や復学して心臓移植を待つことができます。

診療の特色

 当院ではこれまでに18例の心臓移植を実施しました。当施設は年間症例数として250~300例の心臓大血管手術を施行しており、症例の内訳は以下に示す表の通りです。85%が後天性心疾患や胸部動脈瘤疾患などの成人例で15%が小児例です。最近、高齢者の弁膜疾患や大動脈疾患がやや増加傾向となっています。当科における過去5年間(2013-2017年)の術式別入院死亡率(重症例、緊急例を含む粗死亡率)は次の通りです。

 弁膜症手術 2.5%
 冠動脈バイパス手術 2.0%
 胸部大動脈手術 5.9%

 これらの成績は、疾患の重症度や緊急性によって大きく影響を受けますが、2010年の日本胸部外科学会の学術調査結果によれば、全国の後天性心疾患の弁膜症、虚血性心疾患、胸部大動脈瘤の平均死亡率は3.4%、2.1%、7.9%となっており全国統計と比較しても遜色のない成績となっています。

年間症例数

(集計期間:2012年12月1日〜2017年11月30日)

  2013 2014 2015 2016 2017
手術数 手術数 手術数 手術数 手術数
先天性開心術 28 23 30 21 25
先天性非開心術 21 10 15 27 24
弁膜症 55 69 57 76 63
TAVI - 10 12 17 28
単独CABG on pump CABG 12 8 7  7  9
off pump CABG 11 11 14 10 11
心筋梗塞合併症に対する手術 1 0 0 0 2
不整脈に対する手術 単独  0 0 0 0
併施 15 7 15 16 0
収縮性心膜炎手術 2 2 3 0 0
心臓腫瘍 3 2 1 3 4
HOCM及びDCM 0 1 1 1 0
解離性大動脈瘤 31 22 28 38 37
非解離性大動脈瘤 34 37 35 25 34
大動脈ステント 30 29 40 20 42
補助人工心臓 15 16 11 25 18
心臓移植 2 2 3 0 3
その他の開心術 3 2 3 10 1
合計 263 241 263 291 300
 

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