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スマートホスピタル通信
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スマートホスピタルを目指して
スマートホスピタルを目指して
スマートホスピタル通信 2021.09.09

スマートホスピタルを目指して

東北大学病院長|冨永悌二

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すべての人が ”comfortable” な病院を

スマートホスピタルの定義は様々ですが、病院のスマート化は現在全国の大学病院が目指していると言っても過言ではありません。それは一つには、社会における様々な技術革新と共に、医療の分野でもそれらを導入した新たな医療開発が必要とされているからです。実際各診療領域においても新たな診断治療(再生医療やがん個別化医療の臨床実装、内視鏡のAI診断、ロボット手術の普及等々)が生まれています。一方行政からは、2024年に施行される働き方改革やコロナ後を見据えたDXの更なる推進などが求められており、医療業務においても様々な変革を迫られています。これらを実践し、新たな診療・医療を開拓していくことは、即ち病院のスマート化に繋がります。もちろんスマートホスピタルの概念には、これらいわば医療のソフト面だけでなく、ハード面の病院施設、即ち機能的に洗練された未来型の病院施設も含まれます。しかし東北大学病院におけるハード面でのスマート化は、長期的に取り組まなければならない課題です。現在我々が推進している東北大学病院のソフト面でのスマート化は、病院に集う患者やその関係者のみならず、すべての医療者もやはり”comfortable”であるべきとの考えに基づいています。例えば旧来のように医療機関として患者に最良の”Patient Journey”(患者体験)を提供することを目的としても、そのために医療者を含めた病院職員が多大な時間的身体的代償を払い続けるとしたら、その病院はスマートと言えるでしょうか。そこで我々の目指すスマートホスピタルは、医療各専門診療科におけるAIなどの活用によるイノベーションの創出に加えて、医療業務における効率化と安全性向上の2本立てで推進しています。

アライアンスと人材育成がスマート化を加速

各診療科におけるAI活用は、大学病院の東病棟1階に設置したAI Labo(エーアイラボ)がリエゾンとなり企業や医学系研究科とも連携しながら課題解決に取り組んでいます。医療業務のスマート化は、一朝一夕にはなりませんが、これまで東北大学発ベンチャーと契約して手術場における看護配置のへのAI活用や手術スケジュールをはじめとした手術部運営における効率化、iPadによる外来患者問診の電子カルテ連結、外来患者スマホアドレスの登録システムを開発してリマインドメールサービスなどを開始しています。

iPadによる外来患者問診システム

これらスマートホスピタルを目指していく上で企業とのアライアンスはとりわけ重要です。これまで東北大学病院は院内に産学連携室を設置して、従来から行われてきたCRIETO(臨床研究推進センター)バイオデザイン部門におけるベッドサイドソリューションプログラムや、昨年西病棟15階に開設したオープン・ベッド・ラボ(OBL)などを通じて産学連携に積極的に取り組んでいます。2018年には東北大学がフィリップスジャパンとデジタル(ICT)を活用し「人々の行動変容」にフォーカスしたヘルスケア共同研究についての包括的提携を締結しており、様々な医療業務における課題抽出や業務フォローの効率化など、スマート化にも協力いただいています。

旧病床を活用した企業との共同研究スペース(OBL)

一方、今後スマートホスピタルを目指していく上で、AIを活用できる医療人材の育成が必要です。昨年東北大学は、北海道大学、岡山大学と連携して、国の医療分野における人材育成プログラムに採択され(全国2拠点の1つ)、本年度から大学院プログラムとして始動しています。このプログラムの特徴は、地域中核都市の大学が連携し企業、理化学研究所等とも連携して日本最大のAI教育コンソーシアムを形成していることにあります。また座学でAIについて学びますが、プログラム後半は医療現場でバイオデザインの手法を学びながら、実際の医療課題を対象にAIを用いた課題解決をデザインできる人材を育成します。今後医療分野でAIを駆使して様々な課題解決にあたり、東北大学病院をよりスマートにする人材が育成されることを期待しています。

AIを用いた課題解決をデザインできる人材育成プログラム・クリニカルAI

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冨永 悌二(とみなが ていじ)

東北大学病院 病院長
東北大学大学院医学系研究科 神経外科学分野 教授

福島県出身。米国生体膜研究所、バロー神経学研究所、広南病院脳神経外科部長などを経て、2003年に東北大学大学院医学系研究科神経外科学分野教授に就任。2015年、副病院長。2019年4月より現職。

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