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外からの視点

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外からの視点 2024.01.29

運動不足

佐藤厚志

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  書店員と作家の二足のわらじでやってきたが、最近執筆に専念するために勤務先を退職した。勤めている間は、早番なら仕事の後に、遅番なら仕事の前に執筆していた。書店では朝から大量の本の検品や品出しなどでかなり体力を使う。それ以外の時間も立ち仕事が多い。通勤は徒歩で片道二十分くらい歩いていたので、一日の運動量はけっこうなものだった。
  専業作家になると、課題は運動不足である。一日机に座って原稿を書いていると、血の巡りが悪くなって肩や首がカチコチに凝り、ひどい時は頭痛がしてくる。仕事場である家から一歩も出ないと、食欲は減退するし、なんとなく気分も塞ぎ込んでくる。
  散歩に出ればいいが、最初の一歩が重い。外に出ようかなと考えているうちに日が暮れてしまう。結局夕飯の用意をしなくてはいけなくなって一日が終わるのだ。 現在週に二回、筋トレをしている。そんなに本格的なものではない。腕立て伏せとスクワット。それからトレーニングチューブを使って腕や肩に負荷を与える。二十歳の頃からの習慣で、筋肉をつけようというのではなく、ただ太らないようにやっている。
  書店で働いている時はこれで十分だったが、どうも週二回の筋トレでは体型を保てない。歩いたり走ったりする有酸素運動が必要だ。甘いものが好きなので、半年もすると雪だるまみたいに太っているかもしれない。

©︎新潮社

 


佐藤 厚志

1982年宮城県仙台市生まれ。2023年「荒地の家族」で第168回芥川龍之介賞を受賞。これまでの著作に『象の皮膚』(新潮社刊)がある。


 

※東北大学病院広報誌「hesso」41号(2023年12月25日発行)より転載

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