教 授 中澤 徹

教 授 中澤 徹
早期緑内障診断
近年大規模な緑内障疫学調査から40才以上の約5%に緑内障があることがわかりました。緑内障による視野障害は、神経節細胞が20-40%障害されて初めて現れます。視野障害が非常にゆっくり進行することが多いため自覚症状がでにくく、実際に診断と治療を受けている人はその内の緑内障人口の10%にすぎません。神経線維層解析装置(Spectral domain-OCT)を用いて、視野検査で異常が出現する以前の極早期の緑内障を捉える方法を研究しています。
テキスト(GDxVCCにおけるNFI値と緑内障眼における視野障害の関係、2011年第115回日本眼科学会総会など)
多様な緑内障の病態
緑内障は眼圧と呼ばれる眼球の内圧に依存して進行するといわれています。しかし、緑内障には十分な眼圧下降にも関わらず進行する例がみられます。眼圧以外にも重要な緑内障の原因が指摘されており、その病態を明らかにするために私たちは様々な研究を行っております。
・眼血流の評価
東北大学には、日本ではまだ数少ない眼血流解析装置(レーザースペックルフローグラフィー)を外来に設置しています。緑内障の進行に伴い眼球血流の低下することが言われており、緑内障の病態に関与している可能性が示唆されています。この血流解析装置を用いることで、眼圧下降だけではなく、眼血流改善といった観点からも緑内障にアプローチができるようになりました。
私たちは原因で緑内障を細分化して一人ひとり患者様に応じた治療を心がけるようにしております。
テキスト(レーザースペックルフローグラフィーを用いた体位変換時の視神経乳頭血流評価; ARVO,2011発表など)
・緑内障研究テーマ緑内障原因遺伝子・感受性遺伝子の解析
緑内障は以前から家族性で発症するものがあることが知られており、遺伝的因子と環境的因子の両方が関係している多因子性・多遺伝子性疾患と考えられています。まだ数%しかその原因は解明されていませんが、将来のオーダーメード医療を目指しており、患者様から同意を得て血液を頂き緑内障の遺伝子研究を行っています。
テキスト(開放隅角緑内障原因遺伝子Optineurin遺伝子の解析;J Glaucoma.2004、WDR36遺伝子の解析;ARVO.2006など)
緑内障点眼薬
最近は多種の点眼薬が上市されており、第一選択薬、第二選択薬の点眼を選ぶことが難しくなってきています。我々は様々な種類の緑内障点眼薬について、併用効果、神経保護効果、血流改善効果などの解析を行っています。
テキスト(ラタノプロスト使用例に対するチモロールまたはドルゾラミド追加投与による眼圧下降効果の検討、2004年第15回緑内障学会など)
![]() 図1 視神経線維の欠損 |
![]() 図2 OCTを用いた網膜神経線維層の厚みの測定 |
![]() 図3 菲薄化した網膜神経線維に対応した視野障害 |
![]() 図4 レーザースペックルフローグラフィーを用いた眼血流評価 |
神経組織である網膜の病気は他疾患に比較して難治例が多く、通常の内科的治療や手術だけでは十分に治療できない症例がたくさんあります。我々は遺伝子解析など原因解明を行うだけでなく、臨床的な検討から得られた知見も十分に参考にして病態に応じた新しい治療法の開発を目指してきました。
網膜保護に関する研究
