【寄稿9】東日本大震災から10年、今、私たちが考えていること

2021.03.08

腎・高血圧・内分泌科長
宮崎 真理子

まず、東日本大震災後、現在も将来も次の三つは変わることはありません。

第一に、震災で亡くなった方々への追悼の気持ち、二つ目は被災地の復興へのご尽力への敬意、そして周囲からのお見舞いやご支援への感謝です。

次に10年間で大きく変わったことをご紹介します。前述の3点を込めて、東日本大震災の経験や反省、検証や分析を続けて各地の医療関係者、患者さんに向けて講演や執筆で伝えてきました。さらにその課程で、災害医学や地域保健、行政機関の方々、患者さんの団体等と幅広く交流が深まり、尊敬する方々や大切な友人が増えました。これらは以後の大地震、豪雨、台風等、さらには新型コロナウイルス感染症対策でも生きています。将来予想されている首都直下地震や南海地震への対策にも役立つでしょう。

終わりに皆様へ伝えたいことがあります。大震災後、ともに困難に立ち向かった何人かを病魔で失いました。病状を悪化させた腎臓病患者さんも相当数いました。もし、大震災がなければ結果は違っていたかもしれません。今、検査や治療を勧められている方々には、新型コロナウイルスを理由に後回しにせずに必要な医療を受け、重症化を防いでいただきたいと強く思います。

気仙沼市立病院の透析患者さんを北海道へ移送するため、
東北大学病院へ一時入院や受け入れ先病院との調整を担った。

宮崎 真理子(みやざき まりこ)
1960年山形県出身。1987年東北大学医学部医学科卒業。同大医学部第二外科、竹田綜合病院内科、仙台社会保険病院腎疾患臨床研修センターを経て、2010年東北大学大学院医学系研究科腎・高血圧・内分泌学分野講師。2012年当院同科准教授、2016年同大医学系研究科同分野准教授。2019年より現職。
11月24〜30日は
医療安全推進週間
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