東北大学病院

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診療受付:8:30-11:00 再診受付機 8:00-11:00

休診日:土・日・祝・年末年始12/29-1/3

診療時間:平日 8:30-17:15

お問い合わせ:022-717-7000 [ 時間外・休診日 022-717-7024 ]

歯科顎口腔外科

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【病棟】東病棟 10F 【外来】外来診療棟C 4F 【外来受付電話番号】022-717-8352

科長あいさつ

 これまで口腔外科系歯科は歯科顎顔面外科、歯科口腔外科と2科に分かれておりましたが、このたび歯科顎口腔外科として2科を統合し“歯科顎口腔外科”として、新たなスタートを切りました。

 聞き慣れない名前かもしれませんが、“歯科顎顔面外科”と“歯科口腔外科”の統合という意味と、“あごと歯”の機能、すなわち“咀嚼”を中心とした“顎口腔機能”の外科治療を扱う専門歯科であるという2つの意味があります。本来口腔外科は顎・口腔領域の種々の疾患によってもたらされる機能障害による形態的、機能的な外科的再建を目指した治療を行う部門であります。東北大学病院では非常に高いレベルの診療が要求されております。したがって当科は、歯科部門の他科はもちろんのこと、医科部門等との患者さんを中心とした密接な連携による治療を行っていきたいと思います。そのためには疾患別の専門チームによるグループ診療を目指したいと思います。そのためには地域医療機関との密接な連携が不可欠であり、皆さまのご協力を是非ともよろしくお願い申し上げます。

 診療内容は、抜歯は勿論のことですが歯の移植・再稙、インプラント、歯性感染症、嚢胞、顎骨骨折、顎関節疾患、口腔粘膜疾患、口腔腫瘍(良性、悪性)、唾液腺疾患(唾石等)、三叉神経痛、先天異常(特に口唇裂口蓋裂の顎裂部への骨移植)、顎変形症など多彩です。口腔とそれに隣接する組織・器官の疾患あるいは異常に対して、口腔の機能を回復させることを目的として診療しています。

 開業歯科の先生、その他の医療機関(関係者)からの紹介で来院される患者さんはもちろんのこと、直接来院された患者さんに対しても二次あるいは三次医療機関として十分対応できるスタッフが患者さん中心の医療を提供しています。

教授 髙橋 哲

対象疾患と診療内容

 当科において治療を行っている疾患は、抜歯から口腔癌まで口腔領域におけるすべての疾患について扱っております。特に大学病院の特性から県内の関連病院や開業医より紹介される口腔外科患疾患に関する患者さんがほとんどです。当科で行っている代表的な診療内容について簡単にご説明いたします。

口唇裂口蓋裂治療

 当科では、出生後まもない患者さんには、ご両親に哺乳指導と今後の注意事項、手術予定の説明を行います。
 口唇の形成手術は生後3〜6か月時に体重6kgを目安に行います。口蓋の形成手術は生後1歳半〜2歳頃にかけて体重10kgを目安に行います。なお口蓋形成の手術前に中耳炎のスクリーニングを行い、必要に応じて形成手術時に耳鼻科医による処置(鼓膜切開、チューブ留置等)も同時に行います。
 手術前あるいは手術後にも定期的に口腔の管理をいたしますので1か月〜3か月毎に受診していただきます。1歳時より言語聴覚士による言語指導、2歳時より小児歯科による管理、4歳時より歯科矯正管理を行います。
 顎裂のある患者さんには、永久前歯萌出後に顎裂部への骨移植術を行い、歯科矯正治療を行うことにより良好な咬み合わせを形成いたします。骨移植部には自分の歯を並べますが、並べる歯が欠損している場合にはインプラント治療等を行います。
 上下顎の位置関係に不調和があれば必要に応じて上顎骨あるいは下顎骨の骨切り術を行います。

