感染症から地域を守るために

2014.11.28

注目される感染症

感染症は最も古い病気のひとつで、紀元前から得体の知れない不思議な病気として恐れられていました。科学が発達してその正体がわかるようになると、抗生物質を使って多くの感染症を治せるようになり、もう心配しなくてもよい、と考えられた時期もあります。しかし、最近になって、抗生物質が効かない耐性菌や、全く新しい感染症が次々と発見され、改めて感染症の恐さが認識されてきています。また、グローバル化によって人々の交流が増え、交通網も発達し、遠くの国の感染症が日本でも見られるようになりました。感染症が他の病気と決定的に異なるのは、「うつる」という点です。これが感染症の持つ本質的な問題であり、今、大きく注目されているのだと思います。

ネットワークで防ぐ

私たちの仕事は、感染症を治療すると同時に、拡大を防ぐことです。院内の全ての診療科を対象に、どのような感染症がおきているのかをチェックし、検査データに基づいて、担当の医師に治療法や感染対策の助言をします。またポスターや講演会などを通して、全ての医療従事者に対する感染症予防の啓発に努めています。当院で大規模な集団感染が起こったことが今まで一度もないのは、こういった地道な取組みの効果の現れです。
この活動は、院内に留まらず、宮城県内、東北6県の地域全体に対しても行っています。集団感染が起きた病院に出向いて、病室の改善提案や、患者さまへの対応について指導をしています。感染症に境界はありませんから、ひとつの施設が対策するだけでは不十分で、ネットワークを作って皆で防がなければいけません。当院は、感染症専門医が8名いて、日本屈指の体制を整えています。感染症から地域を守ることは、私たちの使命だと考えています。実際、当院の感染制御の取組みは、日本のモデルとして認められ、全国の医療機関にも根付き始めています。

大切なのは「手洗い」

感染症についてはまだ多くのことがわかっていません。人間が知っている感染症は全体の5〜10%と言われていて、これからも新しい感染症が出てくるでしょう。人間の病気でありながら、他の動物や衛生環境など複雑な関係の中で起こる感染症を理解することは、人類にとって膨大なテーマなのです。
しかし、微生物が人の体に入ることで感染症が引き起こされるということは既に明らかです。しかもそのルートは限られています。健康な人であれば、微生物がついた手で、目や鼻、口といった顔面を触ることで体に侵入します。くしゃみで飛んでくる微生物よりも、鼻水、唾液がついた手に存在する微生物のほうが、はるかに数は多いのです。いかに手に付く微生物を減らすか、つまり「手洗い」が、シンプルですが、最も大切なのです。

 

実践!うつらない。うつさない。4つの約束

家庭でできる感染症予防のポイントをご紹介。今日から実践してみましょう。

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(画像を選択するとPDFファイルが表示されます。印刷して貼るなど、ぜひご家庭でご活用ください。)

 

東北大学病院オリジナル手洗いうた「おててテトテト」

作詞・作曲・うた:小林 顕作(オフロスキー役のひと)
編曲:佐藤 慶之助(P-CAMP inc.)
演奏:上原 なな江
レコーディングエンジニア:川島 隆
サウンドプロデュース:鮫島 充(P-CAMP inc.)
アニメーション・アートワーク:小板橋 基希(アカオニデザイン)
監修:賀来 満夫(東北大学病院 総合感染症科科長)
企画・制作:東北大学病院
OTETE TETOTETO
©2014 Tohoku University Hospital
11月24〜30日は
医療安全推進週間
11月24〜30日は
医療安全推進週間