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気になる症状 すっきり診断

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気になる症状 すっきり診断 2024.09.13

免疫異常で起こる関節リウマチ

リウマチ膠原病内科 科長|藤井博司

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早い新薬使用 進行抑制

 関節とは骨と骨のつなぎ目に当たる部分です。ヒトの体には指、手首、肘、膝、足首などいくつもの関節があります。関節は関節包といわれる硬い膜に包まれています。その内側は滑膜という薄い膜で、骨が向かいあって接する部分は軟骨という成分で覆われています。関節とその周辺だけが原因で起こる関節痛もありますが、全身の免疫異常が原因で起こる関節痛もあります。その代表例の一つが関節リウマチです。

頻度の高い疾患

 関節リウマチとは関節の成分の一つである滑膜が炎症を起こすことにより、軟骨と骨が削られ、関節が変形していく病気です。人口の0.5~1.0%くらいの人が関節リウマチを患っており、頻度の高い疾患です。

 20年以上前は関節変形の進行を止めることが難しい症例が多かったのですが、早期診断と早期治療が、その後の骨と関節破壊の進行を大きく左右することが近年分かってきました。また、医学の進歩により生物学的製剤やJAK阻害剤などの新薬が使えるようになってきており、それらの薬剤を早期に使用することで関節の変形や破壊が進んで行く患者さんは減ってきています。以前は「慢性関節リウマチ」と言われていましたが、今は慢性的に進行させないことが現実的な治療目標となってきているので、慢性を除き「関節リウマチ」という呼称となっています。

朝こわばり続く

 初期症状は、30分以上続く朝のこわばり(関節が動かしにくい)と関節の痛みです。痛みが首や腰から始まることは少なく、最初のうちは自然と良くなったり、あちこち移動することもありますが、数週から数カ月かけて痛い関節が固定して腫れてきたりするような時は、関節リウマチの恐れがあります。

 また、関節の痛みに加えて、発熱、体重減少、倦怠(けんたい)感、顔や手足の皮疹、息切れ、むくみなどの症状があれば関節リウマチ以外の内科系疾患の初期症状のこともあります。これらの内科系疾患は、関節痛がきっかけとして見つかることもありますし、時に関節リウマチに合併していることもあります。

 関節リウマチやこれらの内科系疾患は他の症状、採血結果、時にエックス線、超音波、コンピューター断層撮影(CT)、磁気共鳴画像装置(MRI)などと組み合わせて診断します。全てではありませんが早期診断、早期治療が大事な疾患の場合もあります。持続する関節痛、また、前述した症状を伴う関節痛の時は、早めに医療機関を受診しましょう。

河北新報掲載:2021年5月28日

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藤井 博司(ふじい ひろし)

兵庫県出身。1996年東北大学医学部卒業。1998年東北大学血液免疫病学分野入局。2020年より東北大学病院リウマチ膠原病内科診療科長。2024年より東北大学大学院医学系研究科臨床免疫学講座教授。

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