病棟 | 東病棟 13F | 外来 | 外来診療棟C 1F |
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外来受付 | TEL : 022-717-7756 | 独自webサイト | 東北大学大学院医学系研究科 外科病態学講座泌尿器科学分野 |
対象疾患 | 泌尿生殖器系悪性腫瘍/副腎腫瘍/男性重症尿失禁/排尿障害/尿路結石/男性不妊症、男性機能障害/小児泌尿器疾患 |
対象疾患と診療内容
泌尿器科は腎臓と尿管、膀胱、尿道などの尿路と、前立腺、精巣、陰茎などの生殖器の疾患が対象です。さらに、副腎の外科を行っています。青壮年から高齢者では、不妊症、精巣腫瘍、尿路結石、膀胱癌、腎癌、前立腺癌、前立腺肥大症、尿路感染症、神経因性膀胱障害、過活動膀胱、尿失禁、性行為感染症、ED(性機能障害)、男性更年期障害、副腎腫瘍などが対象疾患です。
診療の特色
泌尿生殖器系悪性腫瘍
宮城県内では仙台市を含めて血液検査(PSA)を用いた前立腺癌検診を広く実施し、前立腺癌の早期発見に努めています。限局性前立腺癌に対しては関連施設とも連携して、手術療法、放射線療法など多くの治療オプションを用意しています。2012年にロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術が保険適応となりました。現在、手術療法のほとんどがロボット支援下に行われています(図1)。また神経温存手術を重視して性機能を含めた術後のQOL改善に努めています。放射線療法では、強度変調放射線療法(IMRT)や密封小線源療法(ブラキセラピー)など副作用の少ない最新の治療法を提供しています。前立腺癌には、内分泌療法がよく奏功しますが、内分泌抵抗性となった患者さんには新規の抗癌剤を使い、成果をあげています。
図1 ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術
腎癌、腎盂尿管癌も多くの症例で腹腔鏡手術が行われ、患者さんに侵襲の少ない治療を目指しています。2016年4月よりロボット支援下腎部分切除術が保険適応となり、小さな腎癌の手術はほとんどロボット支援下に行っています。いずれも術後約1週間前後で退院できるのが特徴で、患者さんの早期社会復帰に役立っています。
精巣腫瘍は抗癌剤の効果が期待される癌であり、たとえ転移があっても、その80%の患者さんは完治されます。それでも難治性の場合には新規抗癌剤を積極的に導入に優れた治療成績を上げています。「精巣腫瘍に対する腹腔鏡下後腹膜リンパ節郭清術」は2020年4月に保険診療として認定されましたが、当科ではそれ以前から高度先進医療として全国に先駆けて行ってきた実績があります。また開腹手術の際でも可能な患者さんでは射精神経を温存して妊孕性と性のQOLを重視する手術を行っています。
膀胱癌は抗癌剤がよく奏功する癌であり、浸潤癌でも膀胱温存ができる可能性があります。手術の対象とならないリンパ節転移を認める患者さんには抗癌剤の治療と放射線照射を併用し60%以上の5年生存率を得ています。また、筋層浸潤性膀胱癌にもロボット支援手術を導入して手術の低侵襲化をはかっています。自然排尿型代用膀胱、回腸導管、尿管皮膚瘻、など患者さんの生活スタイルとニーズにあった尿路再建を行っています。
副腎腫瘍
副腎の手術はほとんど腹腔鏡手術で行い、国内最多の年間手術件数を誇ります。原発性アルドステロン症(PA)は腹腔鏡手術によって治療できる副腎疾患で、内分泌内科、放射線科、病理診断部との連携のもとに診療拠点を形成しています。CT検査でも見つからない微小腺腫も多数治療しており、原発性アルドステロン症の手術件数は世界トップクラスです。
男性重症尿失禁
前立腺癌や前立腺肥大症の手術、外傷などにより重度の尿失禁がおこることがあります。このような場合の唯一の根治療方法が人工尿道括約筋埋め込み手術です(図2)。術後の患者さんのQOLは劇的に改善されます。手術件数は国内トップクラスです。
図2 重症尿失禁に対する人工尿道括約筋植え込み手術
排尿障害
神経因性膀胱の患者さんには原因の究明をはかることにより適切な薬剤治療及び排尿管理を行っています。また、重症の萎縮膀胱の患者さんには腸管を用いた膀胱拡大術も行っています。東北大独自で開発した仙骨表面電気刺激療法は、難治性の過活動膀胱、夜尿症などに大きな効果を上げています。原因不明の難病である間質性膀胱炎の治療法開発のための臨床研究を実施しています。前立腺肥大症の多くはα遮断剤による薬物療法が行われています。無効の場合も経尿道的前立腺切除術やレーザー手術などできるだけ患者さんの負担が少ない手術法を選択しています。
尿路結石
腎盂、尿管、膀胱の結石に対して主に経尿道的に内視鏡を膀胱、尿管、腎臓まで挿入し、レーザーで破砕してかけらを鉗子で摘出する手術を行っています。また結石の状況によっては対外衝撃波(ESWL)による破砕や、背中から直接腎臓へアプローチする内視鏡手術も行っています(経皮的腎砕石術)。
男性不妊症、男性機能障害
男性不妊症に対しては産婦人科と連携して最新の補助生殖医療の一翼を担っています。精索静脈瘤や閉塞性無精子症などに対しては顕微鏡下の手術を積極的に行い、良好な成績を上げています。中高年以降の男性では、男性更年期障害が注目されています。性機能障害EDの治療も含めて、総合的な治療を行っています。
小児泌尿器疾患
宮城県立こども病院泌尿器科と密接な連携のもとに診療にあたっています。精巣が陰嚢内に下がりきらない停留精巣がしばしばみられ鼠径部にも触れない場合は腹腔内精巣の可能性があり、必要に応じて腹腔鏡検査を行っております。
主な手術件数
(2019年)
ロボット支援下根治的前立腺全摘除術 | 91件 |
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経尿道的膀胱腫瘍切除術 | 86件 |
副腎摘除術(鏡視下) | 54件 |
経尿道的尿管砕石術(TUL) | 43件 |
腎摘除術(鏡視下) | 30件(腹腔鏡24件/開腹6件) |
腎部分切除術 | 24件(ロボット22件/開腹2件) |
腎尿管全摘除術 | 22件(腹腔鏡16件/開腹6件) |
膀胱全摘術 | 15件(ロボット7件/開腹8件) |
小線源療法 | 14件 |
高位精巣摘出術 | 14件 |
人工尿道括約筋埋込術 | 7件 |
後腹膜リンパ節郭清術 | 6件(開腹5件/腹腔鏡1件) |
顕微鏡下精索静脈瘤根治術 | 4件 |
膀胱水圧拡張術 | 3件 |
精索捻転解除術 | 3件 |
後腹膜腫瘍切除術 | 3件 |
膀胱部分切除術 | 3件 |
対外衝撃波結石破砕術(ESWL) | 2件 |
ロボット支援腹腔鏡下腎盂形成術 | 2件 |
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