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東北大学病院が進めるスマートホスピタルと現場観察ABCの最前線(下)
東北大学病院が進めるスマートホスピタルと現場観察ABCの最前線(下)
スマートホスピタル通信 2022.05.24

東北大学病院が進めるスマートホスピタルと現場観察ABCの最前線(下)

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「東北大学先端技術×ライフサイエンスシリーズ」の第1弾として1月31日にオンラインで行われた「東北大学病院が進めるスマートホスピタルと現場観察ABCの最前線」。後編では、糖尿病代謝科におけるオープンイノベーション、フィリップス社におけるコ・クリエイションの取り組みについての講演と、参加企業・現場観察をサポートする医療者それぞれの視点から率直な意見交換が行われたパネルディスカッションの様子をお届けします。

ネットワークと実績を生かしたオープンイノベーション

糖尿病代謝科が有する、臨床と研究と発信力、地域ネットワーク、治験実績、国や学会とのつながり。このような基盤は、産学連携やオープンイノベーションにはどう役立つのでしょうか?医療機器の開発プロセスは、ニーズやコンセプトの同定から始まり、その後各種の非臨床試験や臨床試験、規制当局との折衝、マーケティングといった過程を経ますが、その要所要所で医療従事者やキーオピニオンリーダーと呼ばれる学会関係者とのやり取りが発生します。その際、事業の本質的な価値を関係者に正しく理解してもらうためには事業の学術的な位置付けの検証、向上が非常に重要です。

「これこそが私共が最も得意とすることです」と高橋圭助教。「企業の皆さまやさまざまな関係者のインターフェイスとなることで、真の学術的な価値の引き出しや企業の皆さまの言いたいことを関係者に通訳することができます。また、日本の縮図のようなマーケットと考えられる宮城県に私共は強固な医療ネットワークがあり、検証する際に力を発揮できると考えています」とアピールしました。

さらに、企業の方々に臨床現場の観察を通してニーズを探索してもらう「クリニカルイマージョン」の実例も複数紹介。「私共は、医療機器を開発して上市するまでに必要なさまざまなプロセスに関するピースを持ち、提供することができます。東北大学病院のさまざまな診療科が、ビジネスリエゾンのハブとして皆さまとコラボしてイノベーションをしていきたいと思っていますので、興味のある企業さまはお声掛けいただければ」と呼び掛けました。

 

 

患者さん中心に部門横断で共創するコ・クリエイション

次に株式会社フィリップス・ジャパン Solution CoE HTSコンサルティング部リーダーの北原雄高氏から、フィリップス社におけるヘルスケア改革に向けたコ・クリエイションの取り組みについて紹介いただきました。フィリップスは基本戦略として、健康な生活、予防、診断、治療、ホームケアヘルスコンティニウムを通じた価値創造を掲げています。一人の患者さんが体験する一連のペイシェントジャーニー全体で統合的なケアを提供し、投下した医療資源に対するアウトカムの最大化を図ることを目指しています。

コ・クリエイションにアプローチした理由について、北原氏は「ヘルスケアのイノベーションを医療機関またはベンダー単独で行うことは極めて困難な状況になっています」と背景を語ります。そこで同社では医療機関や企業の方々と長期的なパートナーシップによってイノベーションの創出を進めています。患者さんの体験、職員の業務あるいは環境空間的な体験を俯瞰(ふかん)することによって、問題点やボトルネック、解決のためのアイデアを医療機関の部門横断的な参加者と共創していく取り組みです。

このアプローチのポイントは、「何と言ってもペイシェントセンタードであるということ」と北原氏。「患者さん中心にこのプロセスを描く、あるいは問題点を追求することで、普段は見えない病院の中での部門間にまたがる課題を見つけ、その解決策をデザインするときに生じる部門間の利害の衝突を収斂(しゅうれん)させることができると考えています」と話しました。

 

 

同じゴールを目指してコラボレーションを

4人の講演の後、企業・ビジネスリエゾンと演者によるパネルディスカッションが行われました。講演の中で、現場観察のインサイト、定義付けられたニーズを取ることが重要だという話が各スピーカーからあったことを受けて、中川特任教授が帝人株式会社ヘルスケア新事業部門医療機器事業推進班 研究員の西脇泰美氏に、現場での工夫を聞きました。例えば医師から「あれば使いたい」という意見が得られても、実際のニーズの強さは評価できないことから、「先生方の経験、行動でそのニーズの強さを評価しています」と西脇氏。医師が具体的な行動を起こした回数を根拠として、ニーズの強さを判断しているといいます。

デンカ株式会社ライフイノベーション部門事業推進部の藤井健治氏より、現場から取ってきた課題をどのようにセレクションするか、その基準について北原氏に問い掛けがありました。北原氏は「われわれも絶えず苦労している部分でありますが」と前置きした上で、「患者さんにとって最終的にどういったアウトカム、インパクトを目指すのかを入り口にし、何が最終ゴールかをまずきちんと定義付けています」と回答。あくまでゴールがあっての問題であり、その解決策がどれくらいのインパクトを与えるのかをKPI(重要業績評価指標)として明確に設定しているそうです。

この件について、小鯖助手は「クリニカルチームは現場の困り事を吸い上げるというボトムアップにサポートを入れ、中川先生がトップダウンビューの視点を入れ、その双方から攻めていって合致点を見つけるようなイメージで行っています」とASUでの手法を紹介しました。

 

 

最後に主催の一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)常務理事の曽山明彦氏が総括。継続的に医療の体制やサービスを患者さんに提供していく上では医療従事者のニーズが大事だということを改めて確認し、デジタルヘルスなどの分野でサービス提供効率化に取り組んでいるスタートアップがあり、東北大学が中心になってそうした企業とつながることで進んでいくのではないかと期待。「目指しているゴールは一緒。それを目指して皆さんとコラボレーションできれば」とメッセージを送りました。

 

取材日:2022年1月31日

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