東北大学病院

English

文字サイズ

カラー設定

診療受付:8:30-11:00 再診受付機 8:00-11:00

休診日:土・日・祝・年末年始12/29-1/3

診療時間:平日 8:30-17:15

お問い合わせ:022-717-7000 [ 時間外・休診日 022-717-7024 ]

歯周病科

  1. トップページ >
  2. 診療科・部門 >
  3. 歯周病科

【病棟】東病棟 10F 【外来】外来診療棟C 5F 【外来受付電話番号】022-717-8337

科長あいさつ

 私たちは歯周病科と歯内療法科の2つの専門科を担当しております。そのうちこのページでは歯周病科について紹介をします。歯周病科は、歯周病に対して専門的な治療を行う診療科です。歯周病とは、歯を支えている組織(歯周組織)に起きる炎症性疾患で、歯肉の下にある骨が徐々に破壊されて最終的には歯が抜けてしまうという病気です。この病気は虫歯(う蝕)と並ぶ口の中の二大疾患といわれ、最近の調査では日本人の中高年の方の約70%以上が罹患しており、歯を失う最大の原因となっています。そればかりか最近では、冠状動脈系心疾患(心筋梗塞や狭心症)・糖尿病といった生活習慣病、老人の誤嚥性肺炎や妊婦の方における早産などの発症リスクを高めることが疫学的にも明らかにされつつあります。従って、歯周病を予防あるいは早期治療することは、単に歯が抜けることを防ぐばかりでなく、全身の健康を守るためにも非常に大切なことです。しかし歯周病は”silent disease”ともいわれるように特に初期においては痛みなどの症状に乏しいため、患者さんは気づかぬままに重症化していることが多い病気でもあります。

 当科では歯周病の早期発見と早期治療による口腔の健康確立を目指すとともに、中等度以上の歯周病に罹患された患者さんに対しては、ポケット検査やX線写真などの検査結果を基に診断して治療計画を立案した上で歯周外科手術を含めた専門的な治療を実施しております。当科には多くの専門学会認定の歯周病専門医が在籍しており、また歯科衛生士や補綴・矯正治療の専門家などとも連携して日本でもトップレベルの歯周治療を提供しております。さらに歯周病により破壊された骨を元に戻す歯周組織再生治療などの先端治療も実施しておりますので、「歯肉が腫れる」、「歯ぐきから膿が出る」、「歯がぐらぐらする」といった症状があるような場合、あるいは歯周組織の健康に何か不安があるような場合にはどうぞ私たちの歯周病科を受診してください。

教授 佐々木 啓一

対象疾患と診療内容

 歯周病は、デンタルプラーク(歯垢)によってまず歯肉に炎症が起こり、さらにその中にある歯を支える骨が徐々に破壊されていくという病気です。原因となるデンタルプラークは細菌の塊ですので、細菌感染症ということができます。また歯周病は大きく歯肉炎と歯周炎の2つに分けられますが、以下にそれぞれの特徴を記します。

歯肉炎

 歯肉炎は炎症が歯肉に限局した疾患で、主な症状は「歯肉が腫れる」、「歯肉からの出血」及び「口臭がする」といったものです。また歯石の沈着がみられる場合もあります。歯肉炎は10代前半の若年者から見られ、平成11年度の厚労省の調査では10代、20代の方の約60%が歯肉炎に罹っていたという報告がされています。この病気の特徴は、口腔清掃によってプラークを除いてやると完全に元の健康な歯肉に戻るということで、この時期に早期治療することがこの後に起きる歯周炎を予防する上で非常に重要です。
 また歯肉炎の発症や進行は全身状態の影響を受けており、妊娠によってホルモンのバランスが変化する妊婦の方に発症しやすいことはよく知られています(妊娠性歯肉炎)。これ以外に、発熱などの全身症状や口の中の潰瘍形成、痛みを伴う急性壊死性潰瘍性歯肉炎という疾患もあり、専門家による治療が必要です。また服用されている薬物によって特殊な病態の歯肉炎が引き起されることもあります(右の写真)。これは薬物性歯肉増殖症といいますが、普通の歯肉炎のように単純にプラークを除いただけでは治癒しません。影響を及ぼす薬物は、抗てんかん薬(ジフェニルヒダントイン)、降圧薬(ニフェジピン)及び免疫抑制薬(シクロスポリンA)の3種類ですので、これらのお薬を飲んでいる方で写真のように歯肉が腫れてきたという場合にはどうぞご相談ください。

ニフェジピンによる歯肉増殖症

歯周炎

 歯周炎は炎症が内部の骨などに及んだ疾患で、通常は長期間歯肉炎が持続して病状が進むことにより移行して生じます。歯周炎の症状は、上述した歯肉炎の症状に加えて、右の写真のように進行するに従って「歯ぐきが下がる」、「歯が移動して出っ歯になった」、「歯と歯の間の隙間が広がった」、「歯肉から膿みがでる」という症状を自覚します。また身体の抵抗力が落ちたときには、大きく歯ぐきが化膿して腫れるということを生じます(歯槽膿瘍)。X線写真では歯を支えている骨の破壊が認められます(上の写真右)。そのまま放置していると、やがて歯が抜けてしまうことになりますので、やはり早い段階に治療することが大切です。
 歯周炎は通常中年以降の方に多く見られる病気ですが、稀に10代〜20代の非常に年齢の若い方で進行した歯周炎(侵襲性歯周炎)が生じることがあります。このような場合は特に専門医による治療が必要です。一般的に歯周炎は非常にゆっくりと進行する慢性疾患ですが、糖尿病などの全身疾患やタバコなどの生活習慣リスクがある場合には、やはり非常に急速に進行しますので早期に受診をお薦めします。

