前回までは、漢方の診察について詳しくご紹介してきました。今回からは、漢方独自の診断方法と治療の考え方、体質や病態診断のもととなる漢方の概念などについてご紹介します。
今回は、物事をその性質から「陰」と「陽」の2つに分類する考え方について。この考え方は、患者さまの体質や症状だけではなく、環境因子や社会背景なども含めて2つのどちらかに分類していくというものです。
陽は温かく、明るく、軽いようなイメージで、陽に分類されるものは、上部・背中・表・熱・実・昼・動・腑・夏・気(エネルギー)などがあります。
陰は冷たく、暗く、重いようなイメージで、陰に分類されるものは、下部・腹・裏・寒・虚・夜・静・臓・冬・血や水(物質)などがあります。
現代の生理学では、戦うときに活発になる交感神経は陽に、休む時に活発になる副交感神経は陰になります。