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第8回 部活で役立つトレーニング術 ~身体(からだ)を知って強くなる!~

2016.08.12

【開催概要】

■日時:2016年7月30日(土) 10:00〜11:30 (開場9:30)

■場所:東北大学病院 東病棟17F リハビリテーション室(仙台市青葉区星陵町1−1)

■参加者:中学生・高校生

■参加費:無料

■出演:東北大学病院 リハビリテーション部 理学療法士 佐藤房郎 技師長/馬場健太郎/石川博明/新國悦弘/高橋晋平

■主催:東北大学病院

■後援:宮城県、仙台市、宮城県医師会、仙台市医師会

 

 

【イベントレポート】

2016年7月30日(土)、第8回からだの教室を開催しました。今回のテーマは「部活で役立つトレーニング術」。日々、スポーツに打ち込む中高生のみなさんが、「スポーツ障害」で体を壊すことなく、高い成績を出せるようトレーニングするためにはどうすればよいか、当院リハビリテーション部の理学療法士が実践を交えながら、伝授しました。開催場所は仙台市を一望できる東北大学病院のリハビリテーション室(東病棟17階)です。

 

○知ろう!スポーツ障害

「スポーツ障害」とは、スポーツや運動によって生じる障害・外傷のことです。長期間にわたって同じ動きをすることにより、体の一定の部位に負担がかかることによって起こります。特に、成長の途中段階である中高生は、部活動などで熱心に練習を繰り返すことによりスポーツ障害になる可能性が十分に考えられます。思春期の体にはどのような変化が生じているのか、スポーツ障害はどうしておきるのか、効果的なトレーニングをするために気をつけるべきことは何か、馬場健太郎が解説しました。


  • スポーツ障害を解説する馬場健太郎

  • 解説を聞く参加者

 

○やってみよう!ストレッチ

続いて、スポーツ障害になりにくい体を作るために、効果的なストレッチ方法をみんなで学びました。お話は「ストレッチマン しんぺー」こと高橋晋平。体の動きがわかりやすいよう「全身タイツ」姿での登場です。ストレッチは「反動をつけず、筋肉の痛みがない範囲でゆっくり伸ばすこと」、「呼吸を止めず、20〜30秒程度行うこと」がポイント。また、オーバーストレッチに気をつけることも重要です。


  • ストレッチ方法を説明する高橋晋平

  • 全員でストレッチを体験

 

○知ろう!自分の身体

ストレッチが終了した後は、実践体験です。参加者は3つチームに分かれ、3種類のプログラム(筋力測定・持久力測定・体幹トレーニング)を交代で体験しました。

 

◇筋力測定

腰や骨盤の骨から太ももの骨の内側についている「腸腰筋(ちょうようきん)」は股関節の付け根の筋肉です。膝を手前にあげたり、腰や骨盤を前に傾けたり、体幹を安定させる役目をします。腸腰筋が衰えたお年寄りは足があがりにくくなり、転倒の危険性も増えます。ここでは、馬場健太郎が筋力測定について解説したのち、参加者の左右の腸腰筋の強さを測り、バランスが取れているかを確認しました。

続いて「中殿筋(ちゅうでんきん)」の測定を行いました。骨盤の骨から太ももの骨の外側に付いている、お尻の横の筋肉です。足を真横に開く、横方向へのふらつきを抑える、片足立ちで反対側の骨盤をしっかり持ち上げる、といった役割を果たします。片足立ちで重心を安定させるために必要な筋肉です。これも左右の測定を行い、バランスが取れているかを確認しました。


  • 中殿筋の測定

  • 腸腰筋の測定

◇持久力測定

持久力測定では、自転車のペダル踏み運動器(自転車エルゴメーター)を用いて、運動負荷試験を体験しました。解説は新國悦弘です。徐々にペダルの負荷を大きくしてゆき、その時の脈拍数を計測します。これにより、持久力をつけるためにはどの脈拍程度の運動をする必要があるか、おおよその値を計測しました。また、自分の脈拍数の取り方を学びました。


  • 持久力測定の説明を聞く参加者

  • 自転車エルゴメーターを漕いで持久力測定

◇体幹トレーニング

ここでは、より高いパフォーマンスを出すために、姿勢の重要性について考えるとともに、体幹トレーニングについて学びました。姿勢が悪いと、どうしても肩があがらず腕の動きに影響します。すると、テニスのサーブをうまく打てない、野球のボールを力強く投げられない、といったパフォーマンスにも関わってきます。トレーニングは、漫然とではなく姿勢に気をつけて行うと、より効果的ですし、パフォーマンスも向上します。また、姿勢は怪我のしやすさにも影響します。例えば、ひざが前に出ているような悪い姿勢でランニングをしていると、太ももの前側の肉離れを起こしやくなります。では、どうやって良い姿勢を得るのか、必要なのが体幹トレーニングで、ここではその方法について、石川博明が解説しました。


  • 体幹トレーニングを体験

  • バランスボールも使用しました

 

○のぞこう!リハビリテーション部

最後に、技師長の佐藤房郎より、今回のまとめのお話とともに、リハビリテーション部についての紹介を行いました。

 

佐藤房郎技師長からのメッセージ

私たち理学療法士は、国家資格に合格して資格を得たうえで、お医者さんの指示のもとに、運動を通して患者さんの体を治していく職業です。今日のテーマである「スポーツ障害」は、理学療法士が関わる領域のなかでは、ほんの小さな部分にすぎません。どこの施設でも対応できるわけではありませんですが、東北大学病院には幸いいろいろなお手伝いができるスペシャリストがいる数少ない施設ですので、実施することができました。

みなさんは自分の筋力を測ってみて、「自分の体って、こんなにアンバランスなんだ!」と思ったかもしれません。しかし、そのデータがどういう意味を持つかは、生活習慣なども含めてもっと細かく見ないとコメントすることはできません。数値だけで、あれこれ判断しないようにだけは注意してください。

今日の90分間のプログラムはあくまでも「導入」に過ぎず、みなさんには一般論しかお伝えしていません。でも自分自身の体を知って、「なんで自分の体は対称的ではないのか?」ということを、少しでも考えてくれる機会になれば、障害予防につながると思います。

 


  • 運動解析室を見学する参加者

  • 理学療法士について説明する佐藤房郎技師長

 

【参考資料】

当日配布資料

 

【出演】

東北大学病院 リハビリテーション部 理学療法士

佐藤 房郎(テニス経験者)

技師長 佐藤 房郎
(テニス経験者)

馬場 健太郎(ラグビー経験者)

馬場 健太郎
(ラグビー経験者)

石川 博明(野球経験者)

石川 博明
(野球経験者)

新國 悦弘(陸上経験者)

新國 悦弘
(陸上経験者)

高橋 晋平(野球経験者)

高橋 晋平
(野球経験者)