東北大学病院

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診療受付:8:30-11:00 再診受付機 8:00-11:00

休診日:土・日・祝・年末年始12/29-1/3

診療時間:平日 8:30-17:15

お問い合わせ:022-717-7000 [ 時間外・休診日 022-717-7024 ]

呼吸器内科

特色

当診療科は呼吸器に関連する内科系疾患を扱う診療科です。2012年4月から東と西の16階病棟に呼吸器センターが新設され、呼吸器外科と協力し合いながら、呼吸器疾患の診療に取り組んでいます。対応疾患は、気管支喘息や肺気腫などの閉塞性肺疾患、肺がんなどの呼吸器腫瘍性疾患、間質性肺疾患、呼吸器感染症と多岐に亘っています。とりわけ、難治とされる呼吸器疾患に対しても、エビデンスに基づく標準治療や臨床試験を実施しながら、最新かつ安全な呼吸器診療を提供していくことを目指しています。

対象疾患

慢性閉塞性肺疾患(CODP)

慢性閉塞性肺疾患 (chronic obstructive pulmonary disease:COPD)とは、タバコ煙を主とする有害物質を長期間吸入することによって、気管支や肺胞に慢性炎症が生じ、気管支が狭くなり、肺胞の破壊が生じることにより、呼吸機能の障害が慢性的に進行する疾患です(図1)。

図1. COPDの肺病変(胸部CT像) COPDでは健常人と比べ黒く大きく抜けている部分が全体的に増加しており、肺胞構造が壊れていることが分かります。

原因と疫学

 COPDの原因の多くは長期間に及ぶ喫煙です。喫煙者のうち約15-20%程度がCOPDを発症すると言われています。2004年に施行された我が国の日本の疫学調査では、40歳以上の8.5%(530万人)が罹患していると推定されており、今後、高齢化に伴いさらに増加するとされています。2011年の厚生労働省の統計では死因の第9位であり、気管支喘息患者の死亡率が年々低下する一方で、COPDの死亡率は今後も上昇すると予測されています(図2)。

症状

 労作時の息切れや慢性の咳、痰が初発症状です。一方で、疾患の進行が緩徐であることから症状の乏しい場合も稀ではありません。

診断

 スパイロメトリー検査(肺活量検査)を行い診断します。検査は簡単で短時間で済みます。当施設では、他の呼吸器疾患を除外するために、精密呼吸機能検査や胸部X線およびCT検査等を組み合わせることで診断をより確かなものとし、重症度を決定しています。さらに種々の血液検査、呼気ガス分析、喀痰検査などを施行することで、他の呼吸器疾患の合併(気管支喘息や肺線維症、肺癌等)、心疾患や糖尿病等のCOPDに合併する全身性疾患(併存症)も併せて診断します。

治療

 まずは禁煙です。呼吸機能障害が進行している場合や自覚症状のある場合には、呼吸機能の改善や疾患の悪化を防ぐために、気管支拡張薬を主とした様々な薬物療法を行います。近年では、気管支拡張薬の発展が目覚ましく、自覚症状やQOLの改善が可能です。当科では、薬物療法の他にもリハビリテーション・栄養療法などを組み合わせて包括的な治療を行っていきます。重症の方には在宅酸素療法や在宅人工呼吸療法、外科的治療などを行うこともあります(図3)。

 当科では、専門知識や治療経験の豊富な医師がCOPD専門外来で毎日、診療にあたっており、患者さん一人一人の病状や病態を解析し、治療に役立てております。一人でも多くのCOPD患者さんのお役に立てるように頑張って参りたいと思います。

 

気管支喘息

 夜間や早朝に咳や喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューといった音)を伴う息苦しさを自覚する疾患で、季節性(特に春と秋)に症状が悪くなることが多く、また、運動、寒冷刺激や感染などが増悪要因です。
 原因はアレルギー反応による、好酸球を中心とした気道の炎症です。典型例では診断は容易ですが、咳だけの症状の場合(咳喘息)は見逃される場合もあり注意が必要です。当科では「喀痰中の好酸球の増加」や(図1)、好酸球性気道炎症の程度と良い相関関係を示す「呼気中の一酸化窒素(NO)濃度」の測定で正確に診断できます(図2)。治療は「吸入ステロイド」に加え「気管支拡張薬」、「抗ロイコトリエン薬」で、適切な治療は症状を劇的に改善します(図3)。重症難治性でアトピー要因のある方には抗IgE抗体や抗IL-5抗体製剤といった新しい治療も行っております。

