【寄稿4】東日本大震災から10年、今、私たちが考えていること

2021.02.26

救急科長
久志本 成樹

〝災害だから……〟という言い訳はしません。ずっと、考えながら災害と救急医療のための整備をしてきました。

私たちは、病院というとても恵まれた環境の下、十分な準備をして、たくさんの情報、そして多くのスタッフとともに診療をしています。ところが災害が発生すると、このような状況が一転します。10年前、普段とは違う〝災害だから……〟と、私たちも、みなさんも、自分のことを正当化できたかもしれません。
でも、もう違います。

地震や水害などの自然災害だけでなく、テロのような人為災害に対しても、いろいろな状況を想定して準備をしています。〝もの〟、〝ところ〟、そして、〝人〟とチーム、組織です。準備とたくさんの状況を想定しての訓練をし、院外の皆さんとも顔の見える協力体制を築いています。いま、〝予期した〟災害に対応して、同時に日常の診療レベルをできるだけ維持すること、そのレベルを高くすることが少しずつできています。
100%は決してありません。もう、〝災害だから……〟という言い訳はしません。
さまざまな災害を考え、みなさんとスタッフの被害をできるだけ少なくできるように訓練を繰り返しています。

 

2017年総合防災訓練中の救命救急センター

 

2018年総合防災訓練における外来支部の様子

 

2019年原子力災害医療対応訓練 先進医療棟ERにて

久志本 成樹(くしもと しげき)
1959年東京都出身。1985年大分医科大学医学部卒業。1985年日本医科大学救急医学教室入局、同大附属病院救命救急センター、米国ミネソタ州メイヨークリニック、日本医科大学救急医学教授などを経て、2010年10月より東北大学大学院医学系研究科救急医学分野教授、当院救急科長、高度救命救急センター長に就任。
11月24〜30日は
医療安全推進週間
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