東北大学病院

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診療受付:8:30-11:00 再診受付機 8:00-11:00

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心臓血管外科

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【病棟】東病棟 9F 【外来】外来診療棟A 2F 【外来受付電話番号】022-717-7743

科長あいさつ

 心臓血管外科では胸部大動脈瘤の外科治療、冠動脈外科、弁膜症外科、先天性心疾患の外科治療、そして重症心不全に対する外科治療を含め、年間約230〜250例の心臓大血管手術を施行しています。標準化された手術術式はもちろんのこと、最先端の医療技術を組み入れた手術治療を行っています。最近、数を指標にした病院の実力という言葉が流布されていますが、私たちの診療科では表面的な数だけにこだわらずに、内容面で真に実力ある専門医チームの形成を目指しています。

 治療対象疾患の中でも、大動脈瘤手術が年間約90例と最も多く、全国的に見ても、症例数の多さと治療成績の面で際立っています。大動脈瘤は全身の広範囲に及ぶ場合が多く、手術では複数の重要臓器への影響が及ぶことから複雑な補助装置とモニター機器を要します。従って、経験豊かな心臓血管外科医と麻酔科医、そして熟練した臨床工学士によるチームワークがあって成り立つ手術治療です。基礎疾患をいくつか合併している場合には、必然的に臓器障害等の合併症のリスクが高くなる領域ですが、当科ではその対策に正面から取り組み、より安全な治療法の確立に日々努力しています。予定手術の遂行に加え、県外からもヘリコプター搬送で患者さんを受け入れ、緊急を要する大動脈疾患に対応しています。近年、飛躍的に発展を遂げているステントグラフトを用いた治療も、専門医による安定した治療法として確立しており、その数も経年的に増加しています。平成25年度から新規に東北大学病院で導入したハイブリッド手術室は3D-CT撮影も可能な高性能の血管撮影装置を組み込んだ新世代手術室です。この手術室を有効利用して東北地方の方々に先進的な治療を提供できるように努力していきたいと思っています。

 冠動脈疾患の領域では、心臓カテーテルによる治療法の進歩が目覚しく、社会的にも標準的治療としての認識が広まっていますが、カテーテル治療が困難な症例も多いのが現状で、冠動脈バイパス手術は重要な治療法となっています。中でも重症度や危険度の高い症例において、低侵襲治療としての心拍動下冠動脈バイパス手術は有用とされ、当科でも約7割の冠動脈疾患患者で実施されています。

 弁膜症の外科治療においては、人工弁の改良と弁形成術の進歩により、安定した治療成績が得られている分野です。当科ではさらに、自己弁温存大動脈基部再建術や自己肺動脈弁を用いた大動脈基部置換術(ロス手術)等の難易度の高い手術も実施しています。

 手術の低侵襲化にも積極的に取り組み、大動脈弁狭窄症に対する経力カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)、僧帽弁閉鎖不全症に対してのMICS-MVPなども行っています。

 先天性心疾患の外科治療は宮城こども病院との連携のもと、非チアノーゼ性心疾患を主な対象とした手術を行っています。また、当院NICUとの連携で超低体重未熟児における動脈管クリッピングも行っています。また、今後医療需要が増す成人先天性心疾患領域で、関連科と合同で専門外来を開設しチームとして取り組んでいます。

 重症心不全の外科治療として、心移植プログラムを立ち上げ、既に12例の成功を収めています。循環器内科、麻酔科、集中治療科をはじめ、院内の多くの診療科、検査科からの協力を得て成り立っている医療分野であり、東北大学病院の総合的実力を反映している分野とも言えます。心臓移植に辿りつくまでの待機期間における体外式人工心臓装着を多くの重症心不全患者に行ってきた実績があります。さらに、体内植込み型遠心ポンプ式、および、軸流式補助人工心臓植込み認定施設として、将来の心臓移植治療へのブリッジとして安定した臨床応用を展開していきます。

 以上のように、いくつかの治療の選択肢を備え、より安全で高度な先進的医療を提供できるよう体制を整えております。そして、患者さんが納得のいく治療法の選択ができるようお手伝いしたいと思っております。また、大学病院は次世代を担う医師の重要な教育機関でもありますので、そのような側面をご理解いただき、医療施行者と医療受給者の両方が和をなし、若き医師を育てるという姿勢に満ち溢れた環境を形成したいと考えております。