診療内容

対象疾患により若干異なりますが、一般的には、次に示すようなステップで診療計画を立案して治療を行います

  • 精密検査:歯周ポケット検査、X線写真(デンタル10枚法あるいはパノラマ撮影)、および口腔内カラー写真など歯周組織の病気の状態を診断するための検査や、プラークや咬合状態などの口の中の原因因子、歯周病のリスク因子(喫煙や糖尿病などの全身疾患)についての診査を行って、治療計画を立案します。

  • 基本治療:歯周病の原因であるプラークを除去するために歯磨き指導や歯石の除去を行います。また、歯周炎の場合には歯の根の表面についた歯石を除去して滑択にする処置を、1本1本丁寧に行います(ルートプレーニング)。さらに歯周組織を急速に破壊する外傷性因子を除去します(咬合調整、歯ぎしりなどの悪習慣の是正指導、プロテクター作製)また、歯の動揺がある場合は、歯と歯を連結して噛めるようにします。

    歯周基本治療前後の口腔内
    左:治療前、右:治療後
     適切なブラッシングとスケーリング・ルートプレーニングにより、歯肉の炎症が改善して、腫れが収まっているのが分かります。

  • 修正治療:それぞれの患者さんの病状や口腔内の状況に合わせて、以下に示すような治療を組み合わせて行います。

歯周外科手術

 歯周組織が高度に破壊されていて基本治療で治癒しない場合や歯周組織の再生を図るために歯周外科手術を行います。また歯肉の審美性を改善するために手術を行うこともあります。

 ① ポケット除去手術:フラップ手術や歯肉切除術など、歯周ポケットの除去を目的とした手術です。
 ② 歯周組織再生誘導法:失われた骨の再生を図る先端治療で、GTR膜という特殊な膜や
   エムドゲインという再生誘導物質を用います。
 ③ 歯周形成外科手術:局所的に下がった歯肉などを元に戻して、審美的に整えるための手術です(下の写真)。

左:術前
右:術直後

咬合治療

 動揺している歯の固定、歯の欠損部への入れ歯やブリッジの作製、病的に動いた歯の矯正などを行って、快適に咬めるようにまた審美的にも満足できるようにします。この段階では、当科の担当医と補綴や矯正の専門医が連携して、それぞれの患者さんに最適な治療を行います。
 4.メインテナンス治療:治癒した歯周病が再発しないように、定期的に来院していただいて診査と歯面清掃を実施して、健康な歯周組織を維持します。

診療の特色

 当科は日本歯周病学会の認定研修施設であり、歯周病専門医の育成を行うとともに、重度歯周疾患に対する治療を積極的に受け入れています。当科では患者さんに優しい治療を目指しております。また歯周病の治療は、患者さん自身のブラッシングによる口腔管理なしでは成功を収めることはできず、治癒した後もメインテナンス治療で長期間にわたって口の中を診させていただくことになります。そのため患者さんとのコミュニケーションを基にした信頼関係を築くことを第一に考えております。
 歯周病はプラーク中に存在する歯周病原性細菌により引き起こされる慢性の感染症であり、その発症や進行が口腔清掃習慣に大きく依存することから生活習慣病とも位置づけられています。最近では、歯周病と糖尿病、動脈硬化、誤嚥性肺炎、低体重児出産などとの関連が報告されており、歯周病と全身疾患との深い関連性が注目されています。従って、歯周病の予防あるいは治療を行って口の中の健康を守ることは、生涯にわたって食を中心としたQOLを高めるばかりでなく、全身の健康の確立に大きく寄与することに直結します。私たちは専門的な歯周治療を通じて患者さんの健康に役立ちたいと考えております。
 加えて当科では先端的歯科治療である歯周組織再生治療に積極的に取り組んでおり、すでに確立された治療法に加えて、新たに開発された歯周組織再生誘導薬(ヒト型の合成成長因子)の治験も実施しております。さらに教室内では、1)免疫学・細菌学を基盤とした歯周病の病態形成機構及び全身疾患との関連性の解明、2)新規歯周組織再生治療の開発、3)MEを応用した歯周組織病態診断法の開発を3つのテーマとして研究を進めており、これらの成果を歯周治療に早く応用できるよう日々努力しています。

年間症例数

(2015年度)

年間外来患者数 13,141人
歯周外科手術実施数(歯周組織再生療法を含む) 約120例

診療科より皆さまへ

 私ども東北大学病院附属歯科医療センター歯周病科は、最高水準の歯周疾患の診断と治療を目指して日夜努力しております。歯周病にお悩みで診療を希望される方はどうぞ歯周病科の新患を受診なさってください。またすでにかかりつけの先生がおられる場合は、紹介状をお持ちになってご来院ください。

東北大学大学院で歯周病に関する臨床・基礎研究を行うことに
興味を持つ研修医の皆さまへ

 私たちは、上に述べたように1)免疫学・細菌学を基盤とした歯周病の病態形成機構及び全身疾患との関連性の解明、2)新規歯周組織再生治療の開発、3)MEを応用した歯周組織病態診断法の開発を3つのメイン研究テーマとして、細菌学、免疫学、分子生物学、生体材料学や電子工学といった広い領域で研究を展開しております。また同時に歯周病専門医の取得を目指した歯周治療の研鑽を大学院の期間を通じて積むことにより、研究のみならず臨床面においても将来の歯周病学を担うリーダーを育成することを目指して日々、努力しております。現在、大学院生は15名で、出身大学は多様で非常によい雰囲気で臨床および研究に毎日励んでいます。歯周病学に興味を持つ歯科医師の皆さまの大学院生としての新たな入局を歓迎いたします。

リンク

 本治療室は下記の学会により研修機関として認定されています。