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東北大学病院

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顎顔面口腔再建治療部

病棟 - 外来 外来診療棟C 4F
外来受付 Tel:022-717-8581 独自webサイト -
対象疾患 顎顔面欠損部位への歯科補綴治療/摂食嚥下障害

当治療部で実施している保険診療

当治療部では、腫瘍等で顎骨や舌を切除した患者さんや、先天的に永久歯が少ない患者さん等に対して構音、咀嚼及び嚥下機能の回復を目的とした装置(口蓋補綴(ほてつ)、顎補綴、発音補整装置、舌接触補助床、広範囲顎骨支持型装置など)を製作しています。また当院に新たに設立された嚥下治療センターの一員として、口腔期に問題を抱えた摂食・嚥下障害の診断、咀嚼・嚥下評価、摂食機能療法などを担当しています。

診療の特色

「顎顔面補綴」とは手術やケガ、奇形などによって、口腔を形作る骨や組織(歯ぐきや顎)の一部、顔面(目、耳、鼻、頬など)の一部を失った方を対象に、歯や顎、ときには顔面の部分をも含めて修復する特殊な義歯や装置のことです。失われた部分を人工的に補填、修復することで、形態と機能の回復を図っています。食物の咀嚼、飲み込み、会話が可能となり、さらには容貌が再建され審美性および精神面が回復すれば、患者さんの社会復帰・QOLの向上を期待することができます。
このような治療には、さまざまな分野における高度で専門的な技術を必要とするため、東北大学病院の歯科顎口腔外科,顎口腔機能治療部および歯科インプラントセンター、さらには耳鼻咽喉科・頭頸部外科、形成外科および嚥下治療センターなどとの連携協力のもとで行われており、本治療部は、これらチーム医療の一員となって患者さんに対応しております。

対象疾患と診療内容

「顎顔面補綴」の治療は、上・下顎骨の欠損部を非観血的にあるいは手術等の併用により人工物で補填する口蓋補綴、顎補綴、広範囲顎骨支持型装置などの装置(保険診療)と、顔表面を含む実質欠損部を補填修復する顔面補綴装置(自費診療)に区別されます。

1. 口蓋補綴、顎補綴

上顎欠損に伴う機能障害としては、歯の喪失による咀嚼障害や審美障害のほかに、上顎洞や鼻腔への穿孔による鼻咽腔閉鎖不全や発音障害、嚥下障害があります。一方、下顎欠損に伴う機能障害としては歯の喪失による咀嚼障害や審美障害のほかに、舌欠損による発音障害、咀嚼・嚥下障害があります。このような場合、口蓋補綴、顎補綴を適用することで穿孔部の閉鎖、死腔の閉鎖、固有口腔の形成がなされ、顎口腔機能の再建が可能です。

1) 口蓋補綴、顎補綴(有床義歯と一体となって製作する場合)
口蓋補綴、顎補綴の多くは、有床義歯と一体になったものが製作されます。下記の写真に示すように、有床義歯の内面に口蓋および顎骨の欠損部(穿孔部)を閉鎖する栓塞子が付加された形態の装置が多く用いられています。

口腔の腫瘍切除後、歯と口蓋が欠損している患者さんです。口腔と鼻腔がつながっているため、咀嚼、嚥下、発音などの機能が著しく低下しています(上段写真)。
このような患者さんに、欠損を塞ぐ栓塞子の付いた顎義歯を装着することにより、口腔機能や審美性を回復できます(下段写真)。欠損範囲が大きかったり、残存歯が少なかったりすると義歯の維持が困難な場合があります。

2) 口蓋補綴
上顎の残遺孔を塞いで上顎の形を整えてあげることで、食物や息が鼻に入ることを防ぎ、発音時に舌が正しい位置を取れるようにするための装置です。人工歯部分はありません。

3) 発音補整装置(軟口蓋挙上装置)
口蓋裂、脳血管障害、頭部外傷などによって軟口蓋の動きが良くない方や、軟口蓋が短いために、息が鼻に漏れて明瞭な発音ができない方に、軟口蓋の動きを助けて発音を改善させるための装置です。

発音補整装置(軟口蓋挙上装置)の側面観を示します。写真右側の床部を口蓋に装着し、左側(後方部)のオブチュレータ部で、軟口蓋を挙上し軟口蓋閉鎖不全部を塞ぐことにより、発音機能の回復を図ります。装置が後方部(軟口蓋・咽頭部)まで及ぶので違和感が大きいことがあります。

4) 舌接触補助床
腫瘍等で舌を切除され、発音障害や嚥下障害になった患者さんに用いる装置です。食塊形成と咽頭への食塊移送を容易にするよう舌との接触を助け、嚥下時に下顎の固定を補助して、嚥下を改善させるための装置です。発音時も舌と口蓋部の接触を補助します。

舌の運動障害・ボリューム不足に対して,義歯床の口蓋部を肥厚させた形態にすることによって舌の口蓋への接触を容易にし,嚥下機能の改善(リハビリテーション)を図る装置です。
口蓋部が厚くなる分口腔内が狭く感じ、違和感が大きい場合があります。
2.広範囲顎骨支持型補綴(保険のインプラント治療)

