東北大学病院

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加齢・老年病科

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【病棟】西・東病棟 15F 【外来】外来診療棟A 2F 【外来受付電話番号】022-717-7736

科長あいさつ

 2016年、日本の高齢化率、即ち65歳以上の高齢者が全人口に占める比率は27%を超え、日本は超高齢社会のフロントランナーとして世界の注目を集めています。高齢者人口は実数にして約3500万人に達します。超高齢社会における医療提供のあり方を考える上で、最も上流側に見据えるべきことは、「少子高齢化という人口構成の劇的変化に伴って、これまであまり意識されなかった高齢者の抱える医療・健康問題が顕在化すること」です(図1)。


図1


 加齢そのものは生理的現象であり病気ではありません。しかし、加齢を背景(危険因子)として認知症、ガン、肺炎、動脈硬化症、骨粗鬆症などの有病率が高まります。これらは「老年病」と呼ばれる一群の疾患です。老年病は、壮年期までは殆んど見られませんが、今日のように平均寿命が80歳~90歳となるような「長生き」の実現によって始めて顕在化し、疾患の慢性化とともに日常生活機能を低下させ、介護需要を増大させる特有な病態と言えるでしょう。また、いくつもの疾患を抱える多病の高齢者は、異なる薬物治療を同時並行して行なうため、薬物有害事象の発生に注意しなければなりません。加齢・老年病科はこれからも続く超高齢社会において、老年病に正面から向き合うため、平成29年度から旧老年科と旧加齢核医学科を統合し東北大学病院に新たに設置された診療科です。病院での治療を終了したフレイル(虚弱)な高齢者が元の生活の場に戻れるとは限りません。医療と介護のつなぎ目として、どのような生活支援が必要かを見定めるために有用な指標となるのが「高齢者総合機能評価」と呼ばれているものです(図2)。


図2


 高齢者総合機能評価では、高齢者一人ひとりについて認知機能、身体機能、移動能力、嚥下機能などの症状・状態評価に、生活機能評価を加えた多方面からの評価を行ないます。フレイルな高齢者は生活の自立そのものが脅かされる状態になりやすいため、「治す」病院での医療から「支える」地域での介護までが一連のプロセスであることを理解する必要があります。高齢者医療では、各臓器を単眼的に診るのではなく、一人ひとりの生活機能を重視した複眼的個別化対応が求められています。 認知症高齢者数は現在500万人に達したと推定されています。東北大学病院では1990年から、全国に先駆けてこの認知症医療に取り組んできました。今日、認知症は、糖尿病、高血圧、頭部外傷、運動不足、喫煙など生活習慣や生活習慣病と密接な関連があると言われています。個別の臓器別医療を超えた生活習慣病に対する包括的アプローチにより認知症を予防することをまず考えましょう。何より大切なことは、おかしいなと気が付いたら放置しないことです。年だから仕方がないと諦めないことです。当科の「物忘れ外来」の特徴は、客観的な診断根拠に基づいた精度の高い診断および認知症と関連する生活習慣病や多臓器疾患への包括的治療が可能であることです。問診と心理検査、介護ストレス調査、血液検査に加えて、図3のようなCT/MRI検査、脳血流スペクト検査、MIBG心筋シンチグラフィー、ダットスキャンなどの最新の画像診断を当科の認知症専門医、核医学専門医や放射線科専門医が担当しています。


図3


 特に、MRI検査は脳の微細な病変を把握するための必要不可欠な検査法です。心理検査や介護ストレス調査は、当科の臨床心理士が対応します。診断が難しい場合には、脳脊髄液検査を加えることもあります。抑肝散などの漢方治療を積極的に活用していることも当科の特徴です。図4のように、最先端医療として、アルツハイマー病の脳に蓄積する悪玉アミロイドや異常タウをポジトロン断層装置(PET)を用いて可視化する探索的画像研究を平成17年からスタートしました。保険未収載ではありますが、アミロイドPETやタウPETは、近未来のアルツハイマー病根本治療薬開発に向けて必須の手段となりつつあります。


