研究
慢性不眠が炎症性腸疾患を悪化させる可能性 炎症性腸疾患患者の睡眠状況に関するアンケート調査結果
潰瘍性大腸炎(注1)とクローン病(注2)に大別される炎症性腸疾患は、慢性の腸炎を起こす病気です。不眠や精神的ストレスなどが病状悪化の一因になると言われてきましたが、実際の確認はできてはいませんでした。
東北大学病院消化器内科の大山 秀晃医師(現八戸市立市民病院)、諸井 林太郎病院講師、正宗 淳教授らの研究グループは、アンケート調査の結果をもとに炎症性腸疾患患者の慢性不眠の有無を評価し、慢性不眠の有無で2群に分けて経過観察を行い、その後の炎症性腸疾患の治療強化を要した割合を比較しました。その結果、慢性不眠を有する潰瘍性大腸炎患者群は、不眠を有しない群に比べて腸炎の治療強化を必要としている割合が高く、慢性不眠が潰瘍性大腸炎の増悪に関与している可能性が示唆されました。
本研究結果から、慢性不眠を有する潰瘍性大腸炎患者に不眠治療を行うことで腸炎悪化の危険性を低下させられることが期待されます。
本研究結果は2024年7月25日、炎症性腸疾患に関する専門誌Journal of Crohn’s and Colitisの電子版に掲載されました。
Journal of Crohn’s and Colitis
【用語解説】
注1.潰瘍性大腸炎:血便などを主訴とする大腸炎で、国の指定難病です。若年で発症することが多く、比較的高齢で発症することもある。長く炎症が持続すると大腸がんを合併するリスクが高くなるため、定期的な内視鏡検査などをしながら炎症をコントロールしていく必要がある。
注2.クローン病:主に小腸や大腸に原因不明の潰瘍などの炎症をきたす難治性の慢性腸炎で国の指定難病。若年で発症することが多く、長期にわたって定期的な検査や治療が必要となる。
【問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学病院 消化器内科
病院講師 諸井 林太郎(もろい りんたろう)
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