東北大学病院 造血幹細胞移植推進拠点病院

平成29年度第2回造血幹細胞移植拠点病院セミナー報告(2017/10/28開催)

2017年10月28日、青森県観光物産館アスパムにて、今年度第2回造血幹細胞移植推進拠点セミナーを開催しました。

「移植のための多職種連携の現状と今後のあり方」をテーマとし、84名の方々にご参加いただきました。右図のように、看護師、医師、コーディネーター他、理学療法士、薬剤師等、ご参加は多職種にわたり、充実したセミナーとなりました。

最初に東北大学 血液・免疫病学分野の張替秀郎教授より開会の挨拶の後、12の職種の方々よりご講演いただきました。

 

青森県立中央病院における多職種連携の実情紹介

前半は、青森県立中央病院血液内科の久保恒明先生による司会の下、多職種連携の実情を、12職種それぞれの立場から具体的に紹介されました。HCTC、看護師(外来・病棟)、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士、理学療法士、臨床心理士、臨床検査技師、臨床工学士、医療連携部看護師、ドクタークラーク。
それぞれの仕事内容が丁寧に説明され、毎週月曜日のカンファレンスによる情報提供をもとに多職種連携がどのように行われているかをお話しいただきました。

 

事後のアンケートには、「普段なかなか知ることができない他の職種の業務内容について知ることができてよかった。」という意見が多く見られました。それぞれがどのような仕事を行っているかを知ることで、何をお願いし、逆に自分がどのように関わっていけばよいのかが見えてくるものです。
また、自ら極力足を運んで、“顔の見える連携”を行うことが、多職種間における信頼関係の確立につながる、というお話も大いに共感できました。
一方で、施設によっては、マンパワーが不足し、各職種とのカンファレンスも難しいという実態もあるようです。青森県中央病院の多職種連携への取り組みは、これらの現状を改善していくための大きな励みとなったのではないでしょうか。

 

一般演題発表及びWEB配信と質疑応答

後半は、東北大学病院血液・免疫科の大西康先生による司会の下、一般演題発表が行われました。こちらは、同時にWEB配信も行いました。

  1. 「造血幹細胞移植患者に対する経口摂取継続への取り組みと多職種連携の現状」
          秋田大学医学部附属病院 栄養管理部 管理栄養士 柳田 仁子
  2. 秋田大学医学部附属病院では、毎週1回、病棟カンファレンスを実施。医師、看護師、薬剤師、緩和ケアチーム、管理栄養士が参加し、情報提供を行っています。管理栄養士は、他職種との連携の下、造血幹細胞移植患者に「食事聴き取り」を行っています。それを様々に工夫して食事内容に反映させたことで、経口摂取継続が可能となった、という実例をお話しいただきました。

  3. 「移植チームカンファレンスにおける看護師の役割及び一週間の流れ」
          東北大学病院看護師 髙橋 菜緒
  4. 東北大学病院血液内科病棟では、医師、看護師、薬剤師、心理士、栄養士、PT、OT、ST、ソーシャルワーカー、予防歯科、歯科衛生士とのチーム医療で、総合的に支援する体制をとっています。それらの職種との目的に応じた6種の多職種カンファレンス(緩和カンファレンス、後方支援カンファレンス等)を定期的に行い、情報共有に力を入れ、日々ケアに努めていることを、事例も交えてお話いただきました。

  5. 「造血細胞移植手帳運用開始のご案内」
          東北大学病院血液・免疫科 大西 康
  6. 一般演題の最後は、「患者手帳」の作成の経緯、役割、配布スケジュール(11月末までに移植施設に配布、12月1日より移植後患者への配布開始)、かかりつけ医等への周知について説明されました。
    今後、手帳が実際に使用されることで見えてくる課題等は、引き続きこのようなセミナーで情報共有をし、効果的な活用と普及に努めたいものです。

     

    最後に、久保恒明先生より、次回の青森県開催時には、多職種連携のネットワークがより広がり、活発な議論の輪が繰り広げられることへの願いを込めたご挨拶で、閉幕しました。

    公開日:2017年11月9日

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