NSTの歩み 20周年記念誌
21/80

札幌保健医療大学 保健医療学部栄養学科教授17岡本 智子東北大学病院NST創設20周年、心よりお祝い申し上げます。創設当時、“栄養をみます”とNSTメンバーの顔写真入りのポスターを院内に貼りだし、「主体性のある栄養管理を目指し病院全体がNSTになる」ということをスローガンに掲げ、活動を始めました。当初は依頼があれば飛んで行く、コンサルテーション型の活動でした。一見受け身のようでしたが、依頼してくる病棟での困りごと、栄養に興味のある病棟スタッフの存在がリアルにわかりました。そこからNSTは、患者さんをみることとは別に、栄養に興味のある病棟スタッフに手挙げを求め、「どれどれ、あなたの病棟の問題は何?」と話を聞くための病棟ラウンドを始めたのです。結果、病棟の栄養の問題は2つと同じものはありませんでした。“なんとか自分たちで解決したい”という思いを汲みとり、職員が自ら動けるように栄養をみる環境の整備と栄養の情報を提供し続けるといった、NST自体の運営にも力を入れるようになりました。まずは “話を聞く”。この関わり方がNSTメンバーの主体性につながっていきました。聞いてもらえる、自分たちで考え、気づき、自分たちで解決できることが、主体的に動けるエネルギーになっていったのだと考えます。あるとき院内で“栄養まつり”を開催していたときでした。集まるスタッフの様子を見た患者さんが「いろんな病院に入院したけれど、こんなにスタッフが元気な病院は見たことがない。元気がもらえるよ。」と話されていました。まさに患者さんを元気にするためには、医療スタッフが元気でなくてはいけないと改めて思った瞬間でした。栄養をみることが当たり前になった昨今、今後も東北大NSTは時代を感じながら周りのニーズを探りつつ、それに応える形で皆が主体的に変化し続けることでしょう。それを楽しみに遠くから見守っていきたいと思っています。今後の益々のご発展をお祈り申し上げます。東北大学病院20年の記念誌発刊によせて主体的だからこそ元気!

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る