#25 東北大学病院が新体制へ変わります

2019.05.10
  • 病院長
    冨永 悌二
    ( とみなが ていじ )

安全かつ高度な医療を地域全体に提供

日本は世界に先駆けて超高齢社会に突入しています。なかでも東北地方は、高齢化・過疎化の進行が著しい地域であり、我々は真っ先にこれらに起因するさまざまな課題に向き合い、解決していかなければなりません。
診療において大学病院が果たす役割は、高度急性医療の提供です。昨年5月、当院に新たな診療棟として先進医療棟がオープンしました。より低侵襲で体に優しい医療、より高度で最先端の医療、より質の高い安全な医療をコンセプトに、設備や機器も一新し、高水準の医療を提供する環境を整備した診療棟です。高齢化により医療ニーズが増大・多様化する中で、このような高度で専門的な医療を適切に提供していくために、今後ますます重要となるのが、地域の医療機関との連携です。かかりつけ医からの患者さんの紹介をスムーズに受けられる体制を強化するなど、これまで以上に、地域の医療機関との連携促進に努めていきます。

総合大学の強みを活かし、革新的な医療技術を創出

安全・安心な医療の提供に加え、大学病院の最大の使命の一つが、新しい医療技術の開発です。2015年、当院は国内初となる医療法上の臨床研究中核病院の一つに選定されました。院内に設置された「臨床研究推進センター(CRIETO)」は国内最大規模となる130人を越える専門スタッフが、医薬品・医療機器開発の支援に当たっています。また、当院独自のさまざまな取り組みも行われており、例えば、「アカデミック・サイエンス・ユニット(ASU)」は、倫理的、法的なルールを整備した上で、企業や研究者を医療現場に受け入れ、そこに埋もれる課題を発掘し、画期的な医療技術の実用化を目指すという非常にユニークなプログラムです。開始から5年が経過しますが、多くの企業が参加し、製品化に結びつく成果も出始めています。
複雑化・深刻化する医療課題の解決には、企業との連携はもとより、工学、薬学など、従来の学問の垣根を越えた連携が極めて重要です。東北大学では、伝統的に医学と工学が協動し、独創的な医療機器を生み出してきた土壌があります。総合大学の強みを活かし、革新的な医療イノベーションの創出を推進していきます。

医療AI、ゲノム医療など次世代医療の実現へ

また、当院は「がんゲノム医療中核拠点病院」に指定されています。「個別化医療センター」が中心となり、世界に先駆けたゲノムコホート研究の実績を持つ東北メディカル・メガバンク機構、最新医学知識と基礎医学研究の基盤を持つ医学系研究科と密接に連携し患者さん一人ひとりに最適な治療を提供する「個別化医療」を推進しています。現在、がんを対象とした遺伝子検査の実施を開始しており、今後、あらゆる病気に対する、個別化医療の実現に向けた取り組みを進めていきます。
さらに、次世代の医療として今最も注目を集めているのが医療分野におけるAI(人工知能)の開発・活用です。歯学研究科では、歯周病の発見AIの画像診断法について共同研究を企業と開始するなど、学内の医療AIの研究開発が加速しています。星陵地区の各部局と協力し、医療AIの開発と教育に力を入れていきたいと考えています。

地域の医療を守る最後の砦として

当院は百年以上にわたり、地域に根ざしながら、日本の医学・医療をリードしてきました。現在、医療を取り巻く環境は目まぐるしく変化していますが、これまでの伝統と実績を基盤に、社会の変化を先んじて捉え、進化・発展させていくことが我々の責務です。目指すのは、当院の理念である「患者さんに優しい医療と先進医療との両立」の具現化。新体制の下、地域の最後の砦として、安全かつ高度な医療を地域全体に提供する努力を惜しまず、未来を見据え、社会から信頼を得る病院であり続けられるよう、病院運営に尽力いたします。

  • 病院長
    冨永 悌二 ( とみなが ていじ )
    1957年生まれ。1982年東北大学医学部卒業。
    1987年東北大学脳神経外科助手。
    1987年米国生体膜研究所留学。
    1993年米国バロー神経学研究所留学。
    2000年広南病院脳神経外科部長。
    2003年東北大学脳神経外科教授。
    2012年東北メディカル・メガバンク機構医療情報ICT部門長。
    2013年東北大学病院臨床研究推進センター副センター長。
    2015年副病院長。
    2019年4月より現職。