教授 齋木 佳克

対象疾患と診療内容

 東北大心臓血管外科では、新生児を含むすべての先天性心疾患、弁膜疾患、虚血性心疾患、大動脈瘤に代表される大動脈疾患、を対象として特に低体重児の関心術や大動脈弁温存手術、僧帽弁形成術、OPCABを中心とした冠動脈バイパス手術や胸腹部大動脈瘤手術時の背髄障予防等を積極的に推進し、更には重症心不全患者に対し最新の人工心臓補助装置の導入、心臓移植と高度先進医療を向けて質の高い医療を提供できるよう日々努力を続けています。

先天性心疾患

 ヒトの血液循環は出生を契機に大きく変わります。つまり、それまでの母体に依存していた胎児循環から自己の心臓がポンプとなる肺循環と体循環からなる大人の循環になるのです。その際、心臓に先天的な疾患のある場合はこの肺循環、体循環のどちらかあるいは両方に問題を起こして症状を呈してきます。心不全による多呼吸、哺乳力低下やチアノーゼ(低酸素)が主な症状ですが、ときに急性ショック状態で発症する場合もあります。特に新生児および乳児に重篤な症状を呈する患者さんでは、早期診断早期治療が救命のために必要になります。

虚血性心疾患

 心臓自身を養う動脈のことを冠動脈(かんどうみゃく)と言います。その太さが狭くなれば狭心症という病気が発症します。胸痛や胸部不快感、肩の痛み、みぞおちの痛みなどの症状が一時的に起こります。少し休めば治まることが多いのですが、この時点での受診が早期発見につながります。さらに最近急に症状を自覚するようになったとか、前より頻度が増えたとか、休んでいても収まりにくいなど、症状の進行が疑われたら、すぐに循環器の内科の先生を受診されることをお勧めします。冠動脈が完全に詰まってしまう急性心筋梗塞や詰まりかける不安定狭心症(これらをまとめて急性冠症候群といいます)では症状は治まらず、不整脈や心不全が併発してくることもあります。この様な場合にも、循環器内科グループと協働して、迅速に対応しています。

大動脈疾患

 造影剤を使用した断層撮影 (CT)検査が最も有用な診断法です。特に近年、CT装置の改良、進歩が目覚ましく、当院でも国内で最新機種のマルチスライスCTが導入されたことで、立体構築された鮮明な画像を即座に写し出すことができるようになり、外科治療方針決定のため威力を発揮しています。
 また、2013年4月からは新しくハイブリッド手術室が稼働しており、大動脈ステント治療など、低侵襲化にも積極的に取り組んでいます。

弁膜症

 進行した弁膜症では内科的に心不全をコントロールすることが難しく、外科治療が必要となります。最近では可能な限り自己弁を温存する弁形成術を施行する傾向が強くなっています。しかし、弁形成術が不可能な場合もあり、人工弁を用いた外科治療が必要となります。人工弁には機械弁、生体弁がありそれぞれに長所と短所があります。機械弁の最大の長所は耐久性に優れている点です。しかし、一生涯にわたる、抗凝固療法(ワーファリンの内服)を必要とします。定期的に血液検査を行い、ワーファリン量の調節が必要であることに加え、その効果を減弱させる納豆の摂取を控えてもらう必要があります。生体弁では心房細動や血栓症などを合併する場合を除き、術後3~6ヶ月以降はワーファリン内服による抗凝固療法を必要としないのが最大の長所です。しかし、耐久性の点で問題を残しており、10~15年で劣化を生じ、再弁置換が必要となる場合もあります。どのような手術方法を選択するかは、心臓カテーテル検査や心エコー検査等により弁の状態、心機能、また、年齢や全身状態を加味して決定しております。さらに近年では、大動脈弁狭窄症に対してカテーテルを用いた手術(TAVI)を行うことができるようになり、従来手術が困難であった高齢者にも適応が広がっております。

