地域医療の現場から より適切な医療のため

2014.01.31

2013年6月1日から4か月間、東北メディカル・メガバンク機構の地域医療支援事業の一環で、南三陸町に建つ志津川病院の内科医師として勤務しました。本来の志津川病院は津波で流されてしまったため、現在は外来機能だけを持つ「公立南三陸診療所」と、登米市米山町の休眠病床を病棟とする「公立志津川病院」の2拠点体制で運営されており、私は主に外来診療を担当しました。南三陸では今なお住民の約半数が狭い仮設住宅での生活を余儀なくされています。

また震災により、進んでいた高齢化に拍車がかかってしまったのも事実。しかも高齢者にとって、海辺の平地から山間に移り住むことは本当に厳しい環境の変化だったと思います。そんな中、地元の方達が南三陸のゆるキャラ『オクトパス君』と共に町を盛り上げている姿は印象的でした。ちなみに赴任中は診療所の近くで生活しました。周辺には店が数軒ある程度。しかも私は自炊しないので、数少ない食事処へ毎日寿司ばかり食べに行っていました(笑)。行く度サービスしてくれるので、かえって申し訳なく思ったり。でも地域の方と同じ環境で生活した分、見えてきた課題も多くありました。例えば高血圧予防には減塩が基本なんですが、町の方は塩辛いものを好んで食す傾向があるので、少し気に掛かりましたね。

CIMG1158

南三陸町のキャラクター「オクトパス君」を診察

地域医療には当然、専門分野以外の知識も求められます。中でも特に問われていると感じたのは、高齢者を診る知識。認知症などの医学的な治療は勿論、介護についての知識を問われるなど、地域医療=高齢者医療になりつつあることを改めて実感しました。また少人数の医師で多くの患者さまを診察するのが地域医療の現状であることを考えても、自分に足りないスキルを補うシステムの構築はこれからの大きな課題と言えるでしょう。

公立南三陸診療所の皆さんと

公立南三陸診療所の皆さんと

赴任から4か月後、引き継ぎをしっかり終えて大学に戻りました。私が戻ってきた後も、引き続き他の医師が4か月単位で志津川病院へ出向いています。大切なのは、今後も各現場に必要なマンパワーやリソースを、適宜調節し送り続けていくことではないでしょうか。

11月24〜30日は
医療安全推進週間
11月24〜30日は
医療安全推進週間