NSTの歩み 20周年記念誌
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東北大学病院 総合外科 移植肝臓班藤尾  淳07東北大学病院NST発足20周年おめでとうございます。我々消化器外科医にとって、食べることは患者さんの手術後のゴールの一つであります。しかしながら患者さんが高齢の場合、または手術侵襲が大きいなどといった場合は、思ったように食事摂取は進まず退院が延期することが散見されます。私は研修医時代にまさにそのようなことを悩んでいるときにNSTに出会いました。NSTは多職種が連携して栄養状態を評価し、必要に応じて栄養プランを調整していくという、まさに「チーム医療」の代表であり、その効果は外科医のみでは得られないものだと実感しました。大学の診療に従事してからは宮田剛先生の勧めもあり、NSTカンファレンスに参加させていただきましたが、東北大学病院のNSTカンファレンスは、複雑な既往や、大きな侵襲のある術後患者さんが多い中で、多職種が忌憚のない意見を言いあうプロフェッショナルな集団であると、毎回実感しております。栄養学は医学教育においては遅れている分野でしたが、NST活動を通じてサルコペニア、フレイルという概念がでたように、教育にも寄与していると思われます。今後も患者さんの栄養状態の改善のみならず、医療者への栄養分野に対してもご指導いただければと思います。末筆になりましたが、東北大学病院NSTの益々の発展を祈念しております。東北大学病院NST20周年に寄せて

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