東北大学病院

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診療受付:8:30-11:00 再診受付機 8:00-11:00

休診日:土・日・祝・年末年始12/29-1/3

診療時間:平日 8:30-17:15

お問い合わせ:022-717-7000 [ 時間外・休診日 022-717-7024 ]

予防歯科

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【病棟】東病棟 10F 【外来】外来診療棟C 4F 【外来受付電話番号】022-717-8330

科長あいさつ

 皆さまは、自分のお口の役割について考えたことはありますか。まずは美味しく「食べること」、これがなければ命を維持することは出来ません。それから「話すこと」。お口がうまく動かないと、お互い心を通わせることが難しくなります。そして「大笑いすること」。お口は、なんと豊かな人生を支えているのでしょう。『およそ人間には三つの楽しみがあります。ひとつは道を行い心得違いをせず善を楽しむこと、二つは健康で気持ちよく楽しむこと、三つは長生きして長く久しく楽しむことです(養生訓:貝原益軒)』。三楽を楽しむために、「食べて、話して、大笑い」。人生の大切な宝物は、富貴であるかに関係なく、お口の健康に支えられています。三楽を楽しむために、肩肘張らずにゆったりと、お口の健康を考えていきましょう。要はお口の健康の大切さに「気づく」ことです。

 当科は、昭和43年に東北大学歯学部附属病院に予防歯科が設置されたのがスタートです。初代科長は島田義弘教授、平成3年に坂本征三郎教授、そして、平成14年から小関健由が担当しています。現在は少子高齢者社会が進み、子どものむし歯が減少した反面、壮年期の歯周病(のうろう)やご高齢の方の口腔ケアが重要視されてきています。予防歯科では、お口をきっかけとした健康づくりをベースに、お口の健康維持・増進を推進いたします。また、お口の健康を維持するのに支援が必要な方、お口の健康維持が全身の健康に大きく影響を与える方のお口の管理・支援を行います。お口の健康問題は、悩んでいる本人だけでは解決できない場合があります。お母さんのお腹の中にいる赤ん坊から、その子がご高齢になった時までの、生涯を通したお口の健康支援に、予防歯科がお手伝いいたします。

教授 小関 健由

対象疾患と診療内容

1.口腔疾病予防(専門的予防処置)

 予防歯科は、全ての世代のお口の健康を支援する外来です。お口の疾病の予防と早期の段階での対応と処置を行います。特に予防歯科では、健康を維持するのに多くの支援が必要な方、全身疾患やそれに対する医療処置のために、お口の健康が是非必要な方に対して、お口の管理・支援を集中的・継続的に行っています。

2.周術期の口腔機能管理・支持療法

 東北大学病院に入院や通院中の患者さんにとっては、お口の清潔は闘病中の全身状態にかかわる大事です。予防歯科では、治療を始める前から、お口の支持療法を行っています。患者さんに自分のお口のお手入れの仕方を覚えてもらい、ご本人の出来る範囲で継続していただきます。ご本人のお手入れが出来ない場合や集中した専門的な衛生管理が必要な場合は私共が実施いたします。また、外来へいらっしゃれない場合は、往診での口腔機能支援・管理も行いますので、まずは予防歯科にご相談ください。

抗がん剤治療の方・頭頸部放射線治療の方へ

 頭頚部領域のがん治療で放射線療法を行う場合や、抗がん剤による治療を行う場合、骨髄移植を行う場合などは、口内炎などでお口に痛みがでる場合があります。痛みによっては、治療を中断しなければならない時もあります。これは日頃からのお口のケアで、ある程度軽減できる可能性があります。お口の痛みが緩和されるよう予防歯科のスタッフが集中的にお口の管理とケアを行い、回復まで支援していきます。

手術を受けられる方へ

 唾液が触れる部分は、口腔や耳鼻科領域、食道から胃への縦隔領域、さらに、気管から肺への呼吸器領域です。この部分に手術する場合は、手術直前から手術後の回復期までの間は、きれいな口で唾液が汚れていない状態を維持すると傷の治りが良くなります。これは、ご高齢の方の誤嚥性肺炎(汚れた唾液が間違えて肺に流れ込んで起きる肺炎)を予防するために口腔ケアを行ってお口をきれいにすることと同じ理由です。予防歯科では、ご自身や看護の方の歯みがきに加えて専門的口腔ケアを実施し、きれいな唾液でいられるよう支援いたします。また、顎顔面領域において、顎の再建術を行った場合は、手術前後の口腔支援・管理を実施しながら手術後の最初のリハビリテーションにも力を入れています。

循環器の手術を受けられる方へ

 歯周病を放っておいた場合には、歯ぐきに感染が起きています。歯ぐきの感染部位からは、少しの刺激によって微生物や炎症反応性細胞が血中に漏れ出してきます。血液は全身を循環していますので、血中の微生物などは血管系の手術部位や血液の流れが停滞する部分に付着します。心臓や大きな血管に問題のある方や手術を行う方は、その処置の前にお口の感染源を除去しなければなりません。歯周病が進行している歯は抜歯が必要になるかもしれません。予防歯科では、全身状態を考慮しながら、手術前から長期的にお口を管理します。

ビスホスホネート製剤を投与されている方へ

 同様に、がん治療や骨粗鬆症予防に、ビスホスホネート製剤を長期投与なさっている患者さんは、口腔に炎症が生じると、重篤な骨の炎症を起こす場合があります。予防歯科では、口腔内に炎症が生じないよう、長期的にお口の中を管理します。


