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研究

脳血管障害後遺症患者の便秘症に漢方薬が有効-便秘治療に新たな可能性-

2014.08.19  プレスリリース

東北大学病院(病院長:下瀬川 徹)漢方内科(石井正科長)の高山真准教授らのグループは、脳血管障害後遺症患者の便秘症状に対して漢方薬「大建中湯※(だいけんちゅうとう)」が有効であることを示しました。この成果により、排便コントロールに難渋されている脳血管障害後遺症患者の生活の質の向上に寄与することが期待されます。本研究結果は2014年6月25日、『Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine』誌(電子版)に掲載されました。

 

【研究概要】

脳血管障害後遺症患者の中には便秘で困っている方々がたくさんいます。便秘の治療には下剤が使用されますが、長期間使用すると耐性ができ効かなくなる場合や、下剤による治療を行っていても腸閉塞になる患者さんもいます。また、下剤により便失禁を引き起こしたり、さらに便失禁が原因でひきこもりになるなど、患者さん本人だけではなく、介護者の睡眠不足・疲労感・心身の健康問題につながることも報告されています。

本研究では、便秘症状のある 34 名の脳血管障害後遺症患者の協力を得ました。患者さまは、研究の説明を受けた後、通常治療+漢方内服グループ(17名)と通常治療のみのグループ(17名)に分かれました(図 1)。両グループともに下剤や浣腸・摘便など、従来からの便秘治療は継続した上で、通常治療+漢方グループは、漢方薬(大建中湯)15gを1日3回に分けて4週間内服しました。

評価は、便秘臨床スコア(排便頻度や下剤・浣腸・摘便の必要性など)と腸内ガス量(腹部レントゲンから計算)により行いました。通常治療+漢方グループでは4週間の大建中湯内服により、便秘臨床スコアは平均 8.0 点から 6.0 点へ、また腸内ガス量は平均16.3%から 9.9%へと改善しました(図 2、3、4)。通常治療のみのグループでは、便秘臨床スコア、腸内ガス量は、いずれもほとんど変化がありませんでした。このことから、脳血管障害後遺症患者の便秘症状に対し、大建中湯が有効であることが示されました。また、漢方薬内服による副作用は確認されませんでした。

今回の成果により、漢方薬が脳血管障害後遺症患者の生活の質の向上に寄与し、 介護者の負担も軽減することが期待されます。

本研究は、科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金「基盤研究(C)」、課題番号 23590867)によって行われました。

 

【補足説明】

※ 大建中湯

乾姜、人参、山椒、膠飴の4種類からなる漢方薬。お腹の冷えや腹痛、腹部膨満感などに使用される。

図1 研究の流れ

便秘症状のある34名の脳血管障害後遺症患者さんの協力を得た。通常治療+漢方内服グループ(17名)と通常治療のみのグループ(17名)に分かれた。両グループともに下剤や浣腸・摘便など、従来からの便秘治療は継続した上で、通常治療+漢方グループは、漢方薬(大建中湯)15gを1日3回に分けて4週間内服した。評価は、便秘臨床スコア(排便頻度や下剤・浣腸・摘便の必要性など)と腸内ガス量(腹部レントゲンから計算)により行った。

 

図2 便秘臨床スコアの変化

通常治療+漢方グループでは、4週間の漢方薬内服により便秘臨床スコアは平均8.0点から6.0点へと改善した。通常治療のみのグループでは、ほとんど変化がなかった。

 

図3 腸内ガス量の変化

通常治療+漢方グループでは、4 週間の漢方薬内服により腸内ガス量は平均16.3%から9.9%へと改善した。通常治療のみのグループでは、ほとんど変化がなかった。

 

図4 漢方薬(大建中湯)内服前後の腹部レントゲン

(A)大建中湯内服

(B)大建中湯4週間内服後

86歳男性の腹部レントゲン。大建中湯 4 週間内服により、腸内ガス量は26.0%から12.3%へと減少した。見た目にも黒く写るガスが少なくなっている。

 

【問い合わせ先】

●研究に関すること

東北大学大学院医学系研究科

総合地域医療研修センター 准教授 高山 真

Eメール :takayama*med.tohoku.ac.jp(*を@に変えてください)

 

●報道に関すること
東北大学病院広報室
電話番号 :022-717-7149

FAX :022-717-8931

Eメール:pr*hosp.tohoku.ac.jp(*を@に変えてください)

 

関連資料
プレスリリース資料(PDF)

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