東北大学病院 造血幹細胞移植推進拠点病院

平成29年度第1回造血幹細胞移植拠点病院セミナー報告(2017/7/15開催)

7月15日、TKP仙台カンファレンスセンターにて、平成29年度第1回造血幹細胞移植推進拠点セミナー(東北地区合同連絡会議)が開催され、医師・看護師・各種コーディネーター72名にご参加いただきました。(右図参照)
30度を超える猛暑の中でしたが、参加者は熱心に耳を傾け、活発な質疑が繰り広げられました。

はじめに、新しく登録なされたコーディネーター2名が紹介されました。
その他、調整医師として9名が新たに登録されております。

 

中央事務局・東北地区事務局からの報告


中央事務局からは、骨髄バンクの現状について、様々な調査結果を基にご報告いただきました。コーディネートを開始しても初期段階で終了となるドナーが6割という現状の中、如何にコーディネート期間を短縮できるか、そして更なるドナー登録者の拡大に向けた課題などが挙げられました。
また、コーディネート調整を円滑にするために、ドナー候補者のご家族や職場に向けたパンフレットの作成、SNSを用いたドナーとコーディネーターの連絡調整など具体的な取り組みを報告いただきました。

東北地区事務局からは、コーディネート開始からの期間が、2016年に大幅に短縮されたことが報告され、その要因として以下の4点を挙げられました。
  ①施設の採取枠が増え、他県からの受入れが可能となったこと
  ②HCTCの存在により、施設状況が把握しやすくなったこと
  ③他県対応可能なドナーが増えたこと
  ④極めて短期間でのコーディネート例があったこと

 

医療委員会・ドナー安全委員会からの報告

医療委員会からは、主に以下の3点が報告されました。

  1. 非血縁者間造血幹細胞移植において、HLAタイピングの新たな検査法(NGS検査)が導入された。
       ※この検査法で登録された患者は確認検査を省略できる
  2. 末梢血幹細胞の凍結については、国の審議を要するものであり、なお、継続審議中である
  3. 移植施設の学会認定については、12月までを申請期間としている。日本造血幹細胞移植学会のホームページで詳細を確認してほしい。

ドナー安全委員会からは、非血縁者間末梢血幹細胞採取・移植実施状況について、資料を基にご説明いただきました。さらに、緊急安全情報を発出した数事例の説明とその結果報告がなされました。

 

東北ブロック拠点病院事業報告
  「造血幹細胞移植患者手帳の配布・運用について」


東北ブロック拠点病院からは、地域内のネットワーク構築に向けた取り組みとして、以下2点が説明されました。

  1. 地域内の移植医療連携体制の整備 

    • ①タイムリーに相談できる体制として、WEB会議を導入
    • ②骨髄バンク地区事務局との連携を図るために、合同連絡会議の開催
    • ③移植を専門としない医療従事者との連携に向けた「造血細胞移植手帳」(以下、「患者手帳」)の配布
  2. 造血幹細胞移植支援センターの設置

特に、患者手帳に関して、作成に至った経緯からその内容や役割についての詳細が説明されました。現在は、各移植施設の必要部数に応じて配布の準備中ですが、患者さんへの配布については関連機関への説明後を予定しています。
患者さん・かかりつけ医・移植施設の三者を結ぶ情報手段として、普及を進めていきます。

 

造血細胞移植学会HCTC委員会からの報告

 

HCTC委員会からは、「骨髄バンクコーディネーター」と「造血幹細胞移植コーディネーター」の役割について、4月に作成された資料を基に解説していただきました。この内容については、造血幹細胞移植学会のホームページに掲載されていますのでご確認ください。

 

事後のアンケートでは、「濃い内容で大変勉強になった。」「移植の状況が把握できた。」という意見が大半でしたが、施設間の情報交換、あるいはコーディネーターと調整医師との意見交換の場を求める声もあり、このようなセミナーの果たす役割は大きいと考えます。さらに、当支援センターではWEB会議も開設しておりますので、新たに導入される「患者手帳」の効果的な運用方法に関しても含めて、情報共有の場としてご利用いただければと考えております。

 

公開日:2017年7月20日

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