平成24年度から保険診療でインプラント治療が可能になりました。「広範囲顎骨支持型装置埋入手術」および「広範囲顎骨支持型補綴」と呼ばれます。下記のいずれかに該当し、従来のブリッジや有床義歯では咀嚼機能の回復が困難な患者さんを対象としています。

1.腫瘍、顎骨骨髄炎、外傷等により、広範囲な顎骨欠損若しくは歯槽骨欠損症例(歯周疾患及び加齢による骨吸収は除く。)又はこれらが骨移植等により再建された症例であること。なお欠損範囲について、上顎にあっては連続した3分の1顎程度以上の顎骨欠損症例、又は上顎洞若しくは鼻腔への交通が認められる顎骨欠損症例であり、下顎にあっては連続した3分の1顎程度以上の歯槽骨欠損又は下顎区域切除以上の顎骨欠損であること。

2.医科診療科の主治の医師の診断に基づく外胚葉異形成症等又は唇顎口蓋裂等の先天性疾患であり、顎堤形成不全であること。

3.医科診療科の主治の医師の診断に基づく外胚葉異形成症等の先天性疾患であり、連続した3分の1顎程度以上の多数歯欠損であること。

4.6歯以上の先天性部分無歯症又は3歯以上の前歯永久歯萌出不全(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る)であり、連続した3分の1顎程度以上の多数歯欠損(歯科矯正後の状態を含む)であること。

口腔底部の腫瘍切除後、歯と下顎骨が欠損している患者さんです。口腔内は顎の骨の吸収も著しく、従来の義歯の使用が困難な状態です(上段左写真)。
下顎の残っている骨にインプラント体を埋入し(上段右写真)、そのインプラント体に義歯を固定する装置(バーアタッチメント)を装着した状態です(下段左写真)。広範囲顎骨支持型装置(義歯タイプ)を装着した状態です。アタッチメントにより義歯は安定し、良好な咀嚼が可能となりました(下段右写真)。十分な骨量が存在しない場合や、放射線治療の影響でインプラントを適用できない場合があります。

当院は本治療を行うために必要な厚生労働大臣が定める施設基準に適合した保険医療機関です。前述の条件に該当し、従来のブリッジや有床義歯では咀嚼機能が十分に回復されていない患者さんは、まずは適応の可否を診断するための検査が必要になります。来院時には、かかりつけ医・かかりつけ歯科医の紹介状をお持ちになってお越しください。

3.摂食機能療法

うまく飲み込むことができない摂食嚥下障害は、誤嚥性肺炎の原因になります。摂食嚥下障害は加齢、脳梗塞、手術や外傷、低栄養、パーキンソニズム、薬剤性など様々な複合的な要因で発症します。口腔内の顎欠損や軟口蓋欠損・舌欠損に伴う嚥下障害もしばしば生じます。東北大学病院では摂食嚥下障害に対して包括的に診断と治療を行う嚥下治療センターを設置しました。耳鼻咽喉科・頭頸部外科、リハビリ科、咬合回復科、高齢者歯科治療部、歯科衛生室、看護部、栄養管理室などと共同して治療を行っています。顎顔面口腔再建治療部は、口腔期に問題を抱えた摂食・嚥下障害患者を対象にその診断、咀嚼・嚥下評価および摂食療法、口腔内装置(舌接触補助床など)や顎補綴装置による治療を担当しています。

4.放射線治療に用いる口腔内装置

悪性腫瘍に対して放射線治療する目的で、おもに有床義歯に準じた形態の中に放射線源を封入し、悪性腫瘍への照射により治療するための装置です。他に腫瘍周辺の正常組織を照射野外に排除すること、もしくは正常組織を遮断し被爆軽減を目的にした装置などがあります。

5.顔面補綴装置(エピテーゼ)

手術や先天的な奇形などによる原因で顔面部に生じた欠損部分に対して、人工的に修復する装置です。主にシリコーンで製作され、目・頬・鼻・耳などがあります。顔面再建手術によって十分な審美性が得られない場合や不可能な症例に適用されます。これらの患者さんに対してエピテーゼを装着することによって欠損部の修復し、見た目の改善を図っています。欠点としては、①エピテーゼ装着には毎日の接着剤の使用が必要となること、②人工物であるため動きがなく、表情まで再現できないこと、などがあります。
エピテーゼを用いた顔面補綴治療は自費診療です。一連の治療に係る料金は全額自己負担であり、本院で定めた費用(約10万~30万:手術を行わない場合)をご負担いただきます。

シリコーン製鼻部エピテーゼ(左側写真)
鼻部欠損患者にエピテーゼを装着した様子(右側写真)
見た目の改善を図ることができますが、装着には毎日の接着剤の使用が必要であること、人工物であるため動かず、表情を表すことができないなどの欠点もあります。

年間症例数

口蓋補綴、顎補綴 約60例
軟口蓋挙上装置 約10例
舌接触補助装置 約25例
広範囲顎骨支持型補綴 約5例
摂食機能療法 約75例
顔面補綴装置(エピテーゼ)  約5例

新患、新入院患者数(2022年度)

新患数 54人
新入院患者数 0人

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