NSTの歩み 20周年記念誌
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東北大学病院 消化器内科角田 洋一東北大学病院 総合外科(小児外科)東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座小児外科学分野・教授09和田  基東北大学病院NST発足20周年おめでとうございます。患者さんの健康を維持し、回復させるためには、適切な栄養摂取が不可欠です。栄養サポートチームの存在は、その目標を達成するために欠かせないものです。特に、我々消化器内科は、栄養の基本となる「消化吸収にかかわる臓器」の疾患を扱うため、様々な場面で「栄養」は重要です。クローン病の「栄養療法」のように、栄養管理自体が疾患の治療に直結する場合もあります。また一方で、消化器疾患はその治療のために「絶食」を要する場合が多く、治療がむしろ一時的に栄養状態を悪化させてしまうことがあるため、治療をサポートする形での栄養管理もまた必要です。栄養サポートチームには、食事や静脈栄養などに関するアセスメントを通じて、患者さんの個別のニーズに応え、さらに栄養療法の効果を評価し、必要な調整を行っていただいています。その過程で各種の医療スタッフとの連携があり、最善の栄養ケアを提案、患者さんに提供できています。患者さんの健康をサポートしていただき、心から感謝しています。今後も、患者さんの栄養状態を最適化し、治療効果を最大化するために、引き続き協力していただけることを期待しています。東北大学病院NST20周年記念誌の発刊、心からお祝い申し上げます。私たちは、NSTの一員として、腸管不全治療を担当し、腸管不全リハビリテーション栄養サポートチームの活動に携わっております。多職種連携のもと、在宅静脈栄養を必要とする数十例の診療を担当し、国内で最も先進的な腸管リハビリテーション施設であると自負しております。先日、Chicagoで開催された国際腸管リハビリテーション小腸移植学会に参加した際、学会理事長のGG氏より日本の腸管リハビリテーション、小腸移植の歴史について問われました。調べてみると米国のS. J. Dudrickが1968年に静脈栄養を開発した直後より、東北大学では葛西森夫先生を中心に静脈栄養を用いた治療が始まり、1970年には論文を発表していることを亀井教授に教わり、深い感銘を受けました。葛西先生は同年、完全静脈栄養研究会を発足させ、現在の日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)の源流を作り上げました。東北大学病院のNSTは、その歴史と伝統を元に、今後も更なる発展を遂げていくことでしょう。その活動を誇りに思い、一層の飛躍を期待しております。東北大学病院NST20周年記念誌の発刊に寄せて東北大学病院NST20周年によせて

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