診療科の枠をこえ、乳幼児から成人まで年齢層を問わず、てんかん治療にあたる3人の医師。東北大学病院の専門性と先進性を強みに、患者さま一人ひとりに適正な診療を行うため、あらゆる角度からアプローチしています。緑豊かな医学部キャンパス中庭の木陰で、息の合った「へっそポーズ」。
誰もが一度は聞いたことがあり、もしかしたら身近に患者がいるであろう「てんかん」。日本で唯一「てんかん科」を標榜する診療科が、ここ東北大学病院にあります。
「てんかんは、赤ちゃんからお年寄りまで、誰がいつなってもおかしくない病気です。ありふれた病気だからこそ、安易な診断により適切な治療を受けられず、様々な悩みを抱えながら生活している患者さまも少なくありません」そう語るのは、てんかん科開設の必要性を強く抱き、実現に導いた中里教授。「てんかんの診断は本当に難しい。しかし、専門医が正しく診断し治療することで、8割近くの患者さまは、一般と変わらない生活を送ることができます」
適切なてんかん医療のため、中里教授が始めたことの一つに「てんかん症例検討会」があります。小児科医、脳神経外科医、神経内科医、精神科医、看護師、検査技師、臨床心理士、薬剤師など、てんかんに関わる全ての医療者が顔を合わせ、発作モニタリング検査や脳波などから、患者さまひとり一人に合わせた治療方針を導きます。ここで大切にしているのは、患者さまの普段の生活のこと。「てんかんを持つ方は、学校や職場での問題、妊娠・出産に対する不安、運転や仕事、病気への偏見など、発作以外にも様々な悩みを抱えています。これらの悩みを解決するために、たくさんの専門家と連携を図ることも、てんかん科の大切な仕事です」
この他にも、初診の患者さまから時間をかけてじっくり話を聞く「1時間外来」や、発作と脳波を同時に記録する「ビデオ脳波モニタリングユニット」を導入するなど、日本における最新のてんかん治療を着実に推し進めています。
てんかんの支援は、私たち誰もができることです。てんかんを持つ方が社会で生活するには、医療はもとより、周りの理解が不可欠です。毎年3月26日はパープルデー、てんかんの日です。欧米では孤独を意味する紫色は、てんかんを持って孤立している患者さまの立場を表しています。てんかんについての正しい知識を広めるために、この日は世界中の支援者たちが紫色のものを身につけて、様々な活動を行います。次の3月26日、皆さんも、ぜひ。