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臨床研究推進センター(CRIETO)新センター長インタビュー

2020.10.23 

2020年4月より、張替秀郎教授がCRIETOの新センター長に就任しました。設立から8年、第3代目となる張替センター長に、全世界を覆うコロナ禍の現状も踏まえつつ、臨床研究を推進するCRIETOの担うべき役割と今後の展望について聞きました。

 

新センター長インタビュー
学内外との連携を促す医療の時代に

 

CRIETOの自立化を推進し、臨床研究に長期的ビジョンを

 

-まずはセンター長に就任されての抱負をお聞かせください

CRIETOのミッションは、臨床研究の実施と支援、それにかかわる人材の育成という2本柱です。臨床研究から実用化を推進していくうえで、CRIETOにとって東北大学病院内にあることは大きなアドバンテージですし、東北大学病院にとっても開発現場が近くにあることで得られるシナジー効果もあるのではと思います。ただ、CRIETOが組織体として安定的に運営するためには、さらなる仕掛けが必要です。年度単位の経費執行が求められる研究費や補助金に頼る現在の体質では長期的なビジョンが立てられません。長期的なビジョンを立てていくうえでは、外部資金に頼るばかりでなく、組織としても自立化を目指す必要があります。ただし、臨床研究の支援機関としてのクオリティを維持しつつ、トレーニング期間を要する人材を引き受けて経験や知識を積める環境を整備することは、ある意味相反する両立が難しいテーマです。幸い、各部門には臨床研究のあらゆるフェーズで適切な支援を行うことのできる専門家が揃っておりますので、これらのエキスパートのもとでポテンシャルが高い若いスタッフがトレーニングを受けることで、人材育成と高品質の臨床研究支援の両立が可能と考えています。

 

 

-学外との連携についてはどのようにお考えでしょうか

 

アカデミアを中心とする臨床研究の支援の質を高めることはもちろんながら、産学連携の推進にも引き続き注力していきたいと考えています。CRIETOの設立から8年を経て、バイオデザイン部門や開発推進部門を中心に、外部カンパニーとの連携による共同研究の実績が様々に積み上がっています。例えば、医療現場に企業を招き入れ、課題探索から開発および事業化までを支援するアカデミック・サイエンス・ユニット(ASU)プログラムでは、47社の企業から1,400人以上が参加し、6件の新規事業化が実現しています。さらにASUプログラムを発展させるかたちでスタートしたオープン・ベッド・ラボ(OBL)では、東北大学病院内の一部旧病床機能をテストベッドとして企業に開放しており、現在は入居した企業3社との共同研究も進んでいます。また、フィリップスは日本初の研究開発拠点Philips Co-Creation Center(CCC)を2018年に仙台市内に開設しましたが、フィリップス・ジャパンと東北大学はヘルスケア共同研究の包括的提携を結び、CCCと連動する臨床拠点の一つとしてCRIETO内にPhilips Co-Creation Satellite(CCS)をオープンするなど、産学連携は一層深化しています。CRIETOのこうした取り組みは、イノベーションと資金面の両側面から病院経営を多角化していくよい効果があるように思います。また、東北大学は、2019年に東北大学ナレッジキャスト株式会社を設立し、社会のイノベーション創出を促す目的で、東北大学の研究成果や研究者の知見を活用して、事業課題を抱える企業のマネジメント等を行っています。CRIETOのスタッフも出向してその業務を担っており、国際部門・開発推進部門を中心とした研究開発における高度なコンサルティング事業は、CRIETO内でもより発展していく可能性があります。

 

 

-昨今の新型コロナウイルスをめぐる状況を受け、CRIETOが今後推進する臨床研究のあり方はどのようなものでしょうか

 

臨床研究の支援というミッションは、新型コロナウイルスの影響を受けて変わるところではありませんが、おそらくコロナ後の医療というものは大きく変わっていくと思います。特に遠隔医療やAI等の技術活用が組み込まれることで急速に変化することが予想されますが、そうした状況下で事業として展開する可能性があるのが医療機器です。医薬品は基礎研究、前臨床、そして臨床研究・治験による安全性と有効性の確認と、その開発に多大な難しさを伴いますが、医療機器は新しい技術をスピード感をもって開発へとつなげることができます。また、東北大学では医工連携を進めてきた歴史があり、CRIETOは医療機器に強みを持っています。今後は例えば生体情報モニタに加えてウェアラブルで血液のデータを計測できるような機器が開発できれば、遠隔診療や高齢者の在宅支援などが大きく変化・進展するのではないかと思います。そのように、学内および学外との連携を双方向に促す医療の開発が、これからの一つの方向性なのではないでしょうか。また、今回の新型コロナをめぐる状況下では医療材料の不足といった課題も浮かび上がりましたので、手術部や材料部を巻き込んでの医療材料の開発などが今後必要かもしれません。ディスポーザブルな医療材料には、資源および流通上の問題がつきまとうことが今回明らかになりましたし、医療材料の不足は病院経営でも大きな負担になってしまいますので、今後はディスポーザブルでない医療材料も検討しながら、状況を打開できる技術やアイデアを現場から募ることができればいいなと思いますね。このたびセンター長となったことを機にスタッフや関係者と対話を重ねるなかで、CRIETOがスペシャリストの集まりであるということを私自身も再認識しています。営利目的の外部組織とは違い、いわゆる臨床研究にかかわる学術的な教員が揃っているので、その意味でも実力を兼ね備えた組織です。資金的な制限は課題ですが、東北大学およびCRIETOならではの産学連携の取り組みなど可能性は十分ですので、スタッフ一人ひとりのオリジナリティをどんどん発揮していただきながら、今後も新たなモデルを構築していけたらと考えています。

 

 

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