図1.誘発喀痰中の好酸球 好酸球:赤く染まった細胞

図2.呼気NO濃度測定検査の実際

図3.喘息治療におけるピークフロー(PEF)の推移

 

呼吸器腫瘍性疾患

 当グループでは、肺がんに代表される胸部悪性腫瘍の進行期の患者さんに対して、世界標準レベルの診断と治療を提供しています(図1)。そのうえで、さらなる治療成績の向上を目指した臨床試験や治験にも積極的に取り組んでおり、特に最新の分子標的薬を用いた治療に関しては、世界の標準療法を書き換える優れた研究結果も生み出しました(図2)。一方で、がんに伴う様々な苦痛に対する緩和ケアも十分考慮し、個々の患者さんに適した治療法を相談していきます。

図1. 稀な遺伝子変異EML4-ALKにより生じた肺がんに対して、分子標的薬クリゾチニブが著効した例

図2. EGFR遺伝子変異陽性の肺がん患者さんに対して、分子標的薬ゲフィチニブ(赤線)が従来の抗がん剤治療(青線)よりも明らかに長く有効であることを示した臨床試験(NEJM誌掲載)。

 

睡眠時無呼吸症候群

 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に10秒以上の呼吸停止が繰り返し認められる病気です。原因は大きく分けて2つあり、空気の通り道である上気道が睡眠中に狭くなり呼吸ができなくなってしまう閉塞性タイプと、呼吸中枢の異常により呼吸が止まってしまう中枢性タイプがあります。SAS患者さんの多くが閉塞性タイプです。
 閉塞性SASの主な自覚症状としては、日中の眠気や倦怠感などがありますが、無症状のかたも多くいます。閉塞性SASでは、難治性高血圧、不整脈、脳・心血管障害などのリスクが高くなり、突然死を引き起こすこともあります。また、居眠り運転や労働災害の原因にもなっています。
 診断は、睡眠中の呼吸状態や脳波などを詳しく調べる終夜睡眠ポリグラフィー検査で行います。治療は、減量や生活習慣の是正(節酒、睡眠剤の中止など)を行うとともに、症状・重症度に合わせ、持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)や口腔内装具装着などを行います。中枢性タイプは、心不全や脳血管障害の方に見られることが多く、特に心不全では中枢性タイプの睡眠時無呼吸により、心不全の予後が不良となることが明らかとなっています。中枢性タイプの場合は、原疾患の治療とともに、CPAP療法や換気補助療法を行います。

 

間質性肺疾患

 空気の通り道である気管は肺の中で多数の枝に分岐し、最終的には多数の肺胞という小袋に分かれます。肺胞と肺胞のあいだ(間質)は毛細血管が走行しており、それが肺胞を取り巻いています。肺胞に接している血管の部分において血液中の二酸化炭素と酸素の交換が行われています。これが呼吸の仕組みです。
 間質性肺疾患では、さまざまな原因により間質が厚くなったり、硬くなったりすることで、ガス交換の効率が落ちたり、破壊されて肺胞が減少することにより、血液中の二酸化炭素と酸素の交換(特に酸素)が円滑に行われなくなります。そのため、他の呼吸器疾患に比べ低酸素血症が目立ちます。また原因不明な場合は難治性であり診療には高度の専門性が必要です。
 間質性肺疾患は原因がわかるもの(自己免疫疾患:膠原病や関節リウマチ、薬の副作用、放射線治療の副作用、吸入物によるアレルギーや肺胞の障害)と、原因のわからないものに大きくわかれます。原因がわからないものは特発性間質性肺炎と呼ばれ難治性です。
 間質性肺疾患は原因により治療方針が異なってくるため正確な診断が必要となります。東北大学病院呼吸器内科では、東北大学病院呼吸器外科とも連携しながら、早期診断・医学の進歩に照らした適切な治療を患者さんに提供することに取り組んでいます。

特発性間質性肺炎(特発性肺線維症)

肺胞構造が広汎に破壊され、蜂巣肺を呈しています。早期発見治療が大切です。

 

