摂食・嚥下障害看護認定看護師

2018.01.15

厚生労働省の2016年人口動態統計では、肺炎が原因で亡くなる人の割合が9.1%となり、がんや肉腫などの悪性新生物(28.5%)、心疾患(15.1%)に次いで第3位です。そのなかでも高齢者の誤嚥(ごえん)性肺炎(※1)の数が増えており、超高齢社会を迎えた日本にとって、大きな課題となっています。噛んだり飲み込んだりする摂食・嚥下(えんげ)機能の低下が誤嚥の一因とされていますが、他にも低栄養や筋力低下、サルコペニア(※2)、フレイル(※3)といった高齢者によくみられる症状も引き起こしてしまいます。もともとの疾患にこれらが加わると、患者さんの状態がより複雑になります。私が担当する耳鼻咽喉・頭頸部外科病棟では、医師や看護師、言語聴覚士などが一丸となって患者さんへの嚥下指導を行い、機能低下の防止に取り組んでいます。また、スタッフの更なるレベルアップを図り、誤嚥性肺炎予防や口腔ケア、姿勢の調整、嚥下訓練法などの勉強会も行っています。

当院は診療科ごとに高い専門性があり、摂食・嚥下機能の低下が疾患に及ぼす影響も各診療科によって異なりますが、「安全に食べるための口づくり」については病院全体として取り組んでいます。入院時から退院後の生活を見据え、寝たきり状態による機能低下の予防のための栄養管理や口腔ケア、リハビリテーションなどをしっかり行い地域の医療・福祉機関へとつないでいます。

私たち摂食・嚥下障害看護認定看護師は、常に「生活支援」という視点に立ちケアをしています。より多くの患者さんが高いQOLを保ちながら療養生活が送れるよう、地域全体としてケアの質を上げることも大切な役割の一つだと考えています。摂食・嚥下障害は十人十色です。一人一人に合わせたケアができるチーム医療を広めることが、私の夢です。

※1誤嚥性肺炎・・・食べ物や唾液が誤って気管に入り肺に流れた細菌が起こす肺炎のこと
※2サルコペニア・・・加齢や疾患により筋肉量が減少し、握力や下肢筋、体幹筋など前進の筋力低下が起こること
※3フレイル・・・体がストレスに弱くなっている状態のことさし、特に高齢者においては、さまざまな合併症を引き起こす危険性を伴う

11月24〜30日は
医療安全推進週間
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