例)左側口唇口蓋裂にて顎裂骨移植部に犬歯を萌出誘導し排列した患者さん


①8歳2ヶ月骨移植前


②11歳5ヶ月上下顎矯正治療開始


③15歳6ヶ月矯正治療終了時

口腔癌治療

 組織学的診断およびCT、MRI、PET等の画像診断から病態を把握し、外科的切除(手術療法)を中心とし、場合によっては抗癌剤による化学療法や放射線療法を補助療法として治療いたします。また、患者さんのクオリティ・オブ・ライフ;QOL(生活の質)に配慮して、術後の口腔機能の回復を目指した治療を行っております。

インプラント治療

 従来よりう蝕や歯周病などにより歯を失った患者さんや口腔腫瘍切除後の骨欠損部を持つ患者さんなどに対しては、冠橋義歯(ブリッジ)や義歯などにより咬合の回復を行ってきました。しかし、近年人工歯根(チタン)を顎骨に埋入して咬合の回復を行うインプラント治療が取り入られるようになってきています。しかしながら、すべての患者さんに可能というわけではなく、喫煙者や糖尿病などの易感染疾患を有する患者さんには適応されない場合もあります。また人工歯根を顎骨に埋入する必要があるため、残存骨の骨量が不足している場合は適応できません。この問題を解決するため、骨量不足に対しては患者さん自身の顎骨や腸骨などから骨を採取し移植を行い、骨造成を行ってからインプラント治療を行うこともあります。現在、当科では補綴科、保存科、口腔診断科とインプラントチームを作りインプラント診療に携わっています。

例)左下顎腫瘍切除後に骨移植を行いインプラントした患者さん


①左下顎腫瘍(矢印)


②腫瘍切除後X線


③腫瘍切除部へ骨移植


④骨移植後1年X線


⑤インプラントによる咬合回復

顎関節・口腔顔面痛外来

 顎関節・口腔顔面痛外来では、顎関節疾患および歯・舌・口腔粘膜・顎骨・顔面に痛みを生じる様々な疾患の診断と治療を行っております。

1)顎関節疾患

 顎関節には、顎関節症を始めとして変形性顎関節炎、顎関節脱臼、リウマチ性顎関節炎、腫瘍性病変など多くの疾患が発症します。しかし、生じる症状の多くは、痛みや開閉口の障害で疾患に特有な症状が少ないため、顎関節疾患の鑑別診断は、必ずしも容易ではありません。本外来では、専門医が丁寧な診察の上、必要なMRIやCTなどの画像診断を行って顎関節疾患を診断します。さらに画像検査から関節の病態(滑膜炎、円板後部組織炎、骨壊死や骨髄浮腫など)を評価し、痛みの責任病変を考慮した治療を行っています。

 顎関節疾患で一番多い顎関節症に対しては、セルフケアを指導の上、薬物療法や理学療法を行うことによって、症状を改善できる場合が多いため、手術が必要になることは稀です。

2)口腔顔面痛

 口腔顔面痛学は、口腔や顔面に痛みを生じる疾患の診断と治療を行う歯科の新しい分野です。口腔顔面痛外来で扱う病気の種類としては、筋筋膜性疼痛、発作性神経痛(三叉神経痛と舌咽神経痛)、持続性神経因性疼痛(医療行為や外傷で神経が損傷されて生じる病的な痛み)、原因不明な歯痛や顔面痛(非定型顔面痛)、帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛、舌痛症、口腔内灼熱症候群などの疼痛疾患に加えて、口腔乾燥症、味覚異常、顎や舌の不随運動および慢性疼痛などの口腔心身症などがあります。

 口腔顔面痛は、痛みを感じる場所と痛みの原因がある場所が一致しないことが多く、痛みが慢性化していることが少なくありません。私達は構造化された医療面接と詳細な診察の上、必要な臨床検査やMRIやCTなどの画像診断を行い、痛みの原因疾患を診断します。その結果、血管性頭痛など医科領域の疾患が原因で歯や顎関節に痛みを生じていた場合、その疾患の専門医師に治療を依頼し、連携して治療を行います。一方、痛みの原因が口腔顔面領域にある場合、痛みの原因に則した治療(薬物治療や理学療法、心理医学療法)を行っております。特に薬物療法には、患者さんの体質を考慮したテーラーメイド医療として漢方薬を積極的に取り入れています。

