東北大学病院

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脳血管内治療科

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【病棟】西病棟 9F 【外来】外来診療棟A 3F 【外来受付電話番号】022-717-7752

科長あいさつ

 東北大学大学院医学系研究科神経病態制御学分野は、国立大学の最初の脳血管内治療を専門とする分野として1998年9月に開設されました。
 脳血管内治療の対象疾患としては、脳動脈瘤、頭頚部動脈狭窄・閉塞、急性期脳虚血、各種脳脊髄血管奇形などがありますが、最近の傾向としては、信頼性の高い protection device の出現に伴い stent 症例が急速に増加しております。また、脳梗塞急性期の血行再建術においては血管破砕術を経て、現在は血栓除去術の有用性が確立されるに至りました。
 研究面では、脳血管障害全般、特に脳虚血と脳動脈瘤の病態生理の解明、新しい治療デバイスの開発などを進めています。 脳動脈瘤の病態解明では三次元診断画像(三次元脳血管撮影およびMRA、CTA)などから実データを元にスーパーコンピューターによる血流動態の解析を行う手法を確立し、破裂脳動脈瘤の破裂部位の同定に有用なことを確かめました。 また、未破裂脳動脈瘤の破裂リスクの解析にもこの手法を役立てつつあります。 超急性期の脳虚血の再開通療法において、機械的塞栓破砕が有用なことを実験的に証明し、パルスレーザーを用いた微小カテーテルレーザージェット血栓破砕装置を開発しました。今後も先進的な橋渡し研究を積極的に推進します。

図:三次元診断画像

教授 冨永 悌二

 

対象疾患と診療内容

脳血管内治療とは?

 人体にX線をあててフィルムに撮影すると、骨だけが写しだされます。 これは皮膚や内臓がX線を通過させるのに骨はX線をさえぎる性質があるからです。 血管や血液もX線を通過させるので通常のX線撮影では写りませんが、血液の中にX線をさえぎる造影剤という薬をいれて撮影すると、血液が通っている部分はX線をさえぎられてしまうので血管の形が写し出されます。

 このようにして脳の血管の形を確認する検査を脳血管撮影と呼びます。 最近ではフィルムに撮らなくても、特殊な作像装置を経由することにより、リアルタイムに血管の形を映し出すことができます。
 この脳血管撮影の技術を治療に応用するのが脳血管内治療です。 X線で脳血管の形を確認しながら、やはりX線をさえぎる材質でできた直径1mmに満たない細い管(マイクロカテーテル)を頭の血管の中に誘導し、この管を介してさまざまな治療を行います。

脳動脈瘤の血管内治療

 クモ膜下出血は脳卒中の約10%を占め、その主原因疾患となるのが脳動脈瘤破裂です。 脳動脈瘤の発生頻度は成人人口の約 6%です。 クモ膜下出血を来たした場合は再出血防止のため治療を行います。 脳ドックなどでなんの症状もなく偶然見つかった場合も破裂予防のため治療を行います。
 標準的な治療は開頭手術によるクリッピングですが、全身合併症(心疾患、腎不全などの合併)、高齢、開頭手術困難部位などの要因がある場合は金属コイルによる塞栓術を行います。 この治療は局所麻酔でできますが、クモ膜下出血になったばかりの患者さんでは全身麻酔で行った方が安全です。


図:動脈瘤1

図:動脈瘤2

図:動脈瘤3

脳虚血急性期及び慢性期の治療

 脳梗塞は脳卒中の中で最も頻度が高く、脳卒中の7割近くを占めます。 脳梗塞とは脳へ行き着く血管が細くなったり塞がったりして脳への血液供給が足りなくなる状態です。 その原因は、高血圧、動脈硬化、不整脈などです。

 脳梗塞はこのような原因により麻痺やしびれなどの症状が出る場合をいいますが、血管が細くなっているのに症状はまだ現れていない、という段階で、細くなった血管を予防的にもとの太さにもどす、という治療があります。 頭蓋骨の中の比較的太い(3mm程度)血管が細くなっている場合はそこに風船を持って行って膨らませます。 また頭蓋内へ続く頸の血管が細くなっている場合は、厚くなっている血管の壁を脳外科的に取り去る手術を行うのが標準的ですが、全身的な問題がある場合にはステント治療を行うことがあります。


図:頸動脈ステント1

 ステントとは金属の網でできた円筒形のチューブで、血管の細いところを風船で拡げたあとにその場所に置くと、また細くなることを予防する支えとなります。 脳外科的な手術は全身麻酔が必要ですが、ステントは局所麻酔でもできます。


図:頸動脈ステント2

 ここまで述べたことは予防的な治療ですが、脳梗塞が顕在化して突然麻痺やしびれが出現した場合、それを回復させられる可能性は残念ながらあまり高くはありません。 このような場合はできるだけ早く(症状が出て6時間以内が目安)血管を塞いでいる血栓を溶かしたり狭くなっている血管を拡げたりすると、症状が回復する可能性があります。

脳及び脊髄動静脈奇形の治療

 脳及び脊髄動静脈奇形は神経系の代表的な血管奇形です。 この疾患の治療では病変を完全に消滅させることが重要で、その方法として顕微鏡下の開頭摘出術、又は定位的放射線療法があります。
 どちらの治療を行う場合でも、その治療の前に血管内治療を行って病変部に血管を固める物質を流しておくと、あとから続く治療をより安全に行うことができ、また完全に治る可能性も高くなります。 また、1割程度の症例では、脳血管治療単独で完治が得られることもあります。

脳及び脊髄硬膜動静脈シャントの治療

 硬膜動静脈シャントは脳及び脊髄を囲っている硬膜に動脈と静脈の異常連絡ができてしまう病気です。 眼が赤く腫れたり、耳鳴りがしたりするのがよくみられる症状ですが、場合によっては脳内出血を起こすこともあります。
 日本人に多くみられる海綿静脈洞部(眼球の後方にある静脈のプール)の硬膜動静脈シャントについては、血管内治療によって動脈の血液が入り込んでいる静脈のプールを金属コイルで充填してしまうことにより、効率に治癒がえられますし、症状も劇的に改善します。

その他

 血管内治療は低侵襲で効果の高い治療なので、上記の他にも様々な脳外科的疾患で、補助的治療として活用されています。

図:レーザー血栓破砕

診療の特色

主な医療機器、設備

 脳血管撮影装置、頸動脈超音波、CT、MRI、SPECT、PET、血管内超音波、血管内内視鏡 などを用いて治療に当たっています

年間症例数

(2016年)

入院患者数 約100名/年
手術件数 約40件/年

頸動脈ステント、脳動脈瘤塞栓術などを中心に治療しています。

診療科より皆さまへ

 脳血管内治療は新しい治療法で、治療水準を向上させるため学会による専門医制度がスタートしました。 脳血管内治療でのご相談がありましたら、指導医2名の在籍する当院へお問い合せください。

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