思いを一つに、日本を先導するクリエイト

2019.08.20

医療の進歩を願い研究者に伴走

東北大学の医学部や加齢医学研究所、歯学研究科などではさまざまな医学研究が行われていますが、どの研究者にも共通しているのは、病気の診断や治療を進歩させて、一刻も早く患者さんに届けたいという願いです。病気の予防や、治療法、診断法の開発を目的として人を対象に行う研究を、広い意味で、臨床研究といいますが、臨床研究には段階に応じた「手続き」が定められています。近年、臨床研究の不正事案が相次いだことを背景に、国は臨床研究の手続きに関する厳しいルールを整備してきました。昨年には臨床研究法が施行され、未承認あるいは適応外の医薬品等を用いる臨床研究や企業から資金提供を受けて行われる臨床研究は、倫理審査などにおいて特に厳しいルールが定められています。研究現場にいる私たちは、そのルールにのっとって臨床研究を行う必要があります。しかし、全ての手続きを研究者一人で行うことは不可能です。研究以外の、例えば研究データの質を担保する統計家、知財戦略をたてる弁理士など、多くの専門家が関与する必要があります。クリエイトでは在籍する専門家が研究者に伴走し、アイデアの段階から相談を受け、ワンストップで実用化をサポートしています。

枯れることのないシーズ収集体制

クリエイトでは大きく二つの旗印を掲げています。一つは、我が国随一の医療機器開発拠点であることです。医薬品や再生医療を看板に掲げている研究開発拠点が多い中で、東北大学の伝統である医工学連携の強みを活かし、東北発の医療機器を世界に発信することを大きな目標としています。もう一つは、東北地区が一体となって、臨床研究を加速させることです。東北トランスレーショナルリサーチ拠点形成ネットワーク(TTN)を構築しており、その連携体制が非常にうまく動いています。イノベーションにおいて重要なのは、事業化や製品化の種となる「研究シーズ」をいかに集めるかということです。これまでクリエイトでは、研究シーズの収集環境を充実させることに注力してきました。TTNもその一つですし、企業に医療現場を開放する「アカデミック・サイエンス・ユニット(ASU)」というユニークな取り組みもあります。さらに東北大学ならではなのが、「メディカルサイエンス実用化推進委員会」です。工学、理学、農学、金属材料研究所などの関連16部局が一体となって研究成果の実用化、製品化を目指しています。例えば、金属材料研究所で非常にしなやかだけど強い金属が開発されたと。それを人工関節に応用して、将来的に患者さんの役に立つように育てていく、そのようなラインを備えており、研究者のモチベーションにつながっています。これらの仕掛けにより、シーズが尽きることなくこんこんと湧き上がる環境がクリエイトの大きな強みとなっています。

日本を、そして世界を代表する研究開発拠点へ

私がセンター長に就任して7年の間には紆余曲折がありましたが、最終的には、新しい医療を一刻も早く患者さんに届けたい、という関係者の思いが一つになってさまざまな問題を克服し、日本を代表する臨床研究の拠点に成長しました。今では、日本全国の研究者をサポートする拠点として大きな期待を背負っています。今後、成功事例がどんどん増えていくでしょう。アメリカでいえばスタンフォード大学やデューク大学。そういった世界的な拠点と肩を並べるような研究開発拠点にしていきたいですし、そうならないといけないと強く思っています。

※クリエイト:臨床研究推進センター(CRIETO:Clinical Research, Innovation and Education Center, Tohoku University Hospital の頭文字から出来た造語。創造するという意味の「create」と同じ発音にすることでその意味も持たせ、新しい医療技術を創造していく姿勢を表しています。)

 

11月24〜30日は
医療安全推進週間
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