任せてください! 私たちがいます。

2017.02.10

当院の高度救命救急センターは、3次救急医療施設として重症患者に医療を提供しています。常に忙しく、緊迫した空気が張りつめる現場で働く医師、看護師に現場の様子やこれからの目標を聞きました。

―病院にいる時間は長いですか?

久志本: 24時間365日、これが私たちの仕事です。私が若い頃は携帯電話どころかポケットベルもなく、病院の外にいると連絡を取る手段がなかったので、ほとんど病院で暮らしているような毎日でした。今は通信手段もありますし、勤務体制も随分変わりました。

横川:勤務はシフト制でオンとオフはきちんと分けられています。他の医師や看護師が診てくれているという安心感は大きいのですが、私は3年目ということもあり、オフのときでも担当の患者さんの様子が気になり病院によく行きます。

齋藤:看護師もシフトがありますし、引き継ぎは十分に行います。毎日いろんな症状で、年間で約2500人の患者さんが救急車で運ばれてきますので、その都度、対応が異なりますし、看護師が患者さんを直接ケアする機会も多いので、医師との情報共有は大切にしています。

―フラットな関係を築いているのですね

熊田:目の前の患者さんを助けるためには、協力し合って、いろんな困難な場面をクリアしていかなければなりません。時間もかけていられないので、職種間の連携は非常に大切なことです。

久志本:救急医療は、限られた時間、少ない情報で正しい方向に治療を進めていかなければなりません。そして、重症の救急患者さんには集中治療がとても大切ですが、患者さんのそばに一番長く居るのは看護師の皆さんです。看護師がいち早く異常を感じて知らせてくれれば、その場ですぐに対応できます。医師が自分の目、肌で感じる情報と看護師が持っている情報、それから診療データを組み合わせて判断する力が救急医には求められます。

横川:患者さんの状態についての情報、例えば下痢をしていたのか、血圧はどうなのか、そういう細かい変化は看護師がよく知っています。医師が気付かないことも教えてくれる。ただ、それ今じゃないな、と思うときもありますけどね(笑)

齋藤:お互いに(笑) ただ、若い医師が多いので、分からないことは聞きやすいし、コミュニケーションは取りやすいです。命を救う現場で、スタッフ同士に壁をつくっていたらやっていけません。それが結果的に良い医療に繋がり、患者さんやご家族にも安心してもらうために必要なことだと思います

院外との連携も大切なのですね

熊田:安心という点では、患者さんは予期しないことが起って運ばれてくるわけですから、本人も家族も準備が出来ていないことがほとんどです。治療しても元の場所に戻れないこともあります。そのときは私たちが受け入れ先の施設や、場合によっては家を探すこともあります。

久志本:救急医療は、救命救急センターの中だけのものではありません。例えば喉にものを詰まらせたり、倒れたときから始まります。そして、現場に救急隊が到着したときとは、普通の診療で言えば患者さんが外来に到着したのと同じです。病院に来る前から診療が始まり、運ばれてきて時間を争う救命・救急処置が行われて、繊細な集中治療へと繋がる診療があります。さらに退院へのサポートや社会復帰のための支援があって、という全てが救急医療だと考えています。

齋藤:家から来て、手術をして帰っていくのとは全く違う状況に置かれているのが救急の患者さんです。運ばれてきたときから、すでにその先、つまり退院や社会復帰を考えたケアを心がけています。生活支援ための保証制度などの知識も必要で、勉強が欠かせません。

―開設から10年が経ちましたが

久志本:重症の救急患者さんを中心として対応する役割をもって動き始めましたが、ドクターヘリもスタートし、私たちの役割も変わりつつあります。重症の患者さんが中心ではありますが、他の医療機関をサポートすることも大切な役割になります。

横川:以前、救急医療は地場産業だと言われたことがあります。患者さんは病院を選んでくるわけではないので、地域に根ざして、地域を支えられる医療が必要ですし、仙台、宮城だけでなく、東北を支える救急医療を担っていけるようになりたいです。

熊田:当センターの師長になったのは5年前ですが、最近は活動も活発になり、明るい方向に向いてきたように思います。大学病院の花形となって、地域の皆さんに安心してもらいたいですね。

久志本:地域医療圏だけでなく、もっと広域の患者さんに、我々がいるから大丈夫ですよ、と自信を持って言える存在であり続けなければならないと思います。

11月24〜30日は
医療安全推進週間
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