サルコイドーシス

疾患の解説はこちらをご覧ください。

  • 原因不明の生体に有意義ではない肉芽腫が体中のいくつかの臓器にできてくる病気です。
  • 頻度は人口10万人に対して10~20人程度と比較的稀です。
  • 東北大学病院には現在250人程度通院しています。
  • 20歳代の男女と40歳以上の女性に発症することが多いです。
  • 両側肺門リンパ節、肺、眼、皮膚に病変をきたすことが多いですが、肝臓、脾臓、耳下腺、心臓、脳神経系、筋肉、骨などいくつかのいろんな臓器に病変を作ることもあります。
  • 遺伝や感染するような疾患とは考えられていません。
  • サルコイドーシスの肉芽腫は、近年では健常人でも持っているニキビの原因となるアクネ菌に対する過剰な免疫反応が関与しているという説が有力とされています。
サルコイドーシスの診断はどうしますか?
  • サルコイド―シスの診断基準と重症度分類 日サ会誌2015に準じていくつかの検査をして診断をしています。
  • 解説はこちらをご覧ください。
サルコイドーシスの予後・治療法は?
  • サルコイドーシスは自然に治る症例から必死な治療にも関わらず悪化する症例まで、経過の幅がとても広いことが知られています。つまり、患者さん個々で症状や経過が異なりますので、詳細は主治医に聞いてください。他人の経過が自分に当てはまることは稀ですので注意してください。
  • 治療は、ステロイド全身投与を長期間行うのが一般的です。
  • 東北大学病院のサルコイドーシスの診療実績はこちらをご覧ください。
サルコイドーシスの典型的な画像(自験例)

両側肺門リンパ節の腫大を胸部X線写真および胸部CTで認め、Gaシンチグラムでの取り込み(黒く染まっている部分)はステロイド治療により減少することが分かります。

 

特殊な炎症性肺疾患

 肺胞蛋白症、肺リンパ脈管筋腫症(LAM)、ランゲルハンス組織球症(LCH)などの比較的希な疾患に対する診療も行っております。肺胞蛋白症に対するGM-CSF吸入療法や、LAMに対するmTOR阻害薬を用いた治療など、試験的な治療にも日欧米の研究機関と連携しながら取り組んでいます。

自己免疫性肺胞蛋白症に対するGM-CSF吸入療法

重症の自己免疫性肺胞蛋白症に対しては、一般的には人工心肺と全身麻酔併用下に全肺洗浄療法を行いますが、負担の大きい治療です。上記の例ではGM-CSF吸入療法のみで肺胞内蛋白蓄積が軽快し、在宅酸素療法からの離脱が可能でした。

 

呼吸器感染症

 近年の高齢化の進行に伴い、肺炎は悪性疾患、心疾患に次いで日本人の死因の第3位に上昇しており、年間約12万人の方が亡くなられています。統計からも肺炎を含めた呼吸器感染症は日本における健康への大きな脅威となっており、肺炎で亡くなる人の9割以上は75歳以上のであることから、高齢者を中心とした呼吸器感染症への対策が社会的にも大きな問題となっています。また、医療の進歩により悪性疾患や慢性関節リウマチ等の膠原病などに対して様々な抗癌剤や免疫抑制剤、そして生物学的製剤が治療に利用されてきておりますが、通常の免疫力のある方では発症しない病原体による呼吸器感染症を合併される患者さんも増加しています。さらに、慢性に進行する肺感染症として、近年、非結核性抗酸菌による肺感染症も中高年の女性を中心に増加しており、適切な診断、治療管理が望まれております。

 我々呼吸器内科では、通常の抗菌薬治療にて十分な効果が得られなかった患者さんを中心に、呼吸器感染症の診療にあたっております。感染症の原因を診断するため、血液検査、胸部X線写真&CT等による画像検査、各種培養検査等を行う他、通常の検査で病原体を特定することが困難な場合は、気管支鏡検査により直接感染を起こしている部分を精査し、原因病原体を特定し適切な抗菌薬による治療を行っています。また、免疫力のない方で問題となる真菌(アスペルギルス感染症)やニューモシスチス肺炎に対しては、当科研究室独自に抗体検査や核酸増幅検査を行い、迅速な診断・治療に努めております。さらに、国内の研究・検査機関と協力し、稀な真菌・抗酸菌感染症についても、病原体の同定・診断を試みております。さらに、当科では、呼吸器感染症の原因の特定と治療だけではなく、COPDなど合併している基礎疾患の状況も適切に把握し、個々の患者様の状況にあった呼吸器感染症の診断・治療・予防を目指しております。

図1. アスペルギルスの沈降抗体。患者血清とアスペルギルス(菌体あるいは培養上清)との間に、沈降抗体の存在を示す沈降線が六角形として認められる。

図2. アスペルギルス遺伝子の検出。患者、肺胞洗浄液検体よりDNAを抽出し、アスペルギルス遺伝子に特異的なプライマーを使用し、遺伝子を同定。