東北大学病院

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診療受付:8:30-11:00 再診受付機 8:00-11:00

休診日:土・日・祝・年末年始12/29-1/3

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高齢者歯科治療部

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【病棟】東病棟10F 【外来】外来診療棟C 5F 【外来受付電話番号】022-717-8397

部長あいさつ

 日本は世界有数の長寿国ですが、残念なことに歯の寿命は寿命に遠く及びません。生涯、好きなものを食べ続けられるよう20本の歯を残そうという8020運動も、開始から20年以上を経ながら、未だに達成の見込みすら立たないありさまです。

 歯を失う主な原因は齲蝕(むし歯)と歯周病で、いずれも口腔細菌の感染症ですから、十分な歯みがきで口のなかをいつも清潔に保つことはとても大切です。しかし、それだけでお年寄りの歯や口の健康を保つことができるわけではありません。口のさまざまなはたらきを正常に維持することが大切なのです。

 ものを噛んで食べることには、古くなった粘膜を食べ物で拭い取るはたらきが含まれます。歯を失って繊維に富む硬い食べ物が食べられなくなれば、それだけで口のなかは清潔な状態を保ちにくくなり、さらに歯を失う危険が高まります。お年を召せば体に不調を来して多くの薬を飲む方も現れます。その影響で唾液の量が減れば、口のなかを清潔に保つことが難しくなり、粘膜は感染や炎症を起こしやすくなります。食べ物がいつまでもぱさつき、なかなか飲み込むことができなくなります。おいしく食べられる食品の種類が減って栄養に偏りや不足を生じたり、濃い味付けを好むようになって生活習慣病を悪化させたりと、さまざまな不都合も生じます。

 歯や口を健康な状態に維持することは、ものを噛むはたらき、唾液を出すはたらきなど、口のさまざまなはたらきを維持することですが、反対にこうしたはたらきを維持することが、歯や口の健康を維持することに繋がるのです。

 当診療科は、お年寄りの口のはたらきを維持、向上することで、歯や口の健康を起点として健康や生活の質を維持、向上させてゆけるよう、日々の外来診療や訪問診療、啓蒙などの保健活動に全力で取り組んでおります。

部長 服部 佳功

対象疾患と診療内容

1.高齢者の治療

 心臓病や高血圧などといった、全身的な管理を必要とする高齢な患者さんに対する治療の事を指します。治療の内容としては、虫歯や歯の根の治療、抜歯など、一般的な歯科治療の全てを含みます。
 高齢の方の特徴としては、全身疾患を複数有するために多様かつ複雑である、生活活動の制限によって状態が悪くなってから通院される、といった傾向があります。このため高齢者の歯科診療に際しては、口腔内や全身状態の詳細な把握と適切な処置が必須で、診療内容は様々な制約を受けることが多いのが事実で、そこの高齢者歯科医療の特殊性があります。

 当治療室では、高齢者の方々に緊張感を与えないように、ゆったりとした治療スペースを確保してあります。また、全身状態をモニターする機器や鎮静効果のある笑気ガスなどを取り揃え、看護師による面談・介補を充実させており、患者さんが安全で快適に治療が受けられる環境を整えております。

図:車イス対応歯科用診療イス(ウィズ)

車イスに乗ったままで治療台に連結されるため、車イスから診療イスまでの移動の危険が伴いません。
しかも、治療中も安全な診療姿勢が得ることが可能です。

2.義歯(総入れ歯や部分入れ歯)の治療

 近年、無歯顎者の数は年々減少しています。それでも、65歳以上の方の10人に3人は無歯顎の状況で、上顎のみ、もしくは下顎のみといった片顎の無歯顎者を考えると、ほぼ半分の人が総義歯を必要としていることになります。総入れ歯などの義歯が合わなくて困っている方には、よく噛める義歯を作ります。

 総義歯によって回復される口の機能は主に3つあります。①咀嚼②嚥下③発音があります。この中でも、一般的に義歯を作り直す患者さんの訴えで最も多いものは『噛めない』になります。非常にシンプルな言葉、『噛めない』ですが、その原因は幾通りもあります。まず、噛み合わせや義歯の適合などの問題点を抽出していき、その義歯を修理、もしくは新しく作り直し、噛める義歯にしていきます。
 また、一般的に余り知られていないこととして、入れ歯によるお顔の形の変化があります。義歯の装着は唇に膨らみを与えるので、その結果、口元の皺などを減り、見た目の若さを蘇らせます。下の図で示される患者さんの変化をみてもらえば、それが良く理解していただけると思います。

