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気になる症状 すっきり診断

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気になる症状 すっきり診断 2024.02.15

膵臓がん

総合外科 肝胆膵・移植グループ 講師|水間正道

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術前治療をして切除を

 皆さん、膵臓(すいぞう)がんという病気を知っていますか? 膵臓は胃の裏側(背中側)にあり、横の長さが14~16センチぐらい。ピストルのような形をした内臓です。膵臓は頭部、体部、尾部の三つの部位に分けられ、がんができた部位により症状が異なるという特徴があります。

 膵臓がんの初発症状としては、腹痛、黄疸(おうだん)、腰痛や背部痛、体重減少などがあります。約4分の1の患者さんは、診断される半年前から腹部に違和感があるといわれています。

黄疸や腹痛を伴う

 膵臓がんの約80%は頭部から発生し、残りの約20%は体部や尾部から発生します。頭部に発生するがんは、その中を通る胆管が狭くなるため胆汁の流れが悪くなり、皮膚や白眼が黄色くなる黄疸の症状が出ることが多いです。黄疸になると尿の色が濃くなり、便が白くなります。もあります。

 体部や尾部に発生するがんでは、患者さんの約90%が腹痛を訴えます。頭部のがんの方が黄疸を伴いやすいため、体部や尾部のがんに比べ早めに発見される傾向にあります。

 膵臓はおなかの臓器ですが、腰や背中の痛みから膵臓がんが見つかる場合もあるので注意が必要です。特にこれらの症状がなくても、治療中の糖尿病の悪化や糖尿病の診断時に発見されることもあります。

確定は針生検で

 膵臓がんが疑われた場合、超音波検査やコンピューター断層撮影(CT)、磁気共鳴画像装置(MRI)などの画像検査が行われます。最終的な確定診断には超音波内視鏡による針生検(EUS-FNA)が有用です。顕微鏡でがん細胞を確認し、組織学的に診断されてから治療を開始することが望ましいです。

 膵臓がんは、CTを中心とした画像検査から「切除可能」「切除可能境界」「切除不能」に分類され、その分類に基づいて治療します。

 最近の研究で、「切除可能」はがんが見つかったらすぐに手術を行うのではなく、術前治療として化学療法を行ってから手術をした方が治療成績が良い、ということが分かりました。「切除可能」は術前治療をした後に手術することをお勧めします。「切除可能境界」においても、まずは化学療法や化学放射線療法といった術前治療を行い、その後に手術することが勧められています。

 「切除不能」と診断された場合は、化学療法や化学放射線療法を行います。最近の治療法の進歩により、治療効果が良好な方を手術する機会も増えてきていますので、膵臓がんは専門家のいる施設で治療されることをお勧めします。

河北新報掲載:2020年5月22日
一部改訂:2024年2月15日

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水間 正道(みずま まさみち)

宮城県出身。1998年東北大学医学部卒業。JA秋田厚生連仙北組合総合病院外科で研修後、2000年東北大学旧第一外科入局。2008年~2010年米国ジョンズ・ホプキンス大学留学などを経て、2010年東北大学病院卒後研修センター助教、2013年東北大学病院肝胆膵外科助教、2015年同院内講師、2020年東北大学病院総合外科講師就任。

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