あいさつ
東北大学病院循環器センター
東北大学病院循環器センターは、2012年7月1日付けで開設され、現在に至るまで継続発展しております。2011年3月に発生した東日本大震災のため約1年間の遅れをみましたが、復興と活動と並行して当初の計画を完遂し開設まで漕ぎつけた経緯がありました。
この循環器センターでは、西病棟9階に開放病床6床と個室2床のCCUを新設し、循環器内科・心臓血管外科の一般病床78床と一体となって機能的に運用できるようになりました。この循環器センターの開設により、東北大学病院では、高度救命救急センター、先進医療棟4階の集中治療部(ICU)、9階のCCU・一般病床、そしてリハビリテーション部と、急性期から慢性期まで切れ目のない循環器医療を提供する体制が整いました。
循環器内科と心臓血管外科の両診療科の連携を強化して、地域医療に貢献しております。
当循環器センターでは、虚血性心臓病・弁膜症・心不全・不整脈・肺高血圧症・心筋症・大動脈疾患・成人先天性心疾患など全ての循環器疾患に対する診療体制が高いレベルで整っております。それに加えて、東北大学病院は、心臓移植と肺移植を含め移植可能な全臓器移植の実施施設として認定されている全国でも少ない医療機関の一つであり、文字通り、東北地方・東日本の循環器診療の最後の砦の役割を果たしています。
東北大学病院循環器センターの稼働により、地域の病院・診療所の先生方と益々連携を深めて地域医療の充実に貢献していきたいと思いますので、どうぞ、宜しくお願い申し上げます。
センターの特色
1. 広域な診療圏
「東北大学病院循環器センター」は虚血性心臓病(狭心症や急性心筋梗塞)・弁膜症・心不全・不整脈・肺高血圧症・心筋症・大動脈疾患・成人先天性心疾患など、幅広い循環器疾患に対して最新の高度医療を実践・提供しています。特に東北大学病院は、心臓移植と肺移植を含め移植可能な全臓器移植の実施施設としてが認定されている全国でも数少ない医療機関の一つであるため、仙台市内・宮城県内や東北地方のみならず、広く東日本各地から、多くの重症の心不全や肺高血圧症患者さんをご紹介いただいております。また、人口の高齢化に伴い、慢性腎臓病や閉塞性動脈硬化症などを合併し、より高度の集学的治療を必要とする心臓病患者さんの割合も年々増加してきております。
2. きめ細かなチーム診療による高度循環器医療の提供
「東北大学病院循環器センター」では、循環器内科と心臓血管外科が連携を取り、良質な循環器チーム医療の提供を心がけております。特に、臓器移植法改正以降、徐々に増加している心臓移植や、心臓移植への橋渡し治療である植込み型補助人工心臓装着に関して、その適応決定から実施までの治療方針の一本化と迅速化を図っています。また、心臓への画期的な低侵襲性治療として定着している経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)に代表されるような循環器内科医と心臓血管外科医が一つのチームとして行う治療に積極的に取り組んでおります。
3. CCU(心臓血管集中治療部)の開設による診療体制の強化
「東北大学病院循環器センター」の開設時に、以前には大学病院西病棟3階集中治療部(旧重症病棟部)内にあったCCU(Coronary Care Unit:心臓血管疾患集中治療室)を西病棟9階に移動・新築しました。移設後のCCUは開放病床6床、感染症を合併した心臓病患者さんへの対応を考慮した個室病床2床の合計8床を備えています。全てのベッドに最新のモニタリングシステムが完備され、さまざまな処置や急変時に備えてベッド周りは十分なスペースが確保されており、24時間体制で循環器疾患に精通した看護師が配置されております。
4. 関連他科との連携による切れ目のない診療体制
幅広い病態を呈する循環器疾患に対応するために「東北大学病院循環器センター」は積極的に他診療科専門医師と密な連携を築き診療しております。「循環器内科ハートホットライン080-2801-1810」や「東北大学循環器内科病診連携ネットワーク」を通じてご紹介いただく救急患者さんは、高度救命救急センターの全面的な協力のもと、1年365日24時間体制で受け入れております。また、気管内挿管・人工呼吸器など集中治療が必要な患者さんは、麻酔科と連携して先進医療棟4階に設置されている集中治療部で治療します。
慢性期社会復帰に向けての心臓リハビリテーションはリハビリテーション部にご協力いただいております。さらに近年増加している下肢閉塞性動脈硬化症や先天性心疾患成人例における診療については、各々、総合外科・血管班と小児科・循環器グループとの連携が得られます。「東北大学病院循環器センター」では患者さんの病態・重症度に応じて、多くの診療科との連携をベースに、集中治療部・CCU・一般病床の3種類の病床を有効活用し、急性期治療から社会復帰に向けてのリハビリテーションまで、切れ目のない診療を行う体制が整っております。
5. 最先端の臨床研究と人材の育成
これまで東北大学は伝統的に「研究第一主義」を旗印としてかかげ、世界に多くの情報を発信してきました。「東北大学病院循環器センター」は、低出力体外衝撃波を用いた非侵襲性血管新生治療や肺高血圧症に対する分子標的治療の開発、極細径光ファイバ圧センサの応用開発、低侵襲性大動脈瘤診断装置の開発、植込み型補助人工心臓装置に伴う出血凝固系異常の解明など、基礎研究の成果を臨床に応用する、いわゆるトランスレーショナルリサーチ(橋渡し研究)の実践の場としての役割も担っています。学生や研修医、若手循環器内科医・心臓血管外科医らにとってこうした環境の中で学び、働くことは生涯にわたる財産となります。「東北大学病院循環器センター」は、地域医療や我が国全体の医療に大きく貢献できる人材の育成に大きく貢献するよう努めております。