• ホーム
  • 第10回 定年までに身につけたい眠りの極意〜睡眠の専門家と考える、いま、準備すべきこと〜

第10回 定年までに身につけたい眠りの極意〜睡眠の専門家と考える、いま、準備すべきこと〜

2017.03.17

【開催概要】

■日 時:2017年3月12日(日) 11:00〜12:30

■場 所:IDC大塚家具 仙台ショールーム 8階特設会場(仙台市青葉区花京院1-2-15 ソララプラザ)

■参加者:定年退職後の生活を楽しみたい50代・60代の方

■参加費:無料

■講 師:尾崎 章子(東北大学大学院医学系研究科 老年・在宅看護学分野  教授)

■主 催:東北大学病院/東北大学大学院医学系研究科・医学部

■協 力:IDC大塚家具 仙台ショールーム

 

【イベントレポート】

3月12日(日)、IDC大塚家具 仙台ショールームにて、からだの教室 第10回を開催しました。

第11回からだの教室会場

春眠暁を覚えず・・・と言われるように、暖かくなって目覚めが悪くなったり、新生活で早起きをしなければならなくなったり、春は何かと眠りに悩みを抱える方が多いのではないでしょうか。今回のテーマは「睡眠」。睡眠の専門家、東北大学大学院医学系研究科 在宅・看護学分野の尾﨑章子教授を講師に、大きく生活リズムが変わる定年退職世代の皆さんと一緒に快適な眠りについて考えました。


  • 会場の様子

  • 講師の尾﨑章子教授

まずは、尾﨑教授から定年退職をきっかけに不眠に悩むようになったAさんの事例が紹介されました。8時間の睡眠をとらなければと思っていても、早朝にどうしても目が覚めてしまうAさん。夜間の睡眠を補うための昼寝、睡眠薬を減らすための寝酒、日中の運動など、さまざまな解決法を試みます。参加者と一緒にAさんの対策が正しいのか間違っているのかを検証しながら、正しい知識を学んでいきました。

不眠症とは、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒などの症状があり、それによって日中の眠気や体調不良など、社会生活に支障があること、またそれらが週3回、3カ月以上続く状態のことを指します。「不眠症は客観的指標がないことが特徴です。高血圧や糖尿病のように数値で示されるものではなく、自分自身が悩んでいるかどうかが重要なポイントになります」と尾﨑教授。不眠に悩む人の考えや行動に、十分な睡眠をとれないと健康に悪影響があるという頑な信念をもっている、また、日中の生活上の支障は夜間の不眠によるものだと考えている、などという特徴があることが挙げられるそう。「自分では眠れていないと思っても、検査をすれば自分が思う以上に睡眠がとれているケースも多く見られます。正しい知識を持つことで、多くの場合、だんだんと良くなっていきます」。

また、新生活の始まりによる生活リズムの変化や、対人関係のストレスなどは不眠の引き金であって、原因ではないと尾﨑教授。「不眠の原因となる考え方や行動を見直すことで慢性的な不眠を防ぐことができます。特に不眠は学習されるものであることを知ってください」と話します。例えば、床に就くと、ついその日のつらかったこと、翌日の不安なことを考えてしまいがちです。そうすると、寝床が「眠る場所」ではなく「考える場所」と学習されてしまい、ますます覚醒してしまう場所になってしまうそう。不眠につながる「癖」を治すため、眠くない時は寝床に入らない、横になりたければ別の場所を使う、といった具体的な方法を学びました。さらに、入眠に効果のあるリラックス体操、呼吸法を実践しました。タオルや枕を使った、寝床でできる体操です。またマインドフルネスという手法で用いる自分自身のマイナスな感情に対応する「葉っぱのエクササイズ」も体験しました。


  • マインドフルネス「葉っぱのエクササイズ」を体験

  • タオルを使った筋弛緩法

「睡眠は個人差、年齢差がありますし、良い時も、悪い時もあります。定年退職によって一時的に悩みを抱えたとしても、自分は不眠症だと考え込まず、正しい工夫をしながら自分にあったリズムを見つけてください」と締めくくりました。

3月18日は世界睡眠デー、快適な眠りについて考える日です。この機会に正しい睡眠についての知識で眠りと健康な生活について、ぜひ見直してみてください。

尾﨑教授が策定に関わった「厚生労働省による健康づくりのための睡眠指針2014」はこちらからご覧いただけます。