若い頃は、ほぼ24時間体制で、疲れを知らずに働いていました。「なんで人は眠るのかな?」って考えるほど(笑)。でも東日本大震災が起きて、毎週のように現地に通って炊き出しなどの活動をするうちに、PTSDになり重度のパニック障害を発症して。その時をきっかけに、普段の体調管理も変わりました。食事は、体に負担がかかるので満腹にならないようにして、気候による体温の変化にも気を付けています。
それまでさまざまなメディアや広告の仕事をしてきましたが、体調が悪い中で、これから自分は何をやるべきか考えて、思い立ったのが〈平間写真館TOKYO〉という場所です。祖父の代から塩竈で写真館をやってきたというベースがあり、そこに自分が学んできたことを融合させるような、原点であり最大の挑戦でした。
震災を経て改めて、写真と命は密接なもの、写真を撮ることは命と向き合うことだと感じています。写真館の撮影では、僕と被写体は一対一の関係。撮影して終わりなのではなく、良く撮れたら目の前で喜んでもらえるというダイレクトな反応にやりがいを感じます。写真館での日々を通して、写真を撮ることで生まれるコミュニケーションを求めていたのだと思っています。
平間 至
1963年、宮城県塩竈市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。2008年より「塩竈フォトフェスティバル」を企画・プロデュース。2012年に塩竈にて「GAMA ROCK FES」を立ち上げる。2015年に東京・三宿に平間写真館TOKYOをオープン。
※東北大学病院広報誌「hesso」36号(2022年11月30日発行)より転載