公的サイトまずは活用
お子さんが突然高い熱を出し、慌てるー。小さなお子さんをお持ちのご家庭では、珍しくない場面かと思います。生後6カ月から3歳くらいの子どもは、よく発熱します。赤ちゃんは、ウイルスなどの病原体に対する抗体をお母さんから受け継いで生まれてきますが、生後6カ月ごろにこの母親由来の抗体がなくなってしまうためです。
免疫獲得の時期
生後6カ月から3歳にかけては、多くの病原体に一つ一つ感染し、抗体などの免疫を獲得していく時期に当たりますので、大人に比べ熱を出しやすいのは仕方のないことです。熱自体はあまり問題がなく、熱が出たからといってそれだけで頭がおかしくなることはありませんので、大慌てで夜間救急に行く必要はありません。
熱以外の症状がない場合、発熱後数時間の時点では病気の診断も難しいことが多いです。例えば、インフルエンザの場合、発熱後12時間で感染の検査が陽性になります。混み合った救急外来で待っている間に他の病気をもらう可能性もあります。深夜などに急な発熱があった場合、急患センターに行った方がよいのか、それとも、朝まで自宅で待っていて大丈夫なのか、迷う場面も多いかと思います。
「こどもの救急」というウェブサイトをご存じでしょうか?このサイトは、子どもが医療機関を受診した方がよいかどうか、親御さんが判断される際に参考にしていただくために、日本小児学会が作成したものです。インターネットの検索サイトで「こどもの救急」と入れるとこのサイトがヒットします。
使い方は簡単で、主な症状を選択するとその他の症状や状態を示した項目が出てきますので、当てはまるものを選択して「結果を見る」をクリックするだけです。アドバイスとして、「救急車で病院へ行く」「自家用車・タクシーで病院へ行く」「おうちで様子をみましょう」などが表示されます。発熱だけでなく、せきや吐き気など、多くの症状に対してもアドバイスを受けられます。
電話での相談も
さらに相談したいことがある場合には、「小児救急電話相談#8000」をご利用ください。小児医療に豊富な経験を持つ看護師さんが、電話相談に乗ってくれます。短縮ダイヤル#8000で全国どこからでも通じます。相談実施時間は自治体により異なりますが、宮城県の場合は毎日午後7時から翌朝8時までです。この実施時間も「こどもの救急」のサイトで確認することができます。
核家族化が進んだ現代では、ご両親が育児に関するアドバイスを受けることが困難になっているため、このような公的サイトを参考にして、急患センターを上手に利用していただければと思います。
河北新報掲載:2017年8月18日