図4

老年科 科長 荒井啓行

教授 荒井 啓行

対象疾患と診療内容

物忘れ外来

 老人の精神機能と身体機能は相互に密接な関連があります。風邪などをきっかけに日頃から孤立しがちな老人が臥床傾向となると、身体機能の低下とともに意欲低下、昼夜逆転、せん妄などの精神機能低下を招き、この精神機能低下がさらに食欲の低下や身体機能を悪化させるという悪循環サイクルが出来上がり、寝たきりや認知症の原因を作り出します。現在約500万人と見込まれる認知症高齢者は2025年には700万人になると予想されています。

対象となる患者さんは

  • 緩徐にもの忘れが進み、アルツハイマー病、脳梗塞後遺症、レビー小体病、パーキンソン病、前頭側頭型認知症、皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、薬物誘起性認知機能障害などが疑われる。
  • 昨年、転倒し頭を打撲した。意識ははっきりしていたが、その後物忘れが進んできたような気がする、硬膜下血腫などないか医学的判断を求めたい。
  • 長く生活習慣病(高血圧や糖尿病など)を患っているため、脳梗塞が心配である。物忘れ以外に体の動きにくさ、ふらつき、震えなどがあるため、脳の画像診断を希望する。
  • 幻覚・妄想、夜間徘徊などがあり、「せん妄」が強く疑われる。
  • すでに他の医療機関を受診し検査等を受けたが、年のせいと言われた。
    しかし、十分納得がいかない為セカンドオピニオンを求めたい。
    →(セカンドオピニオン外来をご利用ください)。
  • 認知症治療に西洋薬に加えて漢方薬を併用したい。
  • 生活機能の変化をもとに家族が病気(認知症など)を心配している。症状は何もなく、また認知機能検査でも異常がないため判断が難しい。生活機能の変化が病気(認知症など)に由来するものかどうかの精度の高い判断をしたい。

総合機能評価外来と肺炎外来

 痩せてきた、筋力・歩行スピードが低下した、活気がない、意欲が湧かないなどを感じている高齢者は「フレイル」と呼ばれ、衰弱や寝たきりとなる予備軍である可能性があります。また、肺炎は70歳代から死因の上位を占めるようになります。当科では、摂食・嚥下センターやリハビリテーション科と共同で高齢者に多い誤嚥性肺炎を対象に、1人ひとりの総合機能評価に基づき、予防を見据えた個別のオーダーメイド医療を行っています。

加齢画像外来

 もの忘れから認知症が疑われるが、診察や簡単なスクリーニング検査だけでは診断に迷う患者さんや、がんや肺炎などの老年病で、画像での精密検査が必要と判断した患者さんに対して、医学的根拠に基づいた画像検査と診断を行う外来を、新たに開設しました。
かかりつけ医の先生方のご要望に応じた各種検査(図3)を、放射線科専門医や核医学専門医が中心となり、外来で個別にアレンジします。当科の老年病専門医、認知症専門医、脳卒中専門医とも連携を取り、医学的判断を踏まえた画像結果を提供します。図5に示すような補助診断に有益とされる統計画像も積極的に活用します。 お気軽にご利用下さい。

対象となる患者さんは

  • 症状や検査から、アルツハイマー病、脳梗塞後遺症、レビー小体病、前頭側頭型認知症、慢性硬膜下血腫などの認知症関連疾患が疑われ、鑑別診断をしたい。
    ⇒ 認知症の総合評価が必要な場合は、「物忘れ外来」をご利用下さい。
  • 老年病などで外来通院をしている患者さんで、画像での精密検査を加えて、質的な診断や現在の病状を知りたい(急性期治療が必要な場合を除く)。
  • 脳ドックや健診で異常を指摘され、脳MRI等による画像でのフォローアップが必要と言われた。

図5

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