生物学的製剤など各種薬剤の眼内投与、新しい手術手技、各種レーザー治療など眼疾患に対する治療の選択肢が増えていますが、まだまだ難治性の疾患はたくさん存在します。❶我々は治療法のない難治性網膜疾患の進行をできるだけ遅らせる治療法の開発を進めています。過去に報告してきた自己細胞移植や神経保護因子を利用する方法を新しく発展させています。神経保護因子を使用する場合はその投与方法を工夫し、発現なども十分にコントロールできるようにすることを目指しています。❷新しい治療薬の開発をめざしています。最近はphotodynamic therapy(PDT)や新しい生物学的製剤の硝子体内投与が行われ、網膜に新生血管が出現する疾患に対し治療の選択枝が増えてきましたが、新生血管は網膜にはまだまだ強敵です。我々は神経保護作用を有し、さらに抗血管新生因子を同時に併せ持つ新しい因子の検討を行っています。❸また、遺伝子や細胞を利用した再生医療が発達してきていますが、我々も網膜疾患に応用できないか積極的に検討してきています。
テキスト(2007年度日本眼科学会総会シンポジウム、2006年度ARVOなど、 雑誌への投稿)
最新治療法の導入と病態解析
各種生物学的製剤の眼内投与や徐放薬の眼内インプラントなど新しい治療薬が網膜ぶどう膜疾患に応用されてきています。我々もこれらの新しい治療法を積極的に適応していますが、作用機序や眼内での動態についてまだまだ不明な点がたくさん存在します。我々は倫理委員会を通して眼内液の検討を行い、さらにin vitroでその作用機序、副作用、ならびに改善点を確認しようとしています。
テキスト(2007年度日本眼科学会総会、2006年度ARVO、PDT研究会など)
滲出型加齢黄斑変性に対する治療法の臨床効果に関する研究
滲出型加齢黄斑変性は、脈絡膜新生血管により網膜剥離・網膜下出血・網膜浮腫などの滲出性変化が発生します。わが国での滲出型加齢黄斑変性の有病率は50歳以上人口の0.87%、全国で40万人以上の患者がいると推測され、厚労省の特定疾患にも指定されています。光線力学療法、ステロイド、抗血管新生抑制剤など現在可能な治療法を単独および併用して行い、患者にとってベストな治療法を検討しています。
テキスト (光線力学療法(PDT)施行後1年での視力悪化例の検討、涌澤ほか 2006年 第45回日本網膜硝子体学会総会)
血管新生因子と網膜疾患に関する研究
滲出型加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症では、新生血管により眼内出血や増殖膜形成が生じると視機能障害がおこり、視力予後は不良です。血管新生に関与する因子は、促進に作用するものや抑制に作用するものなど多種に及びます。我々は、血管新生網膜疾患において、その病期・病勢を反映するような生体内の指標を明らかにしたいと考えています。それらの指標を用いることで、患者が病状をより理解できるだけでなく、適切な時期に適切な治療が可能になると考えています。
視神経炎の治療・予後判定のためのOCTの導入
視神経炎の予後は症例により様々であるが、近年抗アクアポリン4抗体陽性の視神経炎は予後不良で知られるようになった。当科では視力・視野以外にOCTによる網膜神経線維層厚を測定し、その数値を用いて治療・予後の判定を行っている。今後はOCT以外にも視神経炎の予後を予測するために有用な方法を考案したいと考えている。
緑内障研究テーマ
【早期緑内障診断】【多様な緑内障の病態~眼血流の評価~】【緑内障点眼薬の併用効果】
中澤 徹
布施 昇男
渡邉 亮
横山 悠
緑内障研究テーマ
【多様な緑内障の病態~緑内障原因遺伝子・感受性遺伝子の解析~】
布施 昇男
石 棟
高野 良真
清水 愛
網膜、ぶどう膜研究テーマ
【網膜保護に関する研究】
阿部 俊明
網膜、ぶどう膜研究テーマ
【最新治療法の導入と病態解析】
網膜ぶどう膜外来スタッフ
メディカル網膜外来スタッフ
メディカル網膜研究テーマ
【滲出型加齢黄斑変性に対する治療法の臨床効果に関する研究】
メディカル網膜研究テーマ
【血管新生因子と網膜疾患に関する研究】
大浪 英之
先天網膜研究テーマ
【遺伝性網膜変性疾患の分子遺伝学的研究】【網膜色素変性の予後決定因子の追跡研究】
神経・斜視・腫瘍研究テーマ
【視神経炎寛解期の視機能評価の試み】
土井 洋
中村 政彦