仙台市成人歯科健診参加を呼びかけるポスターの絵柄から

3.口臭外来

 予防歯科では口臭が気になる方のために、1980年に口臭外来を開設し、口臭でお悩みの方の診療と支援を行っております。診療は、口臭検査と質問紙を記入していただき、その結果をもとに口臭治療プログラムを制作し、自分でできる口臭除去法をお教え、口臭の原因を除去します。

 口臭の診断には、予防歯科で開発した、簡便に口臭検査を行える半導体ガスセンサ式口臭測定装置「ブレストロン」(右の写真)、ガスクロマトグラフィなどを駆使して臭い成分を分析します。

4.特に支援が必要な方に対する口腔健康支援・管理

 予防歯科ではお口の健康を保持増進させるために、患者さんごとのプログラムに従って疾病予防処置・健康支援(定期的健康診査)を行っております。むし歯や歯周病の予防処置・お口の健康相談や口腔ケアへの支援・啓発・教育を行います。全身疾患をお持ちの方や、身体に障害が残ってしまった方は、ご本人の努力だけでは対応できない場合があります。予防歯科では口腔ケア・支援を実施する際に、日常のケアを看護・介助する方も交えて、種々の注意事項や清掃用具の使い方をお教えします。

5.地域歯科医療連携

 予防歯科は、お口の健康を守る要ですので、歯科部門の他の診療室や医科部門との協力のみならず、地域の歯科医療・健康福祉施設との連携を行い、東北地方全域の生涯を通したお口の健康を支援します。

医療の特色

 当科は、お口の大切さに気が付いた方やそのご家族に、高度かつ専門的な病気の予防処置を長期間に渡り実施します。対象は、幼児からご高齢の方まで、健康から介護が必要な方まで、幅広い方を支援しています。特に医科部門に外来通院・入院なさっている患者さんには、原疾患の治療の支持療法として、医科歯科連携のチーム医療を実践しております。さらに、予防歯科は、歯科部門内部でも専門的な治療が必要な場合は他科との共同でお口の健康管理・支援を行います。さらに、地域のかかりつけ歯科医と連携した予防プログラムも立案いたします。

 また、健康は本人のみで管理できるとは限りません。生活の質を考える上で、家族や介助者の存在はとても重要です。予防歯科では、必要に応じて同伴の方にも病気の予防法の習得をお願いしています。予防歯科で、長期的な安心を手に入れていただきたいと思います。
 また、口臭外来では、患者さんの個々の問題を詳細に分析し、きめの細かい支援を行います。口臭は様々な理由でおきますので、スタッフに安心してご相談ください。

年間症例数

(平成27年度)

患者総数(延べ) 7,580名
新患者数 442名(全身疾患の周術期管理・支援が約9割、口臭患者が約5%)

診療科より皆さまへ

 当科受診時には、日常使用しているお口の清掃道具(歯ブラシ等)をご持参ください。より適切なご支援をいたします。また、当科は、大きな手術や放射線治療の前にお口の問題を軽減する処置を行う方が多いので、一人あたりの診療時間が長くなる場合があります。ご理解をお願いいたします。
 予防歯科では、周術期の口腔支援のためのリーフレットを歯学研究科歯科イノベーションリエゾンセンターと共同で制作しております。また、院内のお口の健康の啓発活動を実施しておりますので、いつでも気軽にお声がけください。

地域歯科保健・公衆衛生・予防歯科学に興味のある皆さまへ

 予防歯科外来では、最善の方法での口腔保健の維持向上を目指して、多くの臨床研究を実施しています。しかしながら、我々の目指す予防歯科は、大学病院といった小さな枠には収まりません。人を支えて、家庭を動かし、地域のあり方を変え、社会を正す大きな使命を担っています。予防歯科学分野では、歯科医師のみならず、歯科衛生士・看護師・介護福祉士・養護教諭・管理栄養士・工学士が大学院博士課程や修士課程で研究しています。社会に開いた教室ですので、歯科医師の方は勿論のこと、多くの分野の皆さまの参画を歓迎いたします。

コラム

歯垢の正体は何?

 お口の汚れは、毎日歯みがきしてきれいにしていると思います。それでは、お口の汚れは何でできているでしょうか。歯に付いた白いネバネバの歯垢は、皆さまは食べカスと思っている方が大多数です。食べカスでしたら、食事をした後に沢山付いていて、時間が経つとだんだん無くなってくるでしょう。しかしながらそうではなく、歯垢は歯みがきをしないでいると時間と共に増えてきて、とても気持ち悪くなってきます。実は歯垢は、歯の表面に育ってきたもの、歯の表面に付着した微生物の塊なのです。歯みがきをしっかりしないと付着する歯垢は、100%微生物の塊であり、微生物の濃度に関しては便の微生物の濃度と同じくらいです。このお口の汚れである歯垢が沢山付いていると、剥がれて唾液中に微生物が沢山浮いています。便と同じくらいきたない微生物が浮いた唾液が病気のある部分や手術した部分に触れた場合、病気や手術後の治りが良くないことが多くの研究が明らかにしています。

歯垢を顕微鏡で観察すると、全て微生物から構成されています。動画は、下記HPでご覧ください。

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