研究
エクソソーム工学で細胞機能を飛躍的に増幅 ――がん検出、ドラッグデリバリー、抗老化への展開に期待――
東京大学大学院理学系研究科の合田 圭介教授(兼:東北大学SiRIUS医学イノベーション研究所 国際卓越教授)らによる研究グループは、細胞が分泌する微小な袋状のナノ粒子「エクソソーム/細胞外小胞(注1)」の表面を希土類(ランタノイド)(注2)イオンで化学的に修飾することで、同じ種類の細胞とエクソソーム同士が選択的に結びつく性質「同種標的化(注3)」を25倍以上に高める新技術を開発しました(図1)。研究グループはこの増強効果を「超同種標的化」と名付けました。本技術を用いると、多種多様なエクソソームが混在する試料の中から目的の細胞由来エクソソームだけを高速かつ高選択的に捕捉できます。これにより、ごく微量のがん由来エクソソームやがん細胞を血液から高感度に検出することが可能となり、本研究で臨床実証したトリプルネガティブ乳がん(注4)のリキッドバイオプシー(注5)や進行が早いがんや難検出がんの早期診断や再発モニタリングへの応用に加え、ドラッグデリバリー、組織工学、抗老化治療への展開が期待されます。本成果は、7月22日付で国際的な学術誌「Nature Biomedical Engineering」に掲載されました。

図1:エクソソームの表面を希土類イオンで修飾して「超同種標的化」を実現する概念と評価
エクソソームの表面に希土類イオンを導入すると、同じ種類の細胞との相互作用が25倍以上に増強され、目的のエクソソームだけを短時間で選択的に捕捉できるようになる。
【用語説明】
注1.エクソソーム(細胞外小胞、small extracellular vesicles, sEVs):細胞が分泌する直径30〜150ナノメートル程度の微小な袋状の粒子。タンパク質や核酸などを内部に運んで細胞間の情報伝達を担う。がんの状態を反映する分子を含むため、診断の標的として注目されている。
注2.希土類(ランタノイド):周期表でランタンからルテチウムまでの15元素の総称。本研究ではユウロピウムやテルビウムのイオンを用いた。
注3.同種標的化:細胞が自分と同じ種類の細胞を見分け、優先的に相互作用・結合する性質。
注4.トリプルネガティブ乳がん(TNBC):乳がんの治療標的となる3種類の受容体(ER、PR、HER2)をいずれも持たない乳がん。有効な分子標的薬が少なく、再発しやすく悪性度が高いため、検出・治療が難しいとされる。
注5.リキッドバイオプシー:血液など体液中に含まれるがん由来の細胞や分子を調べ、がんの有無や状態を低侵襲に評価する検査法。
【問い合わせ先】
(報道に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
TEL: 022-717-8032
Email: press.med*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
関連リンク
SiRIUS(医学イノベーション研究所)

TEL
アクセス
交通アクセス










