東北大学病院 造血幹細胞移植推進拠点病院

当院の診療

当院における同種造血幹細胞移植の特徴と実績

東北大学病院血液免疫科では平成元年に同種造血幹細胞移植をスタートさせ、2014年末までに347件の同種移植を施行しました(図1)。なかでも、平成12年に開始した(非血縁者間)臍帯血移植は2014年末までで136件となり、近年では同種移植の約半数を占めています。臍帯血移植はHLA一致の臍帯血を見つけることが困難なため、通常はHLAが2座不一致のものを使用します。なるべく細胞数が多いものを選択しますが、生着率が骨髄や末梢血幹細胞と比較して低いことが問題となります。一方で、無事に生着した後はGVHDが重症化する頻度が低く、重症型の慢性GVHDが少ないという利点があります。後ろ向きの検討であるため多くのバイアスが影響している可能性がありますが、当科における急性白血病を対象とした骨髄バンクからの移植と臍帯血移植の比較では、ほぼ同等の長期成績が得られています。

当院では血縁者にHLA一致ドナーがいれば末梢血幹細胞移植もしくは骨髄移植を、いない場合には骨髄バンク、臍帯血バンク、HLA不一致血縁ドナーの中から、選択可能で疾患の状態からより望ましいと判断されるものを採用しています。移植方法は年々進歩を続けていますので、移植に関連する臨床試験への参加を含めて多くの治療選択肢から検討しています。

 

小児造血幹細胞移植について

小児領域では、小児科·小児腫瘍科が造血幹細胞移植を担当しています。当院は2013年2月に東北ブロックで唯一の小児がん拠点病院に指定され、院内に小児腫瘍センターを開設しました。小児科血液専門医、看護師、臨床心理士、薬剤師、栄養士が小児骨髄移植チームを作り、難治性の血液疾患と小児がん症例に対して造血幹細胞移植を施行しています。

これまで同種骨髄移植180例、同種末梢血幹細胞移植30例、同種臍帯血移植35例を実施し、近年の年間移植数は平均6-10例前後となっています。対象疾患としては良性および悪性の血液疾患、先天性造血不全症、原発性免疫不全症、慢性活動性EBウイルス感染症、進行期の小児固形腫瘍があります。最近では、骨髄非破壊的前処置による移植(reduced-intensity stem cell transplantation;RIST)に力を入れており、良性疾患で良好な成績が得られるようになっていることから、小児の長期的なQOLという観点からもRIST症例を増やしていきたいと考えています。

退院後は、医師、看護師、臨床心理士が移植後早期フォローアップ外来を月1回、また長期フォローアップ外来を週2回行い、移植後のケアにも配慮しています。

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