良性腫瘍

 腫瘍とは生体を構成している細胞の一部が全身的な統制を受けずに自律的に増殖し、原因となる刺激物が除去された後も過度の成長を続けるものと定義され、悪性と良性に分類されます。良性腫瘍の臨床的特長として①膨張性の発育②発育速度が緩慢③転移、再発の少ないこと④宿主の全身への影響がほとんどないこと⑤細胞異型の程度が軽いこと⑥核分裂像の少ないことなどが挙げられます。

1)軟組織に発生する良性腫瘍

 上皮性腫瘍:乳頭腫、多形性腺腫などの唾液腺腫瘍である。
 非上皮性腫瘍:血管腫やリンパ管腫、線維腫、脂肪腫、平滑筋腫や神経原性腫瘍など。

2)顎骨に発生する良性腫瘍

 歯原性腫瘍:エナメル上皮腫、歯牙腫、歯原性石灰化上皮腫、粘液腫など。
 非歯原性腫瘍:骨腫、軟骨腫、セメント質形成性線維腫など。

 臨床所見としては通常自覚症状に乏しいことが多く、歯科で口腔内を診査した際に指摘されたり、歯科治療のために撮影したレントゲンで発見されたりすることも多いようです。治療としては病巣の完全な切除または摘出が行われます。腫瘍の発育が進んでいて術後に顔貌の変形や咀嚼・言語機能などに大きく影響を与える場合には審美的、機能的障害に対する治療が必要になることもあります。

外傷

 口腔領域の損傷には大きく分けて歯の外傷、顎骨骨折、軟組織の外傷があります。

1)歯の外傷

 歯の打撲:外傷性歯根膜炎や歯髄壊死など。治療としては暫間固定、歯髄処置などを行います。
 歯の脱臼:外力によって歯が歯槽窩から脱出した状態。治療は完全脱臼で保存状態がよければ再植術、不完全脱臼では整復・固定処置を行います。
 歯の破折:保存が可能な場合、歯冠修復や歯根端切除術を実施。保存が不可能な状況では抜歯します。

2)顎骨骨折

 歯槽骨骨折、上顎骨骨折、下顎骨骨折、頬骨(弓)骨折、顎関節骨折などがあり、好発部位は歯槽骨では上顎前歯部、下顎骨では正中部、顎角部、関節突起部です。また上顎骨では歯槽骨骨折が最も多く、骨体部の骨折はLe Fort IからⅢ型に分類されます。治療法としては非観血的整復(非手術、ワイヤーによる結紮固定および牽引)と観血的整復(入院下手術、プレートなどによる固定)に大別されます。

3)軟組織の損傷

 機械的損傷:切創、裂傷、挫滅傷などの外力が一過性に作用して生じる外傷と慢性的な外力によって生じる褥創性潰瘍があります。
 温熱的損傷:火傷および凍傷。
 放射線損傷:悪性腫瘍に対する放射線治療後にみられ、骨髄炎を生じやすい。

抜歯

1)合併症を有する抜歯

 高齢化社会に伴い心疾患(心筋梗塞・狭心症、高血圧症)、脳疾患(脳梗塞)、糖尿病など多くの合併症を有する患者さんが多くなり、術前に内科主治医などと連絡をとり抜歯を行っています。

2)智歯抜歯

 いわゆる「親知らず」の抜歯である。顎骨の大きさに比較して歯が並びきれなくなってしまい、斜めに萌出したり、水平に埋伏することで清掃性が劣るために炎症を引き起こしたり、あるいは前方への力となって前歯部の叢生(乱杭歯)を引き起こす要因となるため抜歯を行います。

3)移植

 歯を抜歯した後、冠橋義歯(ブリッジ)や義歯とせず、必要でない自分の歯(智歯など)を抜歯したところに移植し、その歯を利用して修復を行います。