重症心不全・心臓移植

 心臓は血液を全身に送り出すポンプの働きをしています。この心臓のポンプ機能が低下すると、全身に充分な血液を送ることができなくなり、息切れ、疲れやすいなどの症状がでます。また血液の渋滞(うっ血)も生じ肺うっ血による呼吸困難や全身のむくみが生じます。この心臓のポンプの働きが低下した結果として起きる身体の状態を心不全と云います。様々な心臓病が心不全の原因となり、心臓病以外でも高血圧症など心不全の原因となることがあります。心臓の働きは急に低下することもありますが(急性心不全)、徐々に働きが低下すること(慢性心不全)もあり、治療に対する反応もそれぞれ異なります。
 心不全には先ず、薬による治療を行います。このため、殆どの心不全は内科の領域で治療します。しかし、薬剤による治療では改善しない重症の心不全に対しては内科と外科が協力して、機械による補助循環法を用いて治療にあたります。心筋梗塞や心臓の手術に続発する急性重症心不全の治療として、大動脈内バルーンポンプ法や遠心ポンプを用いたPCPS 法などの補助循環法が使用されます。これらの方法によって救命される症例も増えていますが、これらの補助循環法の補助能力や使用期間には限界があり、高度な心不全の患者さんを救命するためには心臓のポンプの働きを代行する人工心臓システムや、長期的には心臓移植が必要になります。

診療の特色

 当院ではこれまでに12例の心臓移植を実施しました。当施設は年間症例数として200~250例の心臓大血管手術を施行しており、症例の内訳は以下に示す表の通りです。約30%が小児例、70%が後天性心疾患や胸部動脈瘤疾患などの成人例です。最近、高齢者の弁膜疾患や大動脈疾患がやや増加傾向となっています。東北大学心臓血管外科における過去5年間(2008-2012年)の術式別入院死亡率(重症例、緊急例を含む粗死亡率)は、

 弁膜症手術 2.3%
 冠動脈バイパス手術 1.7%
 胸部大動脈手術 3.6%

 これらの成績は、疾患の重症度や緊急性によって大きく影響を受けますが、2010年の日本胸部外科学会の学術調査結果によれば、全国の後天性心疾患の弁膜症、虚血性心疾患、胸部大動脈瘤の平均死亡率は3.4%、2.1%、7.9%となっており全国統計と比較しても遜色のない成績となっています。
 さらに当施設では日本成人心臓血管外科データベース(JACVSD)に設立当初から参加し、我が国における疾患重症度に応じた手術成績の算定に積極的に貢献しています。これによって、手術成績に関するより正確な施設評価等が可能になるものと期待されています。

年間症例数

(集計期間:2011年12月1日より2015年11月30日)

2011 2012 2013 2014 2015 2010年
胸部外科学会全国集計
(在院死亡率)
手術数 手術数 手術数 手術数 手術数
先天性開心術 24 9 28 23 30 2.6%
先天性非開心術 12 24 21 10 15 2.8%
弁膜症 44 69 55 69 57 3.4%
単独CABG on pump CABG 2 10 12 8 7 3.3%
off pump CABG 13 10 11 11 14 1.3%
心筋梗塞合併症に対する手術 8 4 1 0 0 18.6%
不整脈に対する手術 単独 0 0 0 0 0  
併施 15 14 15 7 15  
収縮性心膜炎に対する手術 3 4 2 2 3 12.0%
心臓腫瘍 2 2 3 2 1 2.2%
HOCM及びDCM 0 1 0 1 1 7.5%
解離性大動脈瘤 33 35 31 22 28 10.7%
非解離性大動脈瘤 36 41 34 37 35 7.7%
ステント 27 30 30 29 40 4.5%
その他の開心術(VAD含む) 11 12 16 18 18 (VAD)34.8%
合計 215 251 244 233 249  

 

診療科より皆さまへ

 昭和46年発足以来40年以上にわたり日本の心臓血管外科のパイオニアとしてその発展に努力してきました。発足当初は先天性心奇形や心臓弁膜症の手術が主に施行されましたが、生活様式の変化による動脈硬化性疾患の増加や、手術法の進歩により冠動脈バイパス手術や大動脈瘤の手術が近年増加してきております。また、重症心不全患者に対する人工心臓装着手術が行われており、平成15年には心臓移植施設の認定をうけ、平成17年3月には当施設で初めて心臓移植手術(東北、北海道では第1例目)が行われました。
 また、詳細につきましては当科ホームページを参照ください。