図:全ての歯が失われた人に(左図)に上のような総入れ歯を入れると(右図)、
食品をかみつぶす機能だけでなく口元の美しさも回復される。

3.在宅訪問の歯科診療

 在宅や施設において長期療養中の高齢者の方には、寝たきりなどのために通院が必要であっても不可能な方が増えてきています。そのような場合には、往診によって専門的な歯科治療を行います。訪問在宅歯科診療を受ける患者さんの場合、体調や介護状況によって治療計画が一般的な治療とは異なるケースが多々あります。こちら側がよく説明を行い、理解していただくことは当然ですが、患者さんや介護者の方からも問題点と希望する内容を説明していただく必要があります。そのようなプロセスを経て、信頼感の得られる治療が行われると考えています。

 訪問歯科診療の進め方としては、まず患者さんの介護者の方などから本治療室に電話等による依頼をいただき、都合のつく時間に伺って口腔内の状態や全身状態のチェックをいたします。その診査によって確認された、治療の必要箇所やその方法などについて説明を行います。それらに対する理解の得られた後、治療を進めていきます。

 また治療に加えて口の清掃も並行して行い、歯性病巣感染や誤嚥性肺炎の予防をします。治療後についても、必要な患者さんや希望される方々については定期的な口腔ケア訪問を行っております。近年、専門的な口腔ケアが寝たきりの方の誤嚥性肺炎に非常に有効であることが示されていますので、これらのケアは治療よりも重要な意味合いを持つと考えています。

診療の特色

特殊な医療機器

全身モニター:血圧、脈拍、心電図、動脈血酸素飽和度をモニターする機器をすべての診療イスに備えております。
車イス対応歯科用診療イス(ウィズ):車イスに乗ったままで治療台に連結され、安全な診療姿勢が得られます。
酸素・笑気ガス:酸素欠乏時の酸素供給、笑気による鎮静を行います。

年間症例数

(2006年度)

新患数 670名(約50名/月)
のべ訪問回数 10,102名
患者数 750~800名/月

訪問患者数(在宅訪問歯科診療) 

新患数 40名(約4名/月)
のべ訪問回数 450回
患者数 40名/月

診療科より皆さまへ

患者さんへ

 当治療室では現在28名の歯科医師、2名の看護師、そして1名の歯科衛生士のメンバーで外来治療を行っています。高齢者の患者さん方の緊張を出来るだけ取り除けるよう、一つの治療イスあたりのスペースも他科と比較して大きめに確保し、心臓などの循環器系の疾患を有する患者さんには全身状態をチェックしながら治療を行います。それらの情報は常に麻酔科等の専門医の監視下にあり、変化を見逃さないように心がけています。
 また、鎮静効果のある笑気ガスなどを取り揃え、看護師による面談・介補を充実させおり、患者さんにとって安全で快適な治療が行えるような環境を作り上げることをモットーとしております。

歯科医師や衛生士などの、地域歯科医療従事者の先生方へ

 ご存知の先生方も多いかと思いますが、高齢者歯科治療室では地域の先生方とのコミュニケーションを図る目的で、『高齢者歯科懇話会』という教室の報告会を毎年3月に開催しております。この会では当治療室からだけでなく、地域医療の最前線にいる開業医の先生方や歯科衛生士の方々からも発表・報告を行っていただき、高齢者歯科医療や在宅歯科医療によって得られた知見や疑問点などについて、内容の濃いディスカッションを行っております。このように、地域医療と大学病院の治療というものは通常は余り共有する時間を設けることが難しいですが、生涯教育を必要とする今日の医療従事者にとって、これらの機会は非常に有意義なものと考えられます。

 また、懇話会の内容は「高齢者歯科医療懇話会誌」という冊子にまとめて、毎年発刊しております。 この中には、本教室の研究内容なども含まれており、地域医療に貢献されている先生方への情報提供も兼ねております。

当科に興味を持たれる研修医や、大学院歯学研究科での履修を希望される方へ

 当治療室では、高齢者歯科学の臨床的・基礎的研究を通じて、将来の高齢者歯科医療を担う歯科医師の育成を行っています。歯を失うことによる種々の機能障害ならびに歯や口の健康と全身の健康との関係について研究し、臨床的には歯を失ったことによる機能障害を回復すること、および慢性疾患を抱える高齢者の歯や口の疾患を予防することを目的とした活動を行っています。現在大学院生は1?名ですが、安全で効率的なヘルスケアの供給、高度な知識と技法の習得を目指して日夜努力しております。出身大学も日本各地の大学から集まっており、非常によい雰囲気の中で臨床及び研究を進めています。ご意見、ご質問、ご要望がありましたらいつでもご連絡ください。

リンク

本治療室は下記の学会